『ポケットモンスター』シリーズを開発しているのは、任天堂ではなくゲームフリーク……というのはさすがに知っている人も多いかもしれません。ゲームは「開発元」と「発売元」が異なることは少なくありませんが、ユーザーには開発元までは知られていないことも多いです。それこそ、任天堂ほど大きなIPを多数所有している企業であれば、開発会社も多岐にわたります。
ゲームフリークほど有名であれば知っているけれど、どの任天堂タイトルがどこ開発なのか、実は把握しきれていないという人も多いはず。本記事では、あらためて任天堂の開発会社をおさらいし、各開発会社の歴史や役割、代表作などを挙げていきます。
紹介する開発会社は、現行のニンテンドースイッチ世代向けの任天堂発売元作品を手掛けた企業に限定しています。ただし、任天堂の子会社には限定しておらず、他ハードや他発売元に向けてソフトを提供している会社も含めています。
◇ゲームフリーク
ゲームフリークは主に『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)シリーズを作っている会社として知られていますが、実際にはかなりいろいろなゲームを開発しています。社名は、現代表取締役社長でもある田尻智氏が執筆していた同人雑誌である「ゲームフリーク」からとられており、同名の同人サークルの第一作目である『クインティ』を期に本格的にゲーム制作を開始します。
関連する企業には、クリーチャーズ、そしてクリーチャーズと任天堂共同で立ち上げた株式会社ポケモンが挙げられます。ゲームフリーク自体には任天堂との資本関係はなく、任天堂コンソール以外にもソフトを提供しています。
代表作には、ポケモンシリーズや『クインティ』のほかに、『ソリティ馬』シリーズや『スクリューブレイカー 轟振どりるれろ』が挙げられます。ニンテンドースイッチでは、ポケモン以外だと、『ソリティ馬 Ride On!』や『GIGA WRECKER ALT.』、『リトルタウンヒーロー』のほか、セガ メガドライブ for Nintendo Switch Onlineにて『パルスマン』がプレイ可能です。
ニンテンドースイッチで遊べるゲームフリーク開発のおすすめタイトル:
『パルスマン』
『ポケモン』シリーズを代表するイラストレーター杉森建氏によるキャラクターや、コンポーザー増田順一氏による音楽、田尻智氏によるディレクションなど、スタッフロールは今見るとそうそうたる顔ぶれです。ギザギザに反射しながら飛んでいく、パルスマンの特徴的なアクション「ボルテッカー」はピカチュウの技名の元ネタになっています。
◇ハル研究所
ハル研究所は設立当時、社員1名と学生アルバイト数名の、秋葉原のマンションの一室を開発室とした小さな会社でした。そのアルバイトのひとりが元任天堂社長である岩田聡氏です。高価なパソコン用のゲームを開発していた岩田聡氏でしたが、圧倒的に安価なゲーム機ファミコンの登場に衝撃を受けます。そして、ハル研究所に出資していた、任天堂と取引のあった企業に任天堂を紹介してもらい、『ピンボール』や『ゴルフ』を制作。ここからハル研究所と任天堂との関係がはじまります。
ハル研究所といえばもう一人、ゲーム業界の巨匠を送り出しています。『星のカービィ』を生み出した桜井政博氏もハル研究所出身で、これ以降ハル研究所といえば『星のカービィ』の会社として知られるようになります。
代表作には、『星のカービィ』シリーズのほか、『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』、『MOTHER2 ギーグの逆襲』、『ハコボーイ!』シリーズなどが挙げられます。
ニンテンドースイッチで遊べるハル研究所開発のおすすめタイトル:
『星のカービィ ディスカバリー』
やはり近年のハル研究所といえば『星のカービィ』シリーズ。本作は、ポストアポカリプスな世界観が妙にカービィのポップな雰囲気と調和するシリーズ最新作です。初の3Dカービィとは思えない完成されたカメラワークや手触りで、幅広い層が楽しめるアクションゲームに仕上がっています。ニンテンドースイッチの性能を最大限に引き出した美しい廃墟のビジュアルも魅力です。
◇インテリジェントシステムズ
インテリジェントシステムズは、任天堂がビデオゲーム事業に手を出した最初期から協力関係にある老舗の開発会社です。その前身となる岩崎技研工業の時点で、さまざまな任天堂タイトルの開発協力を行っており、その後メンバーが独立してインテリジェントシステムズを立ち上げます。ゲームボーイ、スーパーファミコン時期における開発支援ツールの提供や、『メトロイド』や『カエルの為に鐘は鳴る』など、任天堂タイトルの開発協力を引き続き行っていました。
インテリジェントシステムズを代表する初のゲームタイトルとなったのが『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』。その後、インテリジェントシステムズは『ファイアーエムブレム』シリーズの開発会社として知られるようになります。
代表作には、『ファイアーエムブレム』シリーズのほか、『ファミコンウォーズ』シリーズや『メイドインワリオ』シリーズ、『パネルでポン』シリーズや『ペーパーマリオ』シリーズが挙げられます。
ニンテンドースイッチで遊べるインテリジェントシステムズ開発のおすすめタイトル:
『ペーパーマリオ オリガミキング』
本作は『スーパーマリオRPG』の後継作『マリオストーリー』から続く『ペーパーマリオ』シリーズの最新作で、現在はRPGというよりも良質なアドベンチャーゲームとしての側面の強いタイトルとなっています。「マリオでこんな展開アリなの?」と思えるような、本編では見られないブラックジョークや、極めて個性的なキャラクター、起伏に富んだイベントの数々が魅力です。
◇モノリスソフト
上の3社と比べると、モノリスソフトと任天堂との関係は比較的最近築かれたものと言えます。モノリスソフトは、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の出資によって設立され、『ゼノサーガ』シリーズや『バテン・カイトス』シリーズなどの開発を行っていました。
2007年から2011年にかけて、任天堂に株式の譲渡が行われ連結子会社化。現在では『ゼノブレイド』シリーズの開発や、主要な任天堂タイトルの開発支援を行っています。特に、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』では『ゼノブレイドクロス』経験者や『ゼノブレイド2』のスタッフが多数参加するなど、密接な関係がうかがえます。『ゼノブレイド2』の主人公レックスの衣装が「サルベージャーシリーズ」として『ブレス オブ ザ ワイルド』に実装されたのも納得です。
代表作は『ゼノブレイド』シリーズのほか、『ゼノサーガ』シリーズや『バテン・カイトス』シリーズ、『PROJECT X ZONE』シリーズなど、RPG作品を中心に手掛けています。
ニンテンドースイッチで遊べるモノリスソフト開発のおすすめタイトル:
『ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション』
今では任天堂を代表するRPGシリーズとなった『ゼノブレイド』シリーズ。その原点を描く本作は、主要なキャラクターのモデルなどを一新したリッチなリマスター版です。巨大な2対の神々の体の上がそのままフィールドになっているという特殊な舞台設定と、序盤の引きからラストの締めまで丁寧に練られた見どころの多いシナリオ展開が魅力です。リマスター版だけの追加ストーリーも収録されています。
そのほかの任天堂タイトル開発会社
◇プラチナゲームズ
任天堂コンソール向けには、主に『ベヨネッタ』シリーズを開発しています。そのほか、完全新作となる『ASTRAL CHAIN』もニンテンドースイッチ向けに発売しました。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『ベヨネッタ3』
◇キャメロット
元々RPGタイトルを中心に制作していた会社でしたが、スポーツゲームとしては『みんなのGOLF』が初のヒット。近年ではマリオのスポーツゲームを主に担当しています。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『マリオテニス エース』
◇グレッゾ
主に任天堂タイトルの移植やリメイクを担当している会社です。『Ever Oasis 精霊とタネビトの蜃気楼』や『ゼルダの伝説 トライフォース3銃士』など、一部オリジナルタイトルも展開しています。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『ゼルダの伝説 夢をみる島』
◇バンダイナムコエンターテインメント
バンダイナムコスタジオの「第2スタジオ/Sスタジオ」は、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』の開発や、『マリオカート8 デラックス』の開発協力などを行っています。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』
◇エヌディーキューブ
『マリオパーティ』シリーズを中心に、『Wii Party』や『世界のアソビ大全51』など、任天堂のパーティゲームを開発している会社です。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『スーパーマリオパーティ』
◇Next Level Games
『ルイージマンション2』以降の『ルイージマンション』シリーズおよび『マリオストライカーズ』シリーズを開発している会社です。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『ルイージマンション3』
◇グッド・フィール
『毛糸のカービィ』や『ヨッシーウールワールド』などを開発している会社ですが、去年にはセルフパブリッシングにて『御伽活劇 豆狸のバケル ~オラクル祭太郎の祭難!!~』もリリースしていました。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『ヨッシークラフトワールド』
◇レトロスタジオ
主に『メトロイドプライム』シリーズを開発している会社ですが、近年は『ドンキーコングリターンズ』や、続編の『ドンキーコング トロピカルフリーズ』を担当していました。現在は『メトロイドプライム4』を開発中です。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『メトロイドプライム リマスタード』
◇MercurySteam
元々『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』シリーズを主に開発していた会社でしたが、『メトロイド2』のリメイク『メトロイド サムスリターンズ』での手腕を買われ、19年ぶりとなる2D『メトロイド』シリーズの最新作『メトロイド ドレッド』の開発を担当しました。
ニンテンドースイッチ向け代表作:『メトロイド ドレッド』
まだまだあるよ!任天堂が発売元のタイトル開発会社 / ニンテンドースイッチ向け代表作
◇コーエーテクモゲームス / 『ゼルダ無双 厄災の黙示録』
◇Nintendo Software Technologies / 『マリオvs.ドンキーコング』
◇インディーズゼロ / 『超回転 寿司ストライカー The Way of Sushido』
◇Velan Studios / 『マリオカート ライブ ホームサーキット』
◇アリカ / 『TETRIS 99』
◇アルテピアッツァ / 『スーパーマリオRPG』
◇MAGES. / 『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』
◇アークシステムワークス / 『アナザーコード リコレクション:2つの記憶 / 記憶の扉』
◇アトラス / 『幻影異聞録#FE Encore』
◇Toybox / 『DCスーパーヒーローガールズ ティーンパワー』
◇SFB Games / 『いっしょにチョキッと スニッパーズ プラス』
◇Paladin Studios / 『Good Job!』
◇Tarsier Studios / 『ストレッチャーズ』
意外と知らないという開発元も多かったのではないでしょうか?ひとくちに任天堂のタイトルといっても様々なチーム、会社が開発しており、それぞれに色があります。気に入ったタイトルの開発会社がどこなのか、意識して追ってみるとより自分好みのゲームを見つけられるかもしれません。ちなみに筆者はインテリジェントシステムズ推しです。
※UPDATE(2024/03/13 19:16): 「バンダイナムコエンターテインメント」の項目を一部変更しました。
※UPDATE(2024/03/10 22:00):一部メーカー名を追記しました。コメントでのご指摘ありがとうございます。