アラフォーの鬼編集者に囲まれつつも、毎日必死で記事を書いている新人のスズキとアオヤギ。元高校球児で“史上最強の応援団長”の呼び名を持つスズキと、家にいるのが何よりも好きな女オタクのアオヤギ。平成生まれの2人が「最近気になること」に突撃していきます。連載バックナンバーはこちら。
鈴木 先月もいろんなニュースがあったけど、一番驚いたのは「SMAP」の解散だな。個人的にも好きなグループだったし、寂しくなるなぁ。
青柳 男性アイドルの歴史から考えても、かなり存在感を放っているグループですもんね。SMAPくらいの国民的アイドルグループが解散したら、日本経済にとってもマイナスなのでは……?
鈴木 ファンの数も多いし、相当なお金が動いているはず。
青柳 コンサートだけでなく、テレビ番組やCMの出演料、関連グッズの売り上げなどいろいろ収益源がありますからね。SMAP解散による経済損失、調べてきてくださいよ!
鈴木 確かに、気になるな……専門家に会って聞いてくる!
8月14日に解散を発表したアイドルグループのSMAP――。1988年の結成以来、音楽活動のみならずバラエティ番組、ドラマ、映画など多方面で活躍し、国民的人気を博してきた。
そのSMAPが解散した場合、どのくらいの経済損失となるのか。今年1月、SMAP解散騒動をきっかけに、それを算出した人物がいる。関西大学の宮本勝浩名誉教授(経済学者)だ。
損失額はどのくらいなのか、また、その額は他のアイドルグル―プと比べてどのくらい大きいのか、宮本教授に聞いた。
鈴木: SMAPは年間でどのくらいの経済効果を生んでいるのでしょうか。内訳を含めて教えてください!
宮本: まず、ファンクラブの年間収入が約40億円あります。入会している約98万人の入会金や年会費ですね。
鈴木: ファンクラブだけで40億円……。「活動休止」状態でも年間でそれだけ入ってくるわけですから、「解散」と「休止」では大きな違いですね。
宮本: そうなんですよ。続けますと、コンサートの収入が95億円。CD、DVDの収入が約23億円。ドラマやCMなどのテレビ出演の収入が約60億円。関連グッズの収入が30億円。そして、コンサートに参加する年間100万人近くが使う交通費や飲食費、宿泊費が約30億円になりますので、ここまでの合計が280億になります。
鈴木: では、SMAPの年間経済効果は280億円?
宮本: いいえ、違います。経済学では、SMAPファンの人が使ったこの280億は「直接効果」と呼ばれています。経済効果を分析するときには、このお金(直接効果)がどれだけ周辺に影響を及ぼしているのか調べるために、一次波及効果、二次波及効果まで計算します。
鈴木: 面倒臭そうですね……その一次波及効果とは、どういうものなんでしょうか?
宮本: 一次波及効果というのは、ファンが使った280億円分の“原材料”となるお金を指しています。例えば、CDが売れれば、CD本体やケースなどの材料を作っている会社ももうけますよね。他にも、コンサート会場内で食べ物が売れれば、その食べ物の仕入れ先にもお金が回ります。計算したところ、この一次波及効果が219億円ありました。
鈴木: なるほど。二次波及効果は?
宮本: 二次波及効果は、先ほど言った原材料を作っている会社やグッズショップ、コンサート会場内の飲食店などの関連会社(店舗)で働く人の所得です。SMAPが活動することによって、その人たちにも所得が生まれ、その分消費も増えるということですね。この二次波及効果は137億円でした。
このように経済効果を算出するときは、「直接効果」「一次波及効果」「二次波及効果」の3つを計算するわけですが、これを合計すると636億円になります。これが、SMAPが1年間活動することによって生み出されるお金の量(経済効果)なのです。
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