マーケティング4.0とは?成功へ導く顧客との「共創」
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BtoB業界でもマーケティングという概念が広がりをみせており、マーケターとして働いている方はもちろん、営業活動においてもマーケティングの考え方を活用しているという方は多いのではないでしょうか?
そんな中、最近BtoCのマーケティング業界で話題となっているのが、コトラーが2014年に提唱した、自己実現を目指す「マーケティング4.0」という概念です。
今回は、マーケティング4.0とは何なのか、そしてBtoBでも実現が可能なのかについて考えていきましょう。
マーケティング4.0とは
「マーケティング4.0」とは、フィリップ・コトラー氏が提唱する「自己実現を目指す」マーケティング概念です。
この「4.0」の概念は2014年に発売された著書で提唱され、これまでには「1.0」「2.0」「3.0」がありました。合わせてこちらも解説していきます。
マーケティング1.0「製品主義」
マーケティング1.0は、製品の質が重視されるプロダクト中心の概念です。生産者が売りたいものを作り、その機能や品質を訴えるマーケティングが成り立っていました。
マーケティング2.0「顧客志向」
マーケティング2.0は、これまでの製品主義とは反対に、消費者中心の概念となります。消費者が求めるものは何かに焦点を当て、他社との差別化が求められるようになりました。
マーケティング3.0「価値主導」
マーケティング3.0では、消費者が製品だけでなく企業としての「価値」も重視するようになりました。そこで企業は、環境問題や教育など「より良い環境づくり」や「社会貢献」といった企業価値を高める取り組みに力を入れることが求められるようになりました。
マーケティング4.0「自己実現」
そして現在、欧米で主流となりつつあるのがマーケティング4.0です。マーケティング4.0は、「自己実現」が重視されます。消費者は、製品を購入することだけでなく、購入したことによって自らの「精神的欲求を満たすこと」を重視するようになったのです。
またインターネットの普及により、人々は能動的に情報を取得・発信できるようになりました。さらにSNSの発達によって、人々は企業の宣伝や広報よりも、消費者の口コミを信じるようになり、企業との双方向のコミュニケーションが生まれました。
その情報を見て購入を検討する消費者が増えたため、企業は消費者の製品購入後のプロセスまで考える必要がでてきたのです。
購入後も消費者との接点を持ち続け、ただの顧客から自社のアンバサダーとして情報を発信してもらうことが企業にとって重要であるということがマーケティング4.0の概念です。
4A理論から5A理論へ
これまでのマーケティングにおいて、顧客が製品を購入するまでのプロセスは、
からなる「4A理論」が一般的でした。
しかし、マーケティング4.0では「5A理論」というフレームワークが活用されます。
これまでの「4A理論」では、消費者が購入をする「行動」が最終目的となっていました。
しかし「5A理論」での最終目的は「推奨」であり、他者に製品やサービスを推奨してもらうという行為が追加されているのです。
マーケティング4.0の概念では、購入してもらうことがゴールではなく、消費者に製品や自社のファンとなってもらい、他者に推奨してもらうことが重要とされているため、このような「5A理論」の考え方が必要となるのです。
成功のカギは「顧客とのつながり」
・「Wow!」を作り出す
マーケティング4.0の成功には、ファンの獲得が1つのカギとされています。
そのためには、消費者が製品やサービスで感動したり、驚いたりする「Wow!体験」の提供が必要です。消費者が製品を素晴らしいと感じることで自社のファンとなり、「推奨者」となってもらうことが重要となるのです。
・さまざまなチャネルの活用
マーケティング4.0はインターネットやSNSが普及したことで消費者と企業の関係性が変化してきました。このような時代の中で、多様な価値観に寄り添い、より多くの消費者とつながることが成功のカギとなるでしょう。
そのためにもオンラインの施策に限らず、オフラインでの交流も含め、さまざまなチャネルで顧客とのつながりを深めることが重要となります。
BtoBマーケティングの今
・「良いもの」や「価格」が重視されている現状
さて、ここまでマーケティング4.0についてお話してきましたが、BtoBは今どのような状況なのでしょうか。
実際、先程のコトラーのマーケティング区分で考えると、日本のマーケティングは未だに1.0、2.0止まりという現状があります。良い製品を作れば売れるというマーケティング1.0の考えを引きずり、まだ「マーケティング」という概念がない企業も多いのが現状です。
・必要に迫られて「変わる」BtoBマーケティング
しかし、BtoB企業はこのままでは立ち行かなくなってきているのです。
超高齢社会の日本では、働くことができる生産人口はこれから減り続け、多くの人材不足も深刻化していきます。市場は縮小していく一方です。この市場の縮小にともなって、大多数の中小企業では人件費などを削減することで、辛うじて売上・経常利益が横ばいに保っているので、このままの企業戦略では企業が存続していくことが難しいという状況です。
こうした背景から今、BtoB企業は変化が求められているのですね。
これからの20年を生き抜くために
・BtoB企業でもマーケティング4.0は実現可能か?
前段でお伝えしたマーケティング4.0の考え方は、BtoB企業でも有効なのでしょうか?正直、自己実現のマーケティングで成功できる企業はごく一握りだと考えられます。
なぜなら、「自己実現できる」という訴求は、基本的に個人に対してしかできないからです。企業という組織においては、BtoCのようなイメージの自己実現は難しいのが現状です。
・顧客と共に生きる「共創」
ではこれから20年を生きぬくことができるBtoB企業にはどのようなマーケティングが求められているのでしょうか? それは、マーケティング3.0を実現し「顧客と価値を共創できる」企業でしょう。
テクノロジーの進歩によって、どのサービス・製品も同じような機能を備えるようになってきているという現状があります。さらに、インターネットが普及し、アナログな傾向のあるBtoBの業界でもターゲットはまずインターネットで情報収集するようになりました。
このような流れの中、「価値」で差別化する必要性が増しています。
しかしここで、日本の市場が縮小し続けていくことも思い出してみてください。ターゲットを明確にし、価値をきちんと訴求しても売れない時代が来ることが予想されますよね。
そこで、必要になってくるのは顧客と「価値」を共に創っていくことです。単に自社のサービス・製品の価値が何なのかという視点だけではなく、一人ひとり、一社一社に寄り添い、真のニーズを見つけ出し「価値」を共に創っていける企業がこれからの生き抜く企業となることでしょう。
まとめ
多くのBtoBの企業が「変わる必要性」を感じてもなかなか変えられないままでいます。しかし、現状を受け止め、顧客のことを考える姿勢が今求められているのです。今回はマーケティング4.0という観点から、BtoB企業の現状と今後を考えてきました。
コトラーがマーケティング3.0を提唱してからはや7年。やっとBtoCマーケにBtoBのマーケティングが追いついたのです。ぜひ一度、自社のこれからのマーケティング活動はどうなっていくべきか、考えてみてはいかがでしょうか?