構造を見るに効率重視。これは高級E-Bikeに積まれる予感...!
電動アシスト自転車のパワートレインには、前輪または後輪を直接駆動するFFまたはRRのハブモーター方式、または車体中央かつ下部に位置するクランク部にモーターを内蔵してリアホイールを駆動するMRのミッドドライブ方式があります。
コストはかかるけどエネルギー変換率が高く大トルク、重量バランスに優れヒルクライムもダウンヒルも安定傾向にあり、ハンドリングもスムース。車体から降りて、押して歩くときも比較的重さを感じにくいこのミッドドライブ方式のパワートレインは、シマノ、ヤマハ、パナソニック、ボッシュがしのぎを削る電動アシスト自転車界におけるTop of Topの世界です。
その市場に、DJIが乗り込んでくるという黒船というか隕石到来でショックウェーブなニュースが飛び込んできました。
軽い。そしてバッテリー容量も多い
Power Your Ride | July 3rd, 2024 | 9 AM (CEST) pic.twitter.com/nC59iL4vYj
— DJI (@DJIGlobal) July 1, 2024
みなさんご存知のとおり、DJIはドローン市場において効率を最優先した機体開発を続け、コンシューマードローン市場を一気に開拓した立役者です。つまるところ、バッテリーとモーターの扱いにおいてハイレベルな知識と経験を持つエンジニア集団です。
そんな彼らが作った電動アシスト自転車のパワートレイン「DJI Avinox」。ドライブユニットからして2.52kgと軽量です。参考までに、 自転車コンポーネント最大手メーカーであるシマノのドライブユニットDU-E8080の質量は2.89kg。
DJIのほうはピークパワーは850Wもあるし、最大トルクも105N·mです。さらにブーストモード時は1,000W/120N·mにパワーアップ。これ電動"アシスト"のモーターですよね? 原付EVバイクで使われるモーター級のポテンシャルじゃない?
ドライブユニット内部に高強度なポリマー素材を用いたことで、高いギアで走行しているときでも低ノイズ。複数のセンサーと独自のアルゴリズムによって、路面状況や坂道の勾配に合わせて常に最適なパワーを路面に伝えるスムースなアシストを実現したそうです。
バッテリーはダウンチューブ内蔵型で、600WHr(2.87kg)と800WHr(3.74kg)の2種が用意されます。こちらもライバル社の製品と比較して軽く、容量も多い。また600WHrのほうは117km、800WHrであれば157kmのアシスト走行が可能です。
1.5 時間でバッテリーを0%から75%まで充電できる急速充電器も、ちょっとしたノートPC用ACアダプタくらいの大きさだから、いつでも持ち歩けちゃいますねコレは。
コントロールユニットを兼ねたサイクルコンピューターが、トップチューブに収まる設計という点にも注目です。従来のようなハンドル周りに外付けするスタイルとは見た目のスマートさ、新しさが全然違う。
それだけにね! コイツはかなりの高級車用の装備なんじゃないかって気もするけどね!
DJI Avinoxが導入されるe-MTB「AMFLOW PL」のサイトを見ると、険しい山道をなんなく登っていく姿が見られてこれは説得力がある。電動アシストのフルサスMTBなのに19.2kgという軽さにも驚きます。
このAMFLOW PLが日本で発売されるかどうかはまだ不明ですが。
DJIの新しいビジネスとして飛躍するか
でも今回の発表は日本に対して公式に行なわれたもの。AMFLOW PLでなかったとしても、日本での展開を考えているんじゃないかな。
しかしアメリカと中国の対立が激化しているなか、アメリカ合衆国下院で中国共産党無人機対策法を含む2025年の国防権限法(NDAA)が可決されました。上院の法案と合わせたものにアメリカ大統領がサインをしたら、DJIを含む中国企業のドローンはアメリカで売れなくなるという事態が起こり得る現在。次の商売として電動アシスト自転車のパワートレイン市場にDJIがチャレンジするというのは納得できるお話です。
あたらしいビジネスとして自転車メーカーやユーザーの支持を得られるかどうか。DJIのチャレンジに注目しましょう。