自分の決断に自信が持てないときは、手を洗えばいい。迷いも洗い流すことができる――米大学の心理学者が、このような研究結果を発表した。
米ミシガン大学の心理学者によると、手を洗う行為には過去の決断や行動の影響を減らす効果があることが実験で示されたという。この研究は5月7日発行のScience誌に掲載されている。
同校の実験では、大学生を被験者として、30枚のCDの中から好きなものを10枚選ばせて、好きな順に順位をつけさせた。被験者には、謝礼として5番目か6番目に好きなCDをあげると告げた。その後、別の調査と称して、被験者を液体石けんの商品テストに参加させた。被験者の半数は容器を見るだけで、もう半数は実際に液体石けんを使って手を洗った。その後被験者は、再度10枚のCDに順位をつけた。
石けんの容器を見ただけの被験者は、決断に迷いが見られ、CDの順位を変えた。また、人は「自分が選んだものを高く評価し、選ばなかったものを低く評価して、自分の決断を正当化する」傾向があるが、これらの被験者にもその傾向が見られたという。
だが手を洗った被験者には、2度目にCDの順位をつけたときにこのような正当化は見られなかったと研究者は報告している。
ジャムと消毒用ティッシュでも同様の実験を行ったところ、同じ結果が得られたという。「消毒用ティッシュを見ただけの被験者は、自分が選んだジャムの味は、選ばなかったものよりずっといいと予想した。実際に手を拭いた被験者にはそのような傾向はなかった」と研究者は述べている。
過去の研究では、手を洗う行為には道徳的な罪悪感をぬぐう効果があることが示されている。今回の実験で、道徳と関係がない場合でも、手を洗うことには「過去の決断の影響を抑え、正当化の必要性を減らす」効果があることが分かったという。
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