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OpenAIの評価額は約23兆円 投資した企業の一部が明らかに

OpenAIは2024年10月に新たな資金調達を行ったことで、ベンチャーキャピタルが支援する企業の中で評価額が世界で3位になった。さまざまな投資家から支援を受け、AIの研究の促進と計算能力の強化を行う予定だという。

» 2024年11月14日 07時00分 公開
[Alexei AlexisCFO Dive]

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CFO Dive

 「ChatGPT」を開発したOpenAIは2024年10月3日(現地時間、以下同)、新たに66億ドルを調達し、評価額が1570億ドルに達したと発表した。

 同社は「この新たな資金調達によりAIの研究を促進させ、その計算能力を拡充し、人々が困難な問題を解決するのに役立つツールを構築し続けられる」とプレスリリースで述べた(注1)。

投資した企業の一部が明らかに 成長に向けたさらなる一手も

 この動きは、OpenAIが新規株式公開を検討しているのではないかとの憶測が飛び交う最中の出来事であり、2024年6月に就任したCFO(最高財務責任者)のサラ・フリアー氏が積極的に戦略をアピールする中で行われた(注2)。

 Wedbush Securitiesのダン・アイブズ氏(シニア・エクイティ・リサーチ・アナリスト)は「これはAI革命の大きな節目であり、OpenAIのプラットフォームの本質的な価値を物語っている」と述べた。

 「Thomson Reuters」などによると、今回の資金調達ラウンドはThrive Capital Managementが主導し、MicrosoftやNVIDIAなど他の投資家も参加したという(注3)。OpenAIは投資家の名前は明らかにしていない。

 しかし、すでにOpenAIの主要な支援者だったMicrosoftはこの資金調達ラウンドの参加者であることが確認されており、同社広報担当者は「OpenAIとパートナーシップを継続できることを楽しみにしている」と述べている。

 Thrive Capital Managementはコメント要請にすぐには応じず、NVIDIAもコメントを控えた。

 「Wall Street Journal」によるとOpenAIの評価額は2024年初めには860億ドルだったが(注4)、今回の資金調達によりイーロン・マスク氏のSpace Exploration Technologies(評価額1800億ドル)、「TikTok」を運営するByteDance(評価額2200億ドル)に次いで、「OpenAIはベンチャーキャピタルが支援する企業の中で世界で3番目に価値のある企業になった」とPitchBook Dataは述べる(注5)。

 OpenAIの新たな資本注入は、「GPT-4」のような最先端のAI技術の研究を加速させ、より大規模で強力なコンピューティングインフラを取得・構築することなどに役立つと、調査会社Everest Globalのニティッシュ・ミタル氏(技術部門パートナー)は話す。

 「AIモデルの訓練と運用には膨大な計算リソースが必要だ」(ミタル氏)

 一方、OpenAIは2024年10月3日、JPMorgan ChaseやCitigroup、The Goldman Sachs Group、Morgan Stanley、Banco Santander S.A.、Wells Fargo、三井住友銀行、UBS Group AG、HSBC Holdings plcと共に、40億ドルの新たな融資枠を設定したことも発表した。

 サラ・フリアー氏は「この融資枠は当社のバランスシートをさらに強化し、将来の成長機会を柔軟に捉えられるようになる。世界で最も強力な銀行と投資家がわれわれをサポートしてくれることを誇りに思う」と述べた(注6)。

 2024年9月第4週、フリアー氏は投資家に宛てたメールの中でCTO(最高技術責任者)のミライ・ムラーティ氏が退任したことに触れ、同社には「依然として優れたリーダー層がいる」と主張したと、Consumer News and Business Channel(CNBC)は報じた(注7)。

 2024年11月で、OpenAIがChatGPTを発表してから2年が経つ。ChatGPTは世界の注目を集め、MicrosoftやAlphabetなどの大手テック企業によるAI投資競争を引き起こした。

 「The New York Times」の報道によると、OpenAIの2024年8月の売上は3億ドルに達し、2023年に入ってから1700%増加しているという(注8)。同社は2024年の売上高を約37億ドルと見込んでおり、サービス運営に関わる費用やその他の経費を考慮すると、約50億ドルの赤字になる見込みだという。

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