NTTドコモが9月23日、「ミリ波」を使った5G通信サービスを開始しました。ミリ波サービスでは下り最大4.1Gbps、上り最大278Mbpsの高速通信が可能で、2020年冬以降には上りの最大速度が480Mbpsに増速される見通しです(いずれも理論値)。
30GHz前後の周波数帯の電波を使うミリ波のサービスは、3月から提供している「Sub-6」(6GHz以下の帯域:ドコモの場合3.7GHz帯と4.5GHz帯を利用)と比べると、電波の帯域(広さ)を確保しやすく、そのことでより高速な通信を期待できます。
一方で周波数が高すぎるが故に、ミリ波は遮蔽(しゃへい)物の影響を受けやすく、電波が届きにくいという課題もあります。
10月27日現在、ドコモが発売している5G端末でハードウェア的にミリ波通信を利用できるのは「Wi-Fi STATION SH-52A」「Galaxy S20+ SC-52A」と「arrows 5G F-51A」の3機種。ただし、同日現在においてミリ波通信に対応するのはSH-52Aだけで、他の2機種は2020年冬以降に予定されているソフトウェア更新で対応する見込みです。
今回の5分で知るモバイルデータ通信活用術では、SH-52Aを使ってミリ波の5Gの“実力”をチェックしていきます。
現時点において、5G通信を利用できるエリアは限られています。エリアというよりも“スポット”という表現が合っているかもしれません。Sub-6と比べると、ミリ波はエリアがさらに限られます。
ただし、ドコモの5Gエリア(スポット)一覧では5Gエリアがミリ波に対応しているかどうかでスポットを絞り込めるので、記載されている場所に行けば、ほぼ確実にミリ波の通信を体感できるはず……でした。
今回、筆者は成田国際空港の第3ターミナル(千葉県成田市)でミリ波の5Gを試すことにしました。エリア情報によると、第3ターミナル内のフードコート周辺がSub-6とミリ波での通信に対応しているようです。
なお、同じ空港という観点では、東京国際空港(羽田空港)(東京都大田区)にもミリ波対応5Gエリアがあります。こちらは第1/第2ターミナルのチェックインカウンター周辺や、第3ターミナル(旧国際線ターミナル)の到着ゲートと「江戸小路」の周辺で利用できます。
今回は、ミリ波にも対応すると通信速度がどのくらい変わるのを確認することが目的です。そのため、同じ場所で端末のソフトウェア更新(ミリ波対応)前と更新後に、それぞれ3回ずつ「Speedtest.net」(PC版)を使って通信速度をチェックしました。速度のロスを少なくすべく、USB 3.0接続で計測しています。
結果は、以下の通りです。
下り速度は微増しましたが、上り速度は微減となりました。ミリ波をうまくキャッチした場合、その分のスピードがある程度上乗せされるはずなので、今回はミリ波をキャッチできなかった可能性が高そうです。
ただし、計測した場所の付近では、ミリ波対応でなくとも条件が整えば下りで1Gbpsを超える速度が出ます。もしかすると、端末(SH-52A)のチューニングが不十分である可能性も否定はできません……。
今回については、「ミリ波対応エリア」であってもミリ波を確実につかめるという確証は得られませんでした。「ミリ波でこれまでよりも快適!」という結果を期待していた皆さん、すみません……。
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