「CLANNAD」を開発したビジュアルアーツやドワンゴなど5社で構成する「ai sp@ce製作委員会」は4月8日、美少女ゲームの主人公と一緒に生活ができるという3D仮想空間「ai sp@ce」(アイスペース)を今夏に公開すると発表した。美少女ゲーム作品の世界観を再現した仮想空間で、お気に入りのキャラクターを育て、一緒に生活できる。
ビジュアルアーツ、オメガビジョン、サーカスが人気ゲームの世界観を提供。「CLANNAD」「SHUFFLE!」「D.C.II」(ダ・カーポII)の世界を、仮想空間上に再現する。PCにクライアントソフトをインストールして楽しむ仮想空間で、MMORPGなどを提供するヘッドロックが開発し、ドワンゴがインフラやネットサービスをサポートする。
ユーザーは、自分のアバターを作成し、お気に入りの美少女キャラクター「キャラドル」を1人選択。各作品の世界を再現した「島」にログインし、2人で一緒に生活する。家や家具を購入すれば仮想世界で“同居”も可能だ。
キャラドルにさまざまな衣装を着せたり、モーションを覚えさせたり、ダンスをさせたり――といったことが可能。キャラドルと関係を深めながら自分の好みに育てることができる。キャラドルと会話できる仕組みも備える予定だ。
2人で“生活”できるほか、フィールドを歩いてほかのユーザーとチャットすることも可能。仲良くなったユーザーとは、デジタルアイテム「携帯電話」を購入すればいつでも連絡が取れるようになる――といった仕組みも検討している。
作品の世界観を反映した島を、作品ごとに設定。各島のハブとなるエリア「アキハバラ」を設置する。現実の秋葉原をリアルに再現する予定で、住む島の異なるユーザーが交流したり、アイテムなどの店舗を出店できるようにする。
ドワンゴの「ニコニコ動画」と連携し、「ニコニコアニメチャンネル」に専用ページを設置。プレイ動画をアップロードできるようにしたり、「アキハバラ島」に設置したスクリーンにニコニコ動画上の動画を再生する――といった連携を検討する。
アイテムや衣装、家、土地、キャラクターのモーションや、モーションを作る権利などを有料販売したり、「アキハバラ島」の店舗スペースを企業向けに販売するなどして収益を得る計画。サービス開始時にクライアントソフトと特典入りの「スターターパック」を販売し、スタート時点で開発費をすべて回収する――といった手法も視野に入れる。
販売アイテムやツールは、ユーザーの要望を聞き入れながら、柔軟に追加していくという。
ドワンゴの太田豊紀副社長によると、企画は2006年にスタート。「ネット上に初音島(D.CIIの舞台)を作って土地を売りたい。主人公の女の子の隣の家は、高い値段で売れるのではないか」というサーカスのアイデアと、「複数の美少女ゲームワールドが存在するMMORPGをやりたい」というブシロードのアイデアから始まった。当時ドワンゴはモバイル中心の会社だったが、07年にブレイクした「ニコニコ動画」で高トラフィックのネットサービスのノウハウを蓄積し、実現が可能になったという。
「ネット上の行動の起点が、テキストをベースにした検索から動画に変わってている。3次元世界がネットの最初の起点になる時代が来るだろう」と太田副社長は展望。「3Dのオンラインゲームは“焼畑的”にワールドを作ってお金を回収し、しばらくすると廃れるというライフサイクルが多いが、ai sp@ceは、ユーザーがネットの拠点と認識してもらえるサービスになっている」と述べた。
「『CLANNADは人生』という言葉が昨年、流行語大賞の候補にもなったが、これは意外と本質をついてるのでは。ゲームの中の街で人生を送るようなものにしたいと、企画者は当初から考えていた」――ビジュアルアーツの丘野塔也さんは話す(関連記事:こんな言葉も流行りました 07年ネット用語大全)。
「ai sp@ceの話を最初に聞いたとき『萌え要素だけを売りにした仮想空間は成り立つのだろうか』と疑問を感じたが、CLANNADユーザーは『ずっとCLANNADの世界にひたっていたい』と思っている。自分が主人公になってゲームに入れるのは夢のような世界。ai sp@ceで楽しい人生を過ごしてもらえれば」(丘野さん)
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