2021年3月に導入された「メリハリ無制限」で、データ容量無制限にかじを切ったソフトバンク。50GBプランで2GB以下の場合料金が下がる「メリハリプラン」の仕組みを受け継ぎつつ、データ容量の上限を撤廃した。その後の約2年半、ソフトバンクはメリハリ無制限をメインブランドの“主力”と位置付けてきたが、ついにその料金プランが改定される。10月3日に受付を開始する「ペイトク」がそれだ。
最大の特徴は、傘下の決済サービスであるPayPayとの連動を強化しているところにある。選択したデータ容量に応じて、決済時の還元率が最大5%までアップ。通信と決済という2つのサービスを連動させた点では、KDDIがauの料金プランとして導入した「auマネ活プラン」にも近い。では、ソフトバンクがペイトクを導入する狙いはどこにあるのか。プランの中身や、同社の思惑を解説していく。料金は全て税込み。
大容量を主軸にしているソフトバンクだが、ペイトクでは、データ容量別に3つの料金を導入している。従来同様の無制限に加え、30GB、50GBのデータ容量を新設。Y!mobileと同様、松竹梅の3本立てに料金体系を改める。このデータ容量とPayPayの還元率が連動しているのが、ペイトク最大の特徴といってもいい。最上位プランとなる「ペイトク無制限」では、PayPayで決済した際のポイント還元が4000円分まで、5%にアップする。月8万円まで、5%還元を受けられるというわけだ。
還元率と上限額はデータ容量ごとに異なる。30GBの「ペイトク30」は1%、1000円分まで、50GBの「ペイトク50」は3%、2500円分までといった具合で、より料金が高く、データ容量の大きいプランほど還元率や還元額が高く設定されている。還元を上限いっぱいまで受けたい場合の決済額はペイトク30が10万円、ペイトク50が8万3333円。率が高いこともあり、ペイトク無制限の方が、より少ない決済額で多くのポイントを受けられる構造だ。
これまでのメリハリ無制限にあった割引も継続する。家族2人で660円、3人以上で1210円の割引を受けられる「新みんな家族割」に加え、「SoftBank光」や「SoftBank Air」とのセット割となる「おうち割 光セット」はそのままだ。同日に料金プランを改定するY!mobileと同様、PayPayカードで料金を支払うことで受けられる「PayPayカード割」も新設される。家族3人以上で契約し、光回線とセット割を組み、その料金をPayPayカードで支払うと、2497円の割引になる。
各種割引を全て適用し、PayPay還元も上限まで受けた場合の実質的な料金はペイトク30が3928円、ペイトク50が3528円、ペイトク無制限が3128円となる。PayPayの還元率に差がつけられていることもあり、データ容量が大きいほど、実質的な料金が下がる構造になっているのが面白い。割引込みの上にポイント還元まで加味しているため、必ずしもフェアな比較とはいえないが、この実質価格は楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」を下回っている。家族で契約でき、かつ光回線を引いていて、PayPayの利用頻度も高いユーザーにとっては、文字通りお得なプランといえる。
一方で、料金自体は、メリハリ無制限より高くなっているのも事実だ。メリハリ無制限は、各種割引適用前で7238円。これに対し、同じデータ容量無制限のペイトク無制限は9625円で、2387円の値上げになっている。新設されたPayPayカード割を適用したとしても、2200円の値上げだ。
逆に、メリハリ無制限と同じ金額のままペイトクプランに移行しようとすると、データ容量が30GBのペイトク30が選択肢になる。こちらの料金は7425円。メリハリ無制限との差分になるPayPayカード割を適用すると、同額の7238円に下がる。見方によっては、4000円のポイントと引き替えに、無制限プランを2200円値上げしたと捉えることもできる。値上げ分は、「ポイントを還元する上でバランスを取った。ある程度還元の原資として使っている」(ソフトバンク 専務執行役員 寺尾洋行氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.