「若者が政治に関心がないことは、悪いことではない」「安倍総理は政治家として恵まれている」――。麻生太郎副総理が9月9日、角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校「N高等学校」(N高)が設立した「N高政治部」の授業に登壇。SNS上の批判への対処法にも触れながら、生徒たちに講演を行った。
N高政治部は生徒が政治家や有機者と直接意見を交わし、政治について学ぶ場。特別講師に国際政治学者の三浦瑠麗氏が就任し、初回授業のゲスト講師として麻生太郎副総理が登壇した。
冒頭で麻生副総理は「若者が政治に関心がないことは、悪いことではない」と発言し、理由を「それだけ日本で平和に暮らしているということだ」と続けた。アフガニスタンなど戦闘が続く地域は生活するために政治に関心を持たざるを得ないとして、「政治に関心が無くても平和に生きられる国にいる方がよっぽど良い」とした。
一方、政治や政策について意見を持ったり、選挙で投票したりするためには、普段から政治に関心を持っていないと自身で判断ができないと指摘。新聞やテレビなどの情報だけでは偏った意見になり兼ねないとして、幅広い情報に触れておく必要性を説いた。
授業では生徒から麻生副総理に聞きたい質問を事前に募集。生徒から寄せられた「不人気な政策を実施するときはどんな気持ちで取り組んでいるか」という質問には、「不人気でも必要な政策はやらないといけない」と答えた。
具体例として、自身が財務大臣として主導した2014年、2019年の増税を挙げた。増税の背景には財政悪化があるとして、歳出に占める少子高齢化による社会保障費の増加が一因だと説明。「消費税を上げると(内閣の)評判は悪くなる。でも上げないと国全体が悪くなる」とし、税収を確保するために増税は必要だったと訴えた。
ただし、一般的に消費税を引き上げると内閣支持率は低下するとし、現在の50%前後の支持率は予想していなかったという。9月16日に国会で新しい首相が選出されることを踏まえ、「体調の問題でやり残したことがあることは、安倍総理は残念に思っているだろう。しかし国民に不人気な増税を2回行いながら支持率を得られたまま退陣できるのは、政治家として極めて恵まれているのではないか」とした。
生徒からは「SNS上の“炎上”など批判にさらされる政策を行う際、どのような心構えで臨んでいるか」という質問も寄せられた。これに対し、麻生副総理は「気にしない」と回答。
しかし「批判を一切聞こうとしないのは間違い、批判で落ち込むのはさらに間違い」と続け、人の話を自分の中にどの程度取り入れ、咀嚼(そしゃく)するか心構えの問題だとした。
また自身に対する批判についても触れ「以前、麻生は漫画ばっか読んで漢字を読めないと言われたが、今や漫画は世界のカルチャーだぞと言いたい」と話し、会場を沸かせる場面も。「何がどうなるかなんて長い目で見たら分からない。自分もクレー射撃を続けていたらオリンピックに出ていた。世間から『何をしてるんだ?』と思われても、自分に何が向いているのか、得意なのかを知り、若者には色んなことにチャレンジしてほしい」と生徒たちにエールを送った。
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