最近では『遊戯王 マスターデュエル』もリリースされ、さらに活気づいている「遊戯王」シリーズ。本シリーズでは、「遊戯王 OCG」と共に展開するアニメも話題です。
その中でも、2017年から2019年まで放送されていた「遊☆戯☆王VRAINS」には、『遊戯王 OCG』プレイヤーの間で語り継がれる“伝説回”が存在しています。その内容とは、『遊戯王』を遊んでいる人間なら誰しも一度ならず経験したことのある「手札事故」を描いたもの。
本来、カードゲームのアニメであれば、1ターン目から颯爽と展開するようなプレイングを見せるのが一般的です。現実のプレイで時折発生する「あ、この初期手札じゃひとつも動けない……負けだろ……」というような事態にはなりません。
しかし、「遊☆戯☆王VRAINS」27話「闘う男 島 直樹」にて、まさかの“手札事故”が発生。さらに味方側だけでなく、敵側まで事故って気まずい空気が流れるという、地獄のような“遊戯王あるある”デュエルが展開されました。
◆「島直樹(ロンリーブレイブ)」は主人公への憧れだけで戦った、ただの一般人
この回で活躍する「島直樹」というキャラクターは、主人公「Playmaker」に憧れるだけの普通の人間です。デュエリストとして一級の腕前を持つわけではないのですが、「Playmaker」への憧れのあまり自らを「ロンリーブレイヴ」と名乗り、味方側として(勝手に)アニメにおけるデュエルの舞台「リンクブレインズ」にログイン。
そんな彼は不運にも、初っ端から主人公と敵対する組織「ハノイの騎士」の構成員と遭遇し、成り行きでデュエルする羽目になってしまいます。デュエル初心者かつ一般人である彼が主人公の敵対組織と戦うという、定石通りのストーリーであれば、ハラハラするような展開ですね。
しかしこの「島直樹」あらため「ロンリーブレイブ」は、徹頭徹尾のギャグ要因。その空気間を感じ取ったのか、「ハノイの騎士」構成員もどこかやる気無さげ。とりあえず初心者丸出しな彼を蹴散らしてやろうと、意気込みます。
ところが、いざ戦いが始まると、構成員の初期手札は上級モンスター4枚に「手札断殺」という酷いもの。それを見た彼は「ほとんど手札事故だろ……!」と悩みます。
一方、対峙する「島直樹(ロンリーブレイブ)」の初期手札も負けてはいません。こちらも上級モンスター5枚という全く展開のしようがない事故っぷりであり、彼もまた「これ完全に手札事故だろ!」と落胆します。
ただし、デュエルはいつだって真剣そのもの。両者ともこの状況に酷く慌てたものの、お互いの目があうや否や、互いに「完璧な手札だ!」と、非常に堂々としたハッタリをかましたのです。
◆両者“手札事故”から始まったデュエル、その後は?
先行をとった構成員は、なんとかこの窮状をリカバーしようと、「手札断殺」を使用。そのおかげで、「ロンリーブレイブ」も手札ドローが可能になります。
先行1ターン目から、「このドローに全てを賭けるぜ!」と祈りを込める両者。しかし、そのドローすら「イマイチ」と呟かざるを得ない結果に。とはいえここでも自身の動揺を相手に悟らせまいとし、お互いに「完璧なドローだ!」と、ブラフを掛け合います。
この後、墓地に捨てたカードを利用することで両者が見事に体制を立て直し、やっと“真っ当なデュエル”が行われました。
◆「遊戯王」ファンの間で愛される名台詞、「完璧な手札だ!」
アニメのシナリオとは到底思えない、見事な泥試合が繰り広げられたこの回はファンの間で話題となり、ここから「完璧な手札だ!」というセリフは、手札事故を意味する言葉として有名になりました。
コメディタッチな印象が強いエピソードではありますが、「手札断殺」から始まる逆転劇(?)は遊戯王プレイヤーの中でも「ある意味、挽回の仕方としてお手本になる」と評されています。今回の例に限らず、「遊戯王」アニメはかなり、デュエルの勉強になりますよ。『遊戯王 マスターデュエル』にてデュエルを再開された方は、ぜひアニメの方もチェックしてみてはどうでしょうか。
そして、もしも自分が手札事故をしてしまったなら、「完璧な手札だ!」とうそぶいてみましょう。