しかし、これがAppleブランドの終わりの始まりだとは思いがたい。iPhoneの数件の爆発と過熱では、同社がIT業界で支配的な地位を失うことはないだろう。確かにこのような問題は理想的ではないが、人々がiPhoneやMacBook Proの購入に二の足を踏むほど広がっているわけではない。
これがAppleでなくほかの企業だったら、命取りになる可能性もあるだろう。DellとソニーはノートPCのバッテリーの爆発事故が起きたとき、ユーザーからの抗議に対応した。過熱問題を経験した企業はすべて、売り上げを失う前に急いで問題を修正している。
だがAppleはまったく違う存在だ。消費者から非常に尊敬されている。おそらく間違いなく、市場で「一番クールな」製品を有している。スティーブ・ジョブズ氏がIT業界に及ぼしてきた影響を無視するのは簡単かもしれないが、同氏はマニアではない普通の人にも知られている有名人だ。問題があるかもしれないのにもApple製品が売れているのは、こういう要素が影響している。
もう1つAppleを支えている要素が、忠実なファンだ。Appleファンは熱狂的で、Appleと同社が提供するすべてのものを愛している。iPhoneが爆発しようがしまいが、彼らはAppleとそのリーダーのスティーブ・ジョブズ氏を支持する。もっと重要なのは、彼らが最後までAppleを支持し、擁護するということだ。問題が起きようと、彼らの心の中では、AppleはそれでもIT業界で最も素晴らしく輝かしい企業なのだ。
これはAppleにとっては大きなアドバンテージだ。同社は、ファンが騒動を鎮圧し、同社の長所を宣伝し、うまくすれば問題をすべて片付けてくれると当てにしていいのだと知っている。
だから、最近のトラブルがAppleとそのブランドに及ぼす影響を考えるときには、Appleがこれまでに直面した中で最大の問題ではないということに留意した方がいいだろう。そして忠実なファンのおかげで、おそらくはその影響もそんなにひどいものにはならないだろう。
だからといって、それでいいというわけではない。
Appleは製品の改善に取り掛かる必要がある。最近の問題は特殊なケースかもしれないが、iPhoneの過熱や爆発は受け入れられない。こうした問題がもっと広がり、一貫して起きるようになったら、Appleと言えどその品質と信頼性の評判に傷が付くのは避けられないかもしれない。
簡単なことだ。
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