多くの人にとって旅の写真といえば、訪れた場所や旅先での出来事を記録し、思い出として刻むことが目的だろう。だが、旅のスタイルは人それぞれ。写真撮影を趣味にしている人なら、撮ること自体が目的の旅もあるはずだ。初めて訪れる場所では何もかもが新鮮に見え、撮影意欲が刺激されるに違いない。
一緒に旅する家族や友人、恋人を撮る場合でも、旅先だからといって笑顔の記念写真ばかりでは味気ない。日常生活から離れた場所にいるときこそ、いつもとは違った新しい表情が写せるチャンスである。身近な人を主人公にして、ロードムービーの1コマのような写真を撮る。今回の旅はそんなテーマでスタートした。
使用機材は、富士フイルム「FUJIFILM X-E1」だ。フィルムカメラを思わせるレトロなボディに、同社自慢の最新テクノロジーを凝縮したミラーレスカメラである。絞りやシャッター速度、露出補正といった各種の設定を、専用のダイヤルを使ってアナログ感覚で操作できることがこのカメラの大きな魅力になっている。
レンズについては、超広角と広角、標準、中望遠という4本の単焦点XFレンズを用意した。いずれも開放F値が明るく、ボケを生かした撮影や薄暗いシーンに強いレンズだ。ズームレンズに比べると少々かさばるが、それでも、この4本にカメラを加えた総重量は約1103グラム。画質と明るさにこだわりながら、この重量に収まっているのはありがたい。
各レンズの特長を順にチェックしながら、そのレンズで撮影した写真を見ていこう。まず中望遠レンズ「XF60mmF2.4 R Macro」は、今回の4本のレンズの中で、最も焦点距離が長いレンズだ。35ミリ換算の焦点距離は91ミリ相当となり、人物の顔や上半身を大きなサイズでとらえたり、風景の一部を切り取るような感覚で撮るのに適している。
下の写真は「XF60mmF2.4 R Macro」を使用し、波止場の端に座った人物を引き気味の構図でとらえたもの。絞りはF4に設定。背景の海をうっすらとボカした上で、露出を明るめにして、シュールな雰囲気を狙ってみた。その次は、日没直後の時間帯に撮影したポートレートだ。街灯の光を利用して顔の右側に赤みを加えている。
次の2枚は、同じく「XF60mmF2.4 R Macro」で撮影した海辺の1コマだ。行楽シーズンの海は、多くの人たちでにぎわっている。人が集まるところには、さまざまなドラマがある。海辺を散歩しながら、ドラマチックで絵になる光景を探すのも楽しいだろう。
この「XF60mmF2.4 R Macro」は、製品名にMacroの文字が入っていることから分かるように、接写性能が高い。最短の撮影距離は26.7センチで、最大の撮影倍率は0.5倍。SDメモリカードを横に2枚並べたくらいの大きさを画面いっぱいに写すことができる。
下の2枚はマクロモードを使って撮影したもの。絞りは開放値のF2.4に設定。ピントを合わせた花はシャープに結像し、そこから前後に向かってスムーズなボケが生じている。今の季節なら、こうした鮮やかな花や草木があちこちで見られるはずだ。
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