読者の皆様、お久しぶりです。わたしは文章を書く自動車で、故有ってGame*Sparkで働いています(詳しくは前回の記事をご覧ください)。はじめに呼んだのが誰だったのかは忘れましたが、わたしはライティング業を営む自動車、すなわち「自動車ライター」という名前で人々から認められるようになりました。
冬の気配が日に日に色濃くなり、ハンドルに触れる手に凛とした冷たさを感じるであろう季節となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。わたしは日々、黄金色に染まったイチョウ並木の下を颯爽と走り抜けながら、舞い散る葉が描く自然の芸術に心を奪われております。何せわたしは自動車ですので、日々移動が欠かせません。お人間さんがたの言葉でいうところの「ノマドワーカー」というものなのだと思います。家に落ち着いている時間がないため、最近はあんまりゲームなんかもできていませんねえ。
今回、西東京の片隅で閑古鳥の鳴くライター事務所を営むわたしのもとに、或る一件の依頼が落ち葉の一枚と共に舞い込んでまいりました。熱々のハイオクガソリンがなみなみと注がれたカップを片手に封筒を手に取ったところ、わたしは仰天してしまいました。というのも、Game*Spark編集部から届いた封筒には、なぜか筆文字の楷書で「メルセデスAMG」とひとこと書かれていたのです。メルセデスといえば、自動車であれば知らぬカーのいない大企業。わたしのような一介の自動車ライターに「メルセデスAMG」が絡む仕事の依頼を送るなどという例はこれまで耳に……いや、ドアミラーにしたことがありません。
とうとうメルセデスAMGのお眼鏡……もとい、おワイパーに叶ったのでしょうか?震える両タイヤで恐る恐る封筒を開けると、手紙の他に18インチのゲーミングノートPC入りの箱が同梱されていました。人間の読者の皆様は「封筒にノートPCが入っていたらおかしいだろ」と思われるかもしれないのですが、わたしは自動車ですので、皆様とは物体の大きさのスケール感が大きく異なるという点にご留意いただけると幸いです。
Game*Spark編集部から届いた依頼は、メルセデスAMGとMSIのコラボレーションによって生み出されたゲーミングノートPC「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」の試用レポートを書いてほしい、とのことでした。
「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」公式サイト(MSI)
ということで前置きがやや長くなりましたが、ここからは自動車目線でゲーミングノートPC「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」の試用レポートをしたためてまいります。
箱にもくっきりとメルセデスAMGのエンブレムが施された高級感のあるボックスを開封していきます。いったい自分が何を開封しようとしているのか、一瞬わからなくなるほど幻惑的な体験です。
中にはメルセデスAMGのイメージ画像が掲載されたポストカードも同梱。いずれのクルマも自動車界ではあまりに著名なので、偉大な存在が印刷されているという意味では我々にとって「現ナマ」に近しいアイテムです。
また、本機には嬉しいことに無線対応のゲーミングマウスも同梱されています。実際に持ってみたところ非常に軽量で、サイドボタンが大きいFPSゲーマー好みの形状をしていました。すぐにでもゲームに使えそうです。さすが高級車とのコラボモデルということもあって、付属品にもこだわりが見えますね。
こちらが「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」の本体です。ディスプレイはアスペクト比16:10の18インチサイズ。解像度は4K+(3,840×2,400)でノングレア、120Hz、Mini LEDというかなり贅沢な仕様です。よく「30インチ以下の4K解像度は、あまり他との差がわからない」というようなことも言われていますが、主観的にはWQHD相当と比べて有意に画質がクッキリして見えます。
本体の重量は2.89kg。実際に眼の前にすると、人間の皆さんにとってはかなり大きく見えるでしょう。外出先に持ち運びして使用する場合は、わたしのような自動車との併用が推奨されます。
いち早くゲーミングに興じたい心地ではありますが、急なゲームプレイは禁物です。慌てずPC本体の左右確認からまいりましょう。
「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」の側面には、USB PDに対応したThunderbolt 4 Type-Cが1つ。映像出力に対応したUSB3.2 Gen2 Type-Cが1つ、そしてあると嬉しいSDカードリーダーも備えられています。
ボディの左側面はオーディオ用のジャックにUSB3.2 Gen2のType-A端子が2つ。
画面背面には電源コネクタ用の端子とHDMI端子、そして2.5Gbps対応の有線LAN端子がついています。もちろん無線LANにも対応しており、そちらはWi-Fi 7(11be)対応とのこと。現在日本国内では法律上Wi-Fi 6E/6/5/4のみ対応とのことですが、どちらにせよスポーツカーばりに高速なインターネット通信が可能です。
キーボードはSteelseriesとのコラボレーションで作り上げられたPer-Key RGB英語キーボード。いざタイピングしてみれば、初めて恋に落ちたときのような感動を覚えることでしょう。特にWASDのキーがツヤツヤした特別な仕様になっていて、艶やかな存在感を漂わせています。しかし御存知の通り、恋に焦りは禁物。キーボードが「US配列」な点には注意してください。
全体的な質感も非常に良好。カーボン風の装飾が施されていたりとどことなくレースカーを彷彿とさせ、随所でわれわれのゲーミング・プレジャーを高めてくれています。天板には「戦車の照準器の名残」だったというメルセデスの有名なエンブレムで所有欲を満たしてくれますし、同梱物であるフェイクレザー製スリーブケースも、ゲーマーの“遊ぶ歓び”を際立たせます。やはり高級なゲーミングPCということもあり、本体はもちろん同梱アイテムにおいても、細部にわたって丁寧に作られたものであるという印象を受けました。では続いて実際にゲームを遊んでまいります。
「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」公式サイト(MSI)
まず最初にプレイするのは、つい先ごろアップデートが発表されたばかりの『サイバーパンク2077』です。発売されたのは2020年末でしたが、グラフィックス面にも関わる大規模アップデートを配信していたこともあり、いまだにPCゲームの中ではかなり高いグラフィック性能が要求される作品となっています。
まずはプリセットの最高設定である「レイトレーシング:オーバードライブ」でベンチマークを動かしてみます。ややフレームレートの落ちる場面などありましたが、平均して48fpsほどで動作しているようです。ノートパソコンであり、解像度が4K+であることを考えると、これはかなりすごいんじゃないでしょうか。快適な遊び心地を提供するMSIとメルセデスAMGのコラボレーション・マシンとして、説得力のあるスコアをマークしてくれました。
続いてプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」、そしてレイトレーシングなしの「ウルトラ」でもベンチマークしてみます。なぜかレイトレーシング:ウルトラのほうがFPSが高いのですが、これはウルトラのプリセットではDLSSを使用していないためでしょう。
なお、今回はスペックをわかりやすく伝えるためプリセットでの試用としましたが、現実的にはDLSSの設定をいじったりして遊ぶでしょうから、あくまで参考値としてください。
続いて本機においては最も現実的っぽい「レイトレーシング:ウルトラ」で実際にゲームを遊んでいきます。
ダウンロードコンテンツ『仮初めの自由』の追加マップである“ドッグタウン”では一部フレームレートが低下する瞬間もありましたが、処理が重いところを抜ければ快適にプレイ可能です。照明効果が華やかなゲームですから、高いグラフィック設定を扱える強いゲーミングPCとそれに対応するモニターを揃えて遊ぶことが重要なのですが、この「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」なら一台購入するだけで環境が揃ってしまいます。ルックスだけでなく中身においてもハイクラスな仕上がりを実感できますね。
ちなみにWQHD相当の解像度と切り替えて遊んだりしたのですが、先述のように目視でも4Kのほうがビジュアルにクッキリとした印象を感じられました。こだわって遊ぶ場合は4K、パフォーマンスを優先した場合はWQHDで遊ぶ……など、ユーザーが好みで設定していくのがよいかと思います。
続いて『ザ クルー:モーターフェス』をプレイ。使用するマシンは当然メルセデスAMGです。デカいグリルとメルセデスのエンブレムがめちゃくちゃかっこいいですね。
本作は、フルスクリーンで遊んだ場合は最高設定でだいたい50fpsぐらいで安定していました。なお、ベンチマークレポートでは「640x480」と表示されていますが、実際には4K解像度で動作しています。
18インチの大きなディスプレイでレースゲームを遊ぶと、まるで実写を眺めているかのような高い没入感を覚えることでしょう。よりフレームレートを重視する方は設定を調整すると良いと思いますが、筆車としては50fpsでも違和感なくプレイできました。自然物などの細部が美しく見えますし、自動車とコラボしたゲーミングPCなだけあって、レースゲームとの相性は抜群です。
「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」は、まるで高級車のようなラグジュアリー感がを纏う優れたゲーミングノートPCです。そのスペックや本体のデザイン、質感を見ればひと目で理解できるでしょう。
■Stealth-18-MercedesAMG-A1VHG-065JP
製品価格:557,800円(税込)
OS:Windows 11 Pro
ディスプレイ:18インチ、4K+(3,840×2,400)、ノングレア、120Hz、Mini LED、DisplayHDR 1000、DCI-P3相当
CPU:インテル Core Ultra 9 プロセッサー 185H 16コア(6P+8E+2LPE)22スレッド
メモリ:64GB(32GB×2)DDR5
メモリ空きスロット:なし(2スロット合計最大96GB)※1
SSD:2TB(M.2 NVMe)
SSD専用空きスロット:M.2 NVMe(PCI-e Gen4) 専用空きスロット×1 ※1
GPU:NVIDIA GeForce RTX 4080 Laptop GPU 12GB GDDR6
有線LAN:2.5Gbps
無線LAN:Wi-Fi 7(11be) ※2
Bluetooth:Ver. 5.4
キーボード:SteelSeries Per-Key RGB 英語キーボード
スピーカー:ステレオ2スピーカー+4ウーファー(Sound by DYNAUDIO)
Webカメラ:207万画素(顔認証機能対応、マイク内蔵)、プライバシーシャッター付
メモリーカードリーダー:SDカードリーダー(SDXC対応)
I/Oポート:Thunderbolt™ 4 Type-C(USB PD**対応)×1 / USB3.2 Gen2 Type-C(映像出力対応)×1 ※3 / USB3.2 Gen2 Type-A ×2 / HDMI™ ×1 / オーディオコンボジャック ×1
バッテリー:リチウムイオン、99.9Whr、4セル
バッテリー駆動時間:最大6時間(JEITA 3.0 動画再生時)、最大8時間(JEITA 3.0 アイドル時)
本体サイズ(W×D×H / mm):399.99×289.67×19.9(最薄部)~23.99mm
本体質量:2.89kg
保証期間(国内): 製品本体は購入日より2年間、ACアダプタ及びバッテリーは購入日より1年間
グローバルワランティー:お買上げ日より1年間
付属品:専用ACアダプタ、無線マウス、マウスパッド、スリーブケース、ケーブルタイ、ポストカード、Xbox Game Pass Ultimate 1ヶ月利用権
※1:MSI公認サポート店でのみ増設可能。
※2:日本国内ではWi-Fi 6E/6/5/4のみ対応。Wi-Fi 7は法令上6GHz帯・320MHz幅に対応した国のみ使用可能。
※3:Thunderbolt、USB PD非対応。**:USB PDで本体へ給電する場合、システムのパフォーマンスに制限が掛かります。
システム起動時の負荷状態により、バッテリーへ充電が行われない場合があります。
すべてのUSB PD対応デバイスの動作を保証するものではありません。
システムの状態によりバッテリー充電に必要なUSB PDの出力が異なります。
システム稼働中(S0)、スリープモード中の充電:140W
休止状態(S4)、電源オフ中(S5)の充電:65W以上
ハイエンドなだけあって価格もお高めですが、我々のような自動車と比べたら安いですし、ゲーミングノートであるなら自動車のゲームも遊べますから総合したらお得ということになりますよね。また、友人との会話などで「おれ、メルセデス買っちゃったんだよね~」とかいいながらこのノートを取り出せば話題が盛り上がることも必至です。
今回の試用を総じると「予算に余裕がある方は検討すべきマシン」と感じました。わたしこと自動車は自動車ですので「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」の大きさがほぼ気にならず、どこでもハイスペックにゲームが遊べる点が非常に魅力に映りましたよ。
「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」は557,800円(税込)で販売中。詳細はMSI公式サイトからご覧ください。
「Stealth 18 Mercedes-AMG Motorsport A1V」公式サイト(MSI)