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〈学福連携〉で学内カフェ運営!
-教育学部の学生たちがiOPとして活動

 茨城大学教育学部で、福祉作業所と連携して学内カフェを実施する取り組みが始まりました。カフェ業務などを行う常陸太田市の就労継続支援B型事業所「山のcafe sasahara」が同所のサンドイッチなどを出張販売し、学生が接客やイートインスペースの準備などを行います。初回は10月16日。今年度はこのあと、1120日(水)、1218日(水)にも実施予定です。
 この取り組みは教育学部におけるiOPinternship Off-campus Program)の一環。今後さらに発展させ、いずれは教員免許取得のために必要な介護等体験として整備していきたい考えです。

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 学内カフェは10月16日午前11時、教育学部B棟の入り口で開店しました。ずらりと並んだBLET(ベーコン・レタス・エッグ・トマト)サンドイッチにキッシュ、焼き菓子に吸い込まれるように、多くの学生たちでにぎわい、すぐに行列ができました。これらの商品は、同所で販売しているものと同じもの。同所利用者の方におすすめを聞くと、「キッシュ」と即答。こちらは開店15分で売り切れました。サンドイッチも35分ほどで売り切れ、最後に残った焼き菓子も閉店時間を前に完売しました。この大人気ぶりに、昼休みが始まる正午を過ぎてから店に来た教職員からは落胆の声も聞かれました。

出張販売に行列ができている様子

 店のすぐ裏にある102番教室にはイートインスペースもあります。こちらでは、同所こだわりのコーヒーや紅茶も注文できるほか、利用者の方が制作したトートバッグや一輪挿しも販売されていました。落ち着いたBGMが流れ、ゆったりとした時間が過ごせます。

イートインスペースで食事をする学生たちの様子

 看板を書いたりイートインスペースのBGMを用意したりと中心的な役割を担った教育学部3年、板井紀実さんは、特別支援学校の教諭を目指しています。「授業で、同じ障害でも特性や支援の方法は全く違うと学びました。日常であまり関わる機会がなかったが、実際に交流してみたいと思い参加しました」。利用者の方々と協力して接客し、隙間時間は会話を楽しみました。

学生がホワイトボードに書いた看板の写真

 これまで、教育学部内では、茨城大学教育学部附属特別支援学校の中等部や高等部の生徒が制作物を販売する売店を開くなどし、障害者との触れ合いを創出していました。特別支援教育などを研究している教育学部の新井英靖教授が「地域とコラボしてこういった活動ができないか?」と模索していく中で、今回の取り組みに至りました。新井教授は山のcafeを運営する一般社団法人山里舎代表理事の菊池登茂子さんと10年来の知人。菊池さんもまた、利用者の方が同所外の人と触れ合う機会を求めており、両者の狙いが一致しました。

 小学校・中学校教諭の免許を取得するためには、介護等体験を行うことが必要です。新井教授は、教育学部以外の学生が教員免許を取得しようとした際、この介護等体験の実施が難しいために取得を諦めている生徒が一定数いると推察しています。体験には1週間程度を要し、他学部から体験に行こうとすると授業の調整などが困難になってしまいます。そのため、新井教授は学内で介護等体験の場を整備したいと考えていました。この取り組みは、その第一歩となる試みです。「学内で介護等体験ができれば、少しは行きやすくなる。意図的にこういった場を作ることが必要だと思います」

 また、大学におけるダイバーシティの取り組みを考えると、外国人留学生や女性研究者、性の多様性に目を向けるだけでなく、「障害者と共生」という視点も大切だと指摘します。「世の中には障害がありながら働く人もたくさんいる。学生たちには、そういうことも知っておいて欲しい」と願います。

サンドイッチとドリンクメニューの写真

 菊池さんは目を細めて、利用者の方々の様子を見守りました。同所はさまざまな場所で出張販売していますが、イートインスペースまで整備されることはないそうです。同所外の人と接するには何段階もハードルがあると言い、「皆朝から、やりたい!行きたい!と元気でした」と振り返ります。この日の経験は、「見える形じゃなくても、頭や心で思う部分があると思うので、本人たちの中で何か変化が出てくるのではないでしょうか」と期待します。

 同所利用者で、この日接客を担当した滑川歩実さんは「学生さんと話をしながら販売ができて楽しかった。こんなことが自分はやりたかったんだと思った」と話しました。

 次回は11月20日(水)午前11時~午後1時、教育学部B棟102番教室で開店します。今回の盛況を受けて、商品を増やしてくれるそうです。皆さまぜひご来店ください。

(取材・構成:茨城大学広報・アウトリーチ支援室)