既報の通り、Sony EricssonがAndroidスマートフォンの新製品「Xperia arc」を発表した。写真や動画といったメディアを楽しむためのエンタテインメント機能とデザインにフォーカスしたスマートフォンという従来のXperiaシリーズのブランドコンセプトを継承しつつ、より薄型・軽量の筐体や、Mobile BRAVIA Engine、高画質カメラ、最新のAndroid OSの搭載など、ハードウェアとソフトウェアの両面に磨きがかけられている。
製品を手にして、現行モデルの「Xperia X10」(日本名は「Xperia SO-01B」)から大きく変わったとすぐに実感できるのが、狭額縁で筐体との一体感が高い液晶ディスプレイだ。画面サイズはX10の4インチから4.2インチ(解像度はともに480×854ピクセル)に大型化されたにもかかわらず、ベゼル部分を可能な限り狭くしたことで本体幅は従来と変わらない63ミリを実現している。重量も135グラムから117グラム(いずれもグローバル版の数値)と大幅に軽量化されており、アーク形状の薄型フォルムとあいまって、実際に持った感覚では従来よりもスリムになったかのような印象さえ受けた。
ディスプレイには、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」でも使われている、液晶パネルと指が触れるガラス部分との間にすき間をなくす「クリアブラックパネル」を採用した。これによって液晶パネル表面とガラス面の間で起こる光の反射を防ぎ、より鮮明な画面表示が可能となった。画面上の表示と指の距離がより近くなるため、操作感もより良好になっている。加えて、BRAVIAに用いられている高画質化技術を携帯電話向けに移植した「Mobile BRAVIA Engine」の搭載により、写真や動画の再生時のコントラストや色調、シャープネスを向上させたほか、YouTubeにアップロードされた低ビットレートのコンテンツなど、デジタル圧縮に起因するノイズが低減されている。
Mobile BRAVIA Engineは、すべての画面表示について一律に作用するのではなく、Android OSのメディア再生APIを利用したときにのみ有効になるという。これは、文字の表示が不自然になったり、Webサイトの表示が意図しない色彩になったりすることを防ぐためだという。つまり、AndroidマーケットからダウンロードしたゲームなどではMobile BRAVIA Engineの効果は得られないが、標準のメディア再生APIを利用するメディアプレーヤーソフトなどでは恩恵を受けられる可能性がある(確実にサポートされるのはプリインストールアプリのみ)。また、画面設定の項目としてMobile BRAVIA Engineのオン/オフが加えられており、ユーザーが任意に切り替えることができる。
カメラの撮像素子として採用された「Exmor R for mobile」は、ハンディカムやCyber-shotで実績のある裏面照射型CMOSセンサーで、暗所での撮影時にも高感度、低ノイズを実現できるのが特徴。また、カメラ機能に関しては独自のユーザーインタフェースを搭載し、機能と使い勝手が向上している。
OSのバージョンはAndroid 2.3で、現状で発表されているAndroidスマートフォンとしてはGoogleの「Nexus S」に続く2.3採用機となる。ユーザーインタフェースの一部で、操作性を改善させる工夫が加えられている。例えばアプリのアイコンを重ね合わせることでフォルダを作成できるほか、複数あるホーム画面のどのページを開いているときも共通のアプリが表示される「ステージ」と呼ばれる枠が用意される。なお、ソーシャルWebサービスを一覧できる「Timescape」は利用できるが、写真、動画、音楽を一括で管理できる「Mediascape」の搭載はXperia arcでは見送られている。
他のAV機器の連携では、Xperia arcをDLNAサーバとして動作させることのできるメディアサーバアプリを搭載しており、内蔵カメラで撮影した写真や動画を無線LAN経由で大画面のテレビに映し出すといった使い方が可能。
HDMI端子も備えており、BRAVIAなどのテレビにHDMIケーブルを利用して接続することが可能。ケーブルを接続するとBRAVIA側の電源オンと入力切り替え、Xperia arc側のギャラリーアプリ起動が自動で行われる。Xperia arcの画面がそのまま出力されるため、ブラウザやマップ機能もテレビで見られる。さらに、動画の再生や停止、画像の前へ/次へ、ブラウジングといった操作をBRAVIAのリモコンで行える。このコントロール機能はHDMI規格に含まれるCEC(Consumer Electronics Control)の仕組みを利用しているので、サポート外ではあるが、他社のテレビと接続した場合でも一部の操作を行える可能性がある。
今回はグローバル市場に向けての発表で、海外も含め各国での提供先の通信事業者名や価格などには一切触れられていないが、日本市場でも販売される見込み。発売時期については地域によるが、2011年の第1四半期から順次となる予定。
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