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しかしゲームを始めとしたアプリケーションを全世界に向けて容易に発信でき、ユーザー数も増加し続けているこの市場はゲームメーカーや様々なアプリケーションを開発するソフトウェアメーカーにとっては決して見逃すことのできないものです。
ではApp Storeで戦うには何が必要でしょうか。「CRIWARE mobile」のブランドでiPhoneをはじめとするSmartPhone向けミドルウェアを展開するCRI・ミドルウェア(以下CRI)の幅氏は「コンビニにはコンビニの棚の攻略法があり、スーパーにはスーパーのやり方があるように、App StoreにはApp Storeという新しい形の店舗の特性に合わせた攻略法(=マーケティング手法)があるはず」と言います。
CRIは長年、ゲーム開発を支援するミドルウェアを開発・提供し、映像再生や音楽再生の分野でスタンダードの地位を築き、日本のゲーム開発現場のサポーターとして活躍してきました。そんなCRIがiPhone開発者のためのマーケティングツールとして用意しているのが「CLOUDIA」(クラウディア)です。弊誌でも何度か取り上げてきましたが、2010年1月から本格提供がスタートしました。
今回はCRIのiPhone & Smartphone推進室長である幅朝徳氏と、同推進室の畑圭輔氏、そして「CLOUDIA」を共同開発したヴァルアップテクノロジの根岸淳一氏に、App Storeの攻略法や「CLOUDIA」の今後、更なるiPhone向けソリューションの展望までお話を伺いました。
■iPhoneにはiPhoneのミドルウェアが必要
「CLOUDIA」(クラウディア)は一言で言うと、アプリ上で自社の他のアプリをPRするためのソリューションです。この手法はアプリ内PR(InAppPR)と呼ばれます。「CLOUDIA」は、アプリに組み込んでPR情報を表示するための「CLOUDIAエンジン」と、PRコンテンツをリアルタイムにウェブ上から制御するための「CLOUDIAサーバ」から成ります。「CLOUDIAエンジン」をアプリに実装することで、自社のアプリユーザーにその他のアプリを効果的にPRすることができます。また「CLOUDIAサーバ」を使うことで、常に新鮮なコンテンツをユーザーに送ることができます。一度自社アプリを購入してくれたユーザーを囲い込み、次のアプリ購入に誘導するということです。
海外の大手メーカーではこのような仕組みを自社で実装している場合が多いのですが、システム開発面、運用面で大きな負担がかかります。「CLOUDIA」を使用すれば、サーバ運用などの開発コストを抑え、容易にアプリへの実装が可能です(コードの追加は数行程度)。また、クラウドを利用したサービスになっていて、一度「CLOUDIA」を組み込んだアプリをリリースしてしまえば、アプリ内でPRするアプリの種類や見せ方はウェブ上から更新でき、最新のPR情報が全てのユーザーに一斉に配信されます。これにより臨機応変に、新作アプリの情報を追加、予告したり、セール情報などをタイムリーにユーザーにを伝えたりすることができます。
●採用事例
1.カプコン「CAPCOM NEWS」
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カプコンの新作ゲーム情報をチェックできるアプリ。スクリーンショット(左)の下部に表示されている「Get More」をタップするとCLOUDIAが起動し、カバーフロースタイルで、様々なゲームの情報を知ることができる。 |
2.イースト「大当たり」
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お年玉年賀葉書の当選番号をチェックできるアプリ。「もっと使えるアプリをチェックする」をタップすると、イーストが販売中のその他のアプリをチェックすることができる。 |
また、「CLOUDIA」を導入することで、アプリの起動回数や頻度、起動時間などのデータを集計することができます。「App Storeではダウンロード回数は計ることができますが、実際にそのアプリがどのくらい起動されているかなどのデータは取れません。CLOUDIAを導入すればウェブ上の管理画面でそれらが一目瞭然なのです。このデータを活用すれば次のアプリの戦略も立てやすくなりますし、ゲームの続編をリリースするタイミングを計る材料にもできます」(幅氏)ということで、これまでのクライアントにも好評な機能だということです。
●「CLOUDIA」のウェブ管理画面
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日別ユーザー数 | 日別起動回数 |
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「CLOUDIA」上での各アプリ情報の表示回数 | 累積ユーザー数 |
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実績値サマリー |
■ワールドワイドのサポート
iPhoneアプリはApp Storeを通じて全世界に配信することができます。そのため、「CLOUDIA」についても多言語対応がなされています。ウェブ上の管理画面で、日本語だけでなく、英語やフランス語、ドイツ語など必要な言語の情報を登録しておけば、iPhoneの本体設定に応じた言語で表示をしてくれます。
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また、「CLOUDIA」自体もワールドワイドに展開を考えているそうで、現在マニュアルなどの英語化を進めていて、6月頃には海外のデベロッパー向けの提供も開始する予定だとのこと。
■無償でLite版の提供も開始
「CLOUDIA」はいわゆるASPやSaaS型サービス同様、事業規模に応じて無理なく試用を始められる定額課金型のサービスです。しかし、iPhoneアプリ市場で多く存在する個人開発者にとっては、有料というのはそれだけで大きな壁になります。その一方で、大きな予算を持てない開発者だからこそアプリ内PRを活用してほしい。そのような想いから、無償のLite版「CLOUDIA Lite」の提供も実は開始されています。
「CLOUDIA Lite」は一部クラウド機能の利用に制限がありますが、アプリ内PRの利点を体感できます。Lite版でも「CLOUDIA」で提供される全てのPR方法が利用でき、開発者は自由にPRしたいアプリを選び、そのPR内容をアプリに組み込むことができます。まずはLite版を用いて「アプリ内PR」を体験してみてはいかがでしょうか?
■自社仕様に合わせるための「CLOUDIA Framework」も登場
「CLOUDIA」を使ったアプリ内PRは、幾つか用意されているテンプレートを利用する形になります。これらはiPhoneの標準インタフェースに準じたもので、独自のデザイン性などを追求したい開発者の方もいるかもしれません。そうした自社仕様のアプリ内PRを望む開発者向けに提供開始されるのが「CLOUDIA Framework」です。
「CLOUDIA Framework」では「CLOUDIA」の全ての機能が個別のAPIとして提供され、開発者はそれらを自由に組み合わせてアプリに組み込むことで、自社仕様にカスタマイズして使うことができます。例えばゲームであれば、アプリ内PRもゲーム内のUIに準じたものにすればユーザーにもより受け入れられやすいでしょう。
アプリ内PRの機能を自社で開発する場合、クラウドサーバーの準備や通信周りを自社で用意する必要がありますが、この「CLOUDIA Framework」を利用すれば、サーバ管理などの面倒な部分は「CLOUDIA」に任せて、自社ではインタフェース周りなどユーザーの目に触れる部分だけを構築するだけで、自由度の高いアプリ内PRを実装することができます。「ただし自由度が高まる分、標準版と比べ、より高い開発知識や実装設計が必要です。アプリの性質や「CLOUDIA」に求めるものに応じて使い分けていただくのもありでしょう。もちろん、アプリへの「CLOUDIA」実装のお手伝いもCRIでは行っていますので、お気軽にご相談頂ければと思います。」と幅氏。
■目指すのは「コンテンツ・チェーン・マネジメント」の深化
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アプリでアプリを紹介するアプリ内PRの基本的な機能は既に実装されましたが、より使いやすいものにするべく、「CLOUIDA」は常にバージョンアップが行われているとのこと。先日のバージョンアップでは横画面での表示や、「CLOUDIA」上からのアプリ起動(ランチャー)機能、アプリのPR情報に更新があった場合にアイコンにバッジが付くといった機能も搭載。新しいPRスタイル(アプリ内PRの見せ方)も今後追加されていくのだそうだ。
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縦画面だけでなく、横画面での表示にも対応 |
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バッジ表示機能:PRコンテンツに更新があった場合にバッジが表示 |
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ランチャー機能:既にインストール済みのアプリはCLOUDIAからの直接起動が可能に |
また大きなアップデートとしては、アプリ内課金(InAppPurchase)もすぐの対応が予定されています。アプリ内課金は一部のゲームや電子書籍などで利用が始まっていますが、「CLOUDIA」のようなミドルウェアで容易に対応が可能になれば、アプリのビジネスモデルの幅も広がりそうです。
また、CRI・ミドルウェアでは「CLOUDIA」で見せるものはアプリだけとは考えてないようです。iPhoneやiPadからショッピングなどのリアルビジネスに繋げる「CLOUDIA R.E.A.L(仮)」(eカタログ)や企業の情報発信に利用してもらう「CLOUDIA IR(仮)」アプリなど、CLOUDIAをコアテクノロジーとしたさまざまな付帯サービスの計画があるそうです。
ちなみに、OpenFeintやplus+のようなソーシャルゲームプラットフォーム(SGP)と混同されることがよくあるそうですが、あくまで「CLOUDIA」はアプリやコンテンツそのものの円滑な流通を促進するもので、SGPの目的や機能とは相補関係にある、と幅氏は話していました。「CLOUDIA」は、そうしたSGPとの同時利用を意識して設計しているということです。また、AdMobやiAdのような広告システムとも趣を異にするもので、これらとは競合せず、実際に「CLOUDIA」とAdMobを同時に採用するアプリも既に存在し、協調して進んでいきたい、とのことでした。
■「CLOUDIA」のマルチプラットフォーム戦略
さらに言えば「CLOUDIA」のアプリ内PRは、iPhoneのApp Storeだけでなく、ダウンロード販売モデルのあらゆるプラットフォームに共通する悩みを解消してくれる大きな可能性があります。
「CLOUDIA」の展開プラットフォームとしてのAndroidについて、幅氏は「提供は技術的にはすぐにでも可能です。ただ、もう少しマーケットの状況や、各企業様の動向やご意見を集めてから最適な形でサービスを開始したい」とのことでした。
また、「CRIはもともと家庭用ゲーム機市場が主戦場でしたので、家庭用ゲーム機のダウンロード販売タイトルに対応したCLOUDIAも・・・」(幅氏)という気になる発言もありました。
そしてもちろんiPad向けには既に提供が決定していて、こちらはなるべく早くリリースしたいという話でした。
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iPadではiPadに最適化したインタフェースで提供予定 |
5月12日(水)~14日(金)東京ビッグサイトで開催される「Web & モバイルマーケティングEXPO」では、CRIブースにてiPad実機上で動くCLOUDIAデモを初公開するそうですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
■今後の抱負
最後に三氏に今後の抱負を伺いました。
「まずはiPad版「CLOUDIA」をお客様に早くお届けしたいというところです。大きくなった画面で、どのようなインタフェースをお届けできるか、奮闘しているところです」(ヴァルアップテクノロジ根岸氏)
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「アプリが売れない、売れないと嘆いていても市場は変わりません。これだけアプリが儲からない!?と言われても供給者は増える一方です。せっかく自信のあるアプリを作るなら“当たるも八卦、当たらぬも八卦”と諦めるのではなく、それを伝える努力をしていくべきです。個人は個人で、企業は企業で、それぞれできること、得意とすることは違うと思いますが、CRIはCLOUDIAを始めとしたソリューションで頑張る開発者の方々を支援していきたいと思っています。今後はゲーム業界はもちろん、ゲーム業界という枠にもとらわれず、色々な業種の方と協力し、CLOUDIAを普及させていきたいですね」(CRI・ミドルウェア幅氏)
2時間以上に渡る濃密なインタビューで三氏は「CLOUDIA」と両社が目指すものについて熱く語ってくれました。「App Store市場は厳しい」という言葉はよく耳にするようになりましたが、そこで諦めるのではなく、新しい市場に立ち向かう開発者と共に市場を切り開いていきたいという想いを強く感じ取れました。
幅氏はインタビューの中で「CLOUDIAはCRIのスマートフォン戦略の最初の一歩」と何度も口にしました。App Storeという新しい形の店舗を攻略するための「CLOUDIA」以外にも、これまでCRIが培ってきた技術をiPhone向けに最適化した「CRI ADX」、「CRI Sofdec」、「C-TST」が提供されていますが、iPhoneゲームの幅を広げる更なるまったく新しい展開も準備が進められているようでした。今後確実に主流となるスマートフォン化の流れに、積極的にさまざまなソリューションを提案し続ける同社の今後の動向から目が離せません。
【CRIがWeb & モバイルマーケティングEXPOで無料相談会を実施】
CRI・ミドルウェアは、5月12日(水)~14日(金)に東京ビッグサイトで開催される「Web & モバイルマーケティングEXPO」CRIブース内で「アプリ内PR」や「CLOUDIA」、「iPhone/iPad、スマートフォンアプリのマーケティング手法」などに関する無料個別相談会を実施します。相談会に参加ご希望の方は、下記フォームよりふるってご応募ください。本フォームからお申し込みいただいた方には、当日ささやかながら粗品をプレゼントいたします。
■「モバイルマーケティングに関する無料相談会」実施概要
日 程:Web & モバイルマーケティングEXPO会期中
2010年5月12日(水)~14日(木)
10:00~18:00(14日(金)は17:00終了)
会 場:東京ビッグサイト CRIブース内
CRIブース:東22-17(東3ホール)
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