色の好みもあるし、環境光の影響もあるし。色とは奥深いものよ…。
色の見え方には個人差があると言われます。でも、その差がどれくらいのものなのかを定量的に知る機会はあまりありません。
CEATEC 2024(シーテック)に出展していたTOPPANホールディングス株式会社(旧名:凸版印刷株式会社)は、まさにこの「色の個人差」を見える化する体験ブースを出していました。
同じ白色を目指してもこんなにちがう
これがそのための装置、iPadに台紙を貼り付けたものです。上下左右のボタンをタップすると、中央のボタンの色味が少し変わります。上だと赤っぽく、下だと緑っぽく、左だと青に、右だと黄に近づきます。
上の写真中央に白い四角の枠が見えますよね。この中央の白色を枠線の白と同じ色に合わせるのが目的です。上下左右のボタンをタップして、すこーしずつ白色に寄せていきます。
じきに僕が「これがもっとも白に近い!」と思った色ができました。
ディスプレイに見える赤枠で囲われた部分が、僕が調整した白です。
でも、その周りに1や2と書かれた部分もありますよね。これは、他の人が調整した白。写真では真っ白なディスプレイに見えてしまっていますが、実際は右上から左下になだらかにグラデーションで色が変化してます。つまり、僕が調整した白と、他の人が調整した白は同じじゃない!
各々が「これが一番白い」と思った色であっても、人によってちがいが確かにあるんです。一番左の1と書かれた白なんて僕の目から見るとかなり緑寄りだけど、ここを白だと感じる人もいたんです。
これは二人で一緒にテストするのが面白いですね。お互いが考える白にどれほどちがいがあるのかという、感覚的な話を可視化できるわけです。
色の見え方って簡単に変わります。オレンジ色の照明下では真っ白な壁も色づいて見えるし、印刷物の白とディスプレイの発光による白は原理からして異なります。それでも「白」と認識できるのは、僕らの脳が自然に補正しているから。
ただ、細かい部分のちがいは出てきます。
スマホなりPCなり、近年はディスプレイを見るユーザーが増えてきました。しかし、同じ写真や映像を見ていてもAさんとBさんで同じ色が見えている保証はない。その解決策として、個人によってパーソナライズしたディスプレイを用意したり、AIによる写真の自動補正などが開発されています。
このブースでユニークなのは、そもそも「どれだけ見え方にちがいがあるのか」を身をもって体験でき、定量的に確認できるところです。
Source: CEATEC 2024