ScanSnapをきっかけに「整理整頓」を始めた結果、単に本をスキャンしてPDF化するというだけにとどまらず、その何倍ものスペースを得ました。一方、スキャンしたデータはどう活用していくことになったのでしょうか。こちらも大きな変化があったのです。
ScanSnapから始まる「お部屋のリストラ」。前回は空間系のお話について書きました。
要はScanSnapをきっかけに、本だけでなく諸々の雑貨を含む「部屋の収納空間の整理整頓」を始めた結果、単に本をスキャンしてPDF化するというだけにとどまらず、その何倍ものスペース創出効果が得られたという話でしたが、一方の情報系の話題についてはまだ書いておりません。
「情報系」というのは、「本」から得られる「情報」自体をどう活かすかという話です。
「本」は持っているだけではただの物体です。そこから得られる情報を利用してこそ役に立つものなわけで、「利用」できなかったら、紙のままだろうが電子化しようが大差はありません。それどころか、自炊の手間をかける分だけ無駄骨折りと言われてもやむを得ないでしょう。
結局のところ「死蔵」している本の山、これが果たして日の目を見ることはあるのでしょうか? ScanSnapがいくら高速でも、1日が48時間になるわけではありません。そもそも本を読む時間がなければ、PDF化したデータも空しくHDDの肥やしになるだけです。
そんな一抹の不安を感じつつも蔵書のPDF化を進めて10数冊が溜まった時のこと。私はいつものようにそのPDFを溜め込んだiPadを抱えて外出しました。といっても別に外出先でそれを読むつもりはまったくなく、メールやTwitterといったコミュニケーションデバイスとしてiPadを持ち出しただけでした。
ところが、電車の中で首尾良く座れて、ふと手持ちぶさたを感じたその瞬間、
と思い立ってiPadを開いてみたわけです。PDFをiPadで見る方法もいろいろありますが、書籍なので例えば「ブック」として転送してやると「iBooks」というアプリで読めるようになります。iBooksでは写真左のような本棚形式や、写真右のようなリスト形式でPDFファイルを表示し、そこから選択して読むことになります。
本棚形式のほうは、本の表紙が見えるようになって、いかにも本棚風に表示されているのがお分かりでしょうか。ここから1冊を選んで読み始めた私は、
いや、自分で買って一度は読んだ本なんですけど、忘れたころに改めて読むと新鮮なんですね。結構夢中になって読み始めてしまいました。
iBooksでは、PDFに対してページ毎に「しおり」をつけることができます。
「お、ここ重要!」と思ったページで右上の「しおり」アイコンをタッチすると、そのページにしおりがついた状態になります。また、本の内容をサムネイル表示にすると、どのページにしおりがついているかをざっと確認できます。
というわけでいつしか私はiPadで書籍PDFを読みながらバンバン「しおり」をつけていきました。電車の中でまとまった原稿を書くような作業はできませんが、こうしておけば仕事場に帰ってからこれをヒントに原稿書きができます。電車の中でのちょっとしたスキマ時間は、この種の読み方をするには手ごろな時間でした。
そんなふうにすっかり「iPad読書」に馴染んでしまった私でしたが、考えてみれば同じことは紙の本のままでもできそうなものです。なぜ、今まではやらなかったのでしょう?
答えは簡単で、
です。実際にはよほど気になっている本でない限りこんなことはしませんよね。「あ、今日は電車の中で読むかもしれない本を10冊持っていこう」なんて、ありえません。「1冊持っていこう」でさえ、荷物が増えることを考えるとやりにくいものです。
その「ありえない」ことがデジタル化すればできます。PDF化してiPadに溜めておけばできます。要するに、
だったのです。たまたま手が空いた、その時に、手の届く範囲に興味深い本があるかどうか? 私の場合はこれが死蔵本再登場の成否を分ける要因だったようです。紙媒体では、外出先でのちょっとした待ち時間に押し入れや倉庫の死蔵本をあさることは不可能ですが、デジタル化してあればそれが可能。これは、実際にスキャンしてiPadで持ち歩いてみて初めて実感しました。
あとは実際使ってみて分かった「iPad読書の意外な長所」ですが、
ということがあります。紙の本だと、ページがめくれるのを押さえるために片手を使うか、重しを使うかしなければいけませんが、iPadならそれが必要ありません。マナーが悪いことに目をつぶれば、ナイフとフォークを両手に持ったままでも小指の先でチョチョイッとスクロールができるので、出先で1人で食事をしながら読むのには紙の本より便利でした。
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