下り最大3.6Mbpsの高速パケット通信が可能なコンパクトフラッシュ(CF)型のHSDPA対応データ通信カード「C01SI」がソフトバンクモバイルから登場した。ソフトバンク3Gのエリアなら全国で利用でき、魅力的な料金プランも備えるこの製品をチェックしてみた。
ソフトバンクモバイルが発売したC01SIは、ソフトバンクの3Gネットワークで利用可能なHSDPA対応のデータ通信カードだ。CFタイプのHSDPAデータ通信カードとしては、すでにイー・モバイルが「D01NX」を発売しているが、こちらはまだ利用可能エリアが3大都市圏中心で、各地の政令指定都市への展開が始まったばかり。またNTTドコモはHSDPA対応通信カードはPCカードタイプの「M2501」しか発売しておらず、現時点では全国レベルで利用できる唯一のCF型HSDPA通信カードとなる。
C01SIを開発したのは、W-CDMA対応のCF型データ通信カード「VC701SI」と同じセイコーインスツル。ウィルコム向けにも複数の製品を供給している、データ通信カードの定番メーカーであり、VC701SIのレビューでも触れたように、使い勝手を左右するユーティリティの出来にも定評があるだけに、本製品の性能および使い勝手にも期待がかかる。
カードの形状はCF TypeII Extendedで、付属のPCカードアダプタを装着すればPCカードスロットにも挿入可能。スロットから少々飛び出す部分には可動式のアンテナを備える。
VC701SIや、イー・モバイルのD01NXに付属する外部接続アンテナは本機には付属しない。これは本機が外部アンテナなしでもHSDPA本来の通信速度で利用できるよう、チューニングされているためで、外部アンテナを必要としない自信の現れだろう。なおアンテナ接続用のコネクタ自体は側面に準備されている。
スペック上の通信速度は、HSDPA対応エリアで下り最大3.6Mbps、上り最大384Kbps。HSDPA非対応エリアでは下り最大384Kbps、上り最大64Kbpsでのパケット通信が可能で、回線交換で接続すれば送受信共に最大64Kbpsでの通信もできる。
ソフトバンクモバイルは詳細なHSDPA対応エリアを公開していないが、本機の発売開始時のリリースでは「全国の政令指定都市および主要都市、首都圏/16号線内、東海/名古屋市および周辺の主要都市、静岡市、関西/京阪神エリア」がHSDPA対応としていた。大都市圏に加えて都道府県庁所在地、都道府県内での主要都市まで既にカバーしているドコモと比較するとまだまだHSDPA対応エリアは狭いが、非対応エリアでもW-CDMAでのデータ通信が行えるので、エリアに関してはさほど気にする必要はなさそうだ。
幅広いOSのサポートも本機の魅力の1つ。本機は汎用モデム(シリアルポート)としてOSに認識させることが可能なため、Windows Vistaを含むWindows 98 SE以降のWindowsはもちろん、Mac OS X、Linux、Windows Mobile、Pocket PCなど、汎用モデムドライバを標準装備する多くのOSで動作する。実際にLinuxザウルスで使用してみたが、別途ドライバをインストールすることなく汎用モデムとして認識され、プロバイダ(ISP)に「アクセスインターネット」を利用して問題なくインターネットに接続できた。
パッケージは2枚組みCDのケース程度のサイズに収められ、保護ケースとしてそのまま携帯することも可能。出張や旅行時などには役に立ちそうだが、日々の持ち歩くには邪魔になるサイズだ。できれば本体+PCカードアダプタを収容できるケースも用意してほしいところ。筆者も体験しているし、身の回りにも例が多いのだが、カードをPCに差しっぱなしだとPCカードスロット側を破壊する恐れもあるので、日常的な利用でもやはり移動中はPCから取り外して携帯したいのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.