電気代高騰や猛暑を背景に企業が「ひんやりグッズ」に商機を見いだしている。ヒットしている商品はどのようにして開発されたのか? 売り場のトレンドはどうなっているのか? 消費者のトレンドや開発の舞台裏に迫る
暑い夏の風呂上がり。温泉や銭湯の脱衣所に置いてあるような、大きな扇風機の風に当たるのはとても気持ちいい。自宅にいながらでもできたらいいのに――。そんな社員の思い付きから生まれたユニークな扇風機がある。家電メーカーのサンコーが手掛ける「のれる扇風機」(希望小売価格1万2800円)だ。今年4月に発売したところ初回生産分の5000台は完売。予想以上のヒットとなった理由について、同社に聞いた。
のれる扇風機はその名の通り、製品に乗ると下から風が出る扇風機。本体に自動スイッチを内蔵しているので、片足を乗せた瞬間スイッチが入り、下りると自動で止まる仕組みだ。風呂上がりにすぐ乗れるよう、体がぬれた状態のままで使用可能となっている。
風量は強弱の2段階で、スイッチで切り替える。最大風速は秒速35メートルだ。個人差はあれど、数十秒乗れば気化熱によりかなり涼しく感じるという。
開発を担当したのは、同社企画部の新村孝司さん。もともと大の風呂好きで、湯船にゆっくりつかるのが日課だという。しかし、夏場の脱衣所はとても蒸し暑く、せっかく風呂に入ったのに汗だくになってしまうという難点があった。
何とか涼しくできないかと扇風機を脱衣所に持ち込んでいたが、置く場所にも困る上、風も全身には当たらず物足りなかった。そこで、自宅の狭い脱衣所でも、全身に風が当たるような扇風機を作れないかと思い立ち、開発が始まった。
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