俺より強いやつに会いに行く必要はあるのか?
格闘ゲームとしてはあまりにも有名な「ストリートファイター」シリーズ。その最新作が『STREET FIGHTER 6(以後スト6)』。
さまざまなゲームやエンタメがあふれる中で、「新しい時代の格闘ゲーム」を切り開くべく登場したタイトルは期待感も高く、リリース時に僕はこんな思いを記事にしました。
ざっくりまとめるとスト6には、
・コマンド入力が難しくてもボタンひとつで必殺技が出せる
・アバターを育てて世界を探索できるストーリーモードがある(しかもそのキャラで戦える)
・柔軟な設定項目で、ハンディキャップのある人もプレイしやすくなっている
・総じて「格闘ゲームを再び広めよう」という熱意を感じる
といった、「さぁ、新作だ。殴り合え」といった暴力イズジャスティスとはまた違うゲームが、丁寧に作られていたのです。
その世界、発売から半年でどうなったのか? 改めて文字にしてみようと思います。あらかじめお断りしておきますが、主に格闘ゲームの広がりについての視点がメインです。
1.こんなに格ゲーがエンタメ化するなんて思ってもいなかった
まず驚いたのがゲームの盛り上がりです。
Vtuberや実況者、これまで他のゲームで盛り上がっていた人たちも、『スト6』面白そうだぞ!と、続々と入ってきてくれたのが本当に衝撃的。
しかもプレイして実況して、視聴者もそれを見てコメントして一緒になって楽しんで…! と、格ゲーがまるで一体感のあるライブのように盛り上がっているのです。
これまで格闘ゲームの配信で盛り上がるのって、大きな大会。もしくは一部のトッププレーヤーの配信くらいでしたけど、今ではぽこじゃかと大会が企画・開催されるほどエンタメ化。
ゲームジャンルの中で「格闘ゲーム」が先細りになっていくのを実感していた、格ゲー歴30年のおじさんな僕からしたら、嬉しさで自然と涙がこぼれ落ちます。
2.格ゲーのユーザー数がリアルに増えたことを実感している
SNSを眺めていると、10代20代といった若い世代や、昔格ゲーやってたよ!という復帰勢も含め、本当に幅広い層が『スト6』しているんです。
大きな広がりを見せて、ひとつの遊ぶ手段、コミュニケーション手段として成立していて、目指していたであろう「いろいろな人が触れやすい格闘ゲーム」にちゃんとなっているんだなを実感しました。
ワンボタンで必殺技が出る「モダン」操作の戦略に苦手意識を持つ声も聞こえますが、格ゲー全体の導入ラインを下げたと考えると、カプコンの英断だったと思います。
3.「対戦ありがとうございました」が優しくて嬉しい
ゲーム内のヴァーチャルゲーセン「バトルハブ」では、さまざまなファイターがゲーセンの台を囲んで対戦できるのですが、対戦後に
・「対戦ありがとうございました」
・「GG(グッドゲーム=いい試合だった!)」
とか、定型文だとしても挨拶が飛び交うのが、なんだか、とっても優しい世界。
まぁ、実際は「この◯◯野郎がッ、次こそぶっ◯◯◯! いいですね!」みたいにハラワタ煮えかえっていると思うんですけどね。でも、それをグッと抑えて「対戦ありがとうございました」を言えるみんなが偉い。
4.読み合いが回るゲームシステムもよくできていて面白い
システム的にはちょっと複雑です。でも、状況ごとにリスク・リターンの読み合いがちゃんと回るようになっていて、すごくよくできていると思いました。
そりゃあ昔のゲームに比べると見るゲージも増えましたし、状況判断が難しいところも感じます。でも、常に100点の答えを出さなくても対戦は楽しめますし、キャラのバランスも悪くないと思いますね。
正直、強キャラは居ます。
プロシーンを見るとキャラが偏るところもありますが、このキャラかっこいい! とか、このワザを決めたい!とかのカジュアルな理由で好きなキャラ使っていいと思いますよ。
俺より強いやつに会いに行く必要はない。楽しさを求めて遊んでみてよ
かつての格闘ゲームは、強くなることがゴールでした。
コンボの基礎練習して、読み合いで強い選択肢を選べる格ゲー力を鍛えて、俺より強いやつに会いに行く。…が、格ゲー上手くなるためのルートで、それがメインコンテンツ。
でも、今はプロを目指そうとか思ってないなら、別にそんなことしなくていいですからね。
楽しいと思ったキャラ使って、楽しくプレイして、そこの人たちと体験を共有して。「あー楽しかった! じゃあ、推しの実況見るか〜!」くらいの感覚でも全然楽しめますから、この『スト6』という格闘ゲームの新しいムーブメントは。
Source: カプコン