七夕の記念すべき日に「enchantMOON」がついに発売になりました。
初報、発表会レポート、発売延期、発売日決定とお届けしてきた「enchantMOON」。梅雨明けしちゃって猛烈にアツい中、東京・五反田にあるゲンロンカフェで発売記念イベントが行われたので、その様子をお届けします。この日は七夕とあって浴衣を着ている人もいましたよー。
ベールをめくるUEI(ユビキタスエンターテインメント)の清水社長。
出てきたのはアタッシュケース! けっこう厳重です。
そしてその中からは赤いケースに包まれた「enchantMOON」が! この赤いケースは、小ロットでの生産にも関わらず名乗りでてくれたメーカーによるオフィシャルなもの。
これが最終FIXした製品版の「enchantMOON」...! 今日発売になったわけですが、このイベントを行なっている今現在、届いているのは予約開始から50秒以内に注文した猛者たちのみとのこと。しかし、今月中にはすべて生産を完了予定で、順次出荷されていくそうです。
ちなみに、すべての「enchantMOON」にはシリアルナンバーが振られていて、1号機は博物館、2号機はアラン・ケイ氏、3〜10はサポートなどに配られ、No.11からがユーザの手元に渡るそうです。
ここからはUEIの歴史を振り返り。清水社長の言葉から個人的にグッときたところをピックアップすると...
「ハイパーテキストを作る環境がまだまだ未熟なのではないか」と感じていた。
enchantMOONは今日のイベントでケネディ大統領の演説を引用したように、アポロ計画になぞらえている。アメリカの宇宙事業は軍事への転用がきくので促進された側面がある。コンピュータも軍事利用が発展を促進させた。UEIはコンピュータを実用的・幸せのために発展させたい。そのために「エンターテインメント」を社名に入れた。
今のコンピュータは一回進化の袋小路に入った。そこでぼくたちは一回原始人に戻る必要があると考えた。
プレゼンから、一見関係無さそうなプロジェクトが「enchantMOON」へとつながっていく様子がよくわかりました。
そして「enchantMOON」に話は辿り着きます。清水社長には、「enchantMOON」を構想すると同時に、社員の誰にも伝えていないある計画があったそう。それが上の「レアル・マドリッド計画」。
「enchantMOON」をつくり上げるために「知りうる限り最高の人材を集める」ということで、映画監督の樋口真嗣氏、哲学者の東浩紀氏、東大教授の西田友是氏、漫画家の安倍吉俊氏、エンジニアの濱津誠氏の力を結集。
プロダクトデザインを担当した安倍吉俊さんには「なるべく邪魔くさいものをつくってほしい」とオーダー。それに対して、安倍さんはハンドルをつけた案を提案し、それが現在のかたちになったとのこと。「それ(ハンドル)が後に脚をひっぱることに...」と清水社長は笑って苦労を語っていました。
なお、銀河系軍団の一角、エンジニアの濱津誠氏はこの日が初お披露目。通信キャリアでプログラムを組んでいた方で、この方の力がなければMOON Phaseは実現しなかったとのこと。
また、「事前予約をしたことに迷いもあったが、これだけの数を予約してもらわなかったら作れなかった。やりとげられなかった」と、挫折しそうになるも、予約者の姿を思って乗り切れたことを清水社長が語ったのも印象深く感じました。
ようやくこぎだした「enchantMOON」。夏と冬に大型のアップデートも予定しているほか、次世代機の開発も視野に入れているそうなので、まだまだ「enchantMOON」からは目が離せなさそうです。
[enchantMOON ; The Hypertext Authoring Tablet]
(松葉信彦)