市場にはさまざまなスマートフォンが存在するが、中には個性的な方面に差別化を図った製品も存在する。今回は「音」に特化したスマートフォンとして注目を集める「MOONDROP MIAD01」をご紹介したい。なお、今回は電波法第103条の6の解釈のもと「海外で開通した携帯電話」を日本に持ち込んで確認を行った。
MIAD01は水月雨(MOONDROP:すいげつあめ)のブランドで製品を展開する中国の成都水月雨科技有限公司が発売したスマートフォンだ。同社はイヤフォンやヘッドフォンを主に展開するメーカーで、特徴的なサウンドかつコストパフォーマンスに優れる製品群で日本のファンも多い。近年ではスマートフォン向けのスティック型DACや完全ワイヤレスイヤフォンも展開している。
そんなメーカーが初めての音楽プレーヤーを発売すると思いきや、ふたを開けたらスマートフォンだったから驚きだ。既に日本向け公式X(旧:Twitter)が技適をはじめとした各種認証手続きを行っていることを公表しており、価格や発売時期は未定ながら、日本での発売もアナウンスされている。
水月雨の商品といえば「美少女」が描かれたパッケージがおなじみだ。日本のアニメ文化からインスパイアされたもので、同社の大半の製品に描かれている。それはスマートフォンのMIAD01といえど例外ではない。
まずはスマートフォンとして見てみよう。プロセッサはMediaTekのDimensity 7050を採用するミッドレンジだ。ゲームなどは厳しいが、ブラウジングやSNS閲覧程度なら快適に動作する。メモリは12GB、ストレージ容量は256GBと必要十分。音楽プレーヤーとしての側面が強いことから、microSDスロットも備える。
通信周りはデュアルSIMに対応。5G規格にも対応しており、高速通信も可能だ。「ストリーミング対応音楽プレーヤー」という側面で評価すると、5G対応は初の製品となる。VoLTEにも対応しており、日本の通信キャリアでも問題なく利用できた。
ディスプレイは6.8型のOLEDパネルを採用。120Hzのリフレッシュレート、1920HzのPWM調光に対応するなど、意外にも高性能な仕上がりだ。指紋認証も光学式の画面内指紋認証に対応している。
一方で、LTPO(可変リフレッシュレート制御)に対応せず、現行トレンドではないエッジディスプレイを採用するなど、コスト削減のための選択と思われる部分もある。
カメラは6400万画素の標準カメラと800万画素の超広角カメラを備える。インカメラは3200万画素とハードウェア的に不足はない。光学式の手ブレ補正は備えないが、価格を考えれば妥当だ。
その一方で、メーカーが直々に「It's not good.but it works」(直訳で「よくはないが、使える」)と商品ページに記載するなど、あくまで機能として備えていて、他スマホメーカーほど注力はしていないようだ。
この他の機能としてNFCやステレオスピーカーといった一般的なスマートフォンに備わる機能も備える。バッテリー容量は5000mAhとスマートフォンとしては標準的。33W PD規格の急速充電にも対応している。
スマートフォンの本体は樹脂製だ。音質特化の製品ではノイズや共振を抑えるために、重厚な金属製のボディーとすることもあるが、この機種ではスマートフォンとしての利便性に主眼を置いたのか、軽量な本体に仕上げている。メーカーの公式情報に防水・防塵(じん)性能の記載はない。
本体のケースなどは付属しないが、メーカーがケースの3Dデータを配布しており、ユーザー自身が3Dプリンタなどを用いてケースを製作することができる。
ソフトウェアは中国メーカーの機種としては珍しく、AOSP(Android オープンソース プロジェクト)のデザインがほぼそのまま採用されている。アイコンのテーマはレトロゲームからインスパイアされたドット調のものになっているが、通常のテーマに変更もできる。基本的な操作体験はGoogle Pixelなどに近く、日本語も選択できた。
今回入手した中国向けモデルはGoogleサービスが利用できないが、公式サイトでも案内されている通り。別途ユーザーがGoogle Play Storeをダウンロードすることで、これらのサービスを利用することができる。端末自体にはもともとGoogleのコアサービスが入っているので、日本で販売される際は初回から有効になっていると思われる。
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