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のぞきこんだ顔が水面でドット絵に 電気分解式泡ディスプレイ「Bubble Mirror」 お茶大が開発Innovative Tech

» 2020年12月02日 12時25分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 お茶の水女子大学の研究チームが開発した「Bubble Mirror」は、ユーザーの顔をドット絵として水面に表示する「泡ディスプレイ」だ。泡の生成には電気分解を利用している。顔画像は32×32ピクセルで6段階グレースケールの気泡で表示され、自分の顔と認識できるくらい鮮明な画像を表示できるという。

photo のぞきこむと自分の顔がドット絵として表示される
photo 真上から見た気泡による顔画像

 研究チームは、以前にも電気分解を利用し、コップ内の飲料表面に10×10ピクセルの文字や数字を表示できる泡ディスプレイ「BubBowl」を発表している。

 今回はこの電気分解を利用するという手法を引き継ぎ、カメラ撮影したユーザーの顔を泡によるドット絵として水面上に表示する。前回より画素数が約10倍以上増え、グレースケール表示が可能になったため、顔だと認識できるレベルの画像を泡で表示できるようになった。

photo カメラで撮影した顔画像(左)それをもとに生成した泡による顔のドット絵(右)

 システムは、水盤、マイクロコントローラー、フットスイッチ、USBカメラ、コンピュータで構成。水盤の底面に32×32個の電極(陰極)を5.08mm間隔でマトリクス状に形成し、陰極の周囲に共通陽極を配置している。水盤に入れる電解液は、先行研究「BubBowl」を参考にインスタントコーヒーを採用している。

 ユーザーがシステムの前に立つとフットスイッチがそれを検出する。ユーザーが水盤をのぞき込むとカメラで顔を撮影し、その顔画像を電気分解による泡の画素を使用して水面に表示する。

photo システム構成図

 

 特徴として、電気分解により発生する6段階(0〜5レベル)のグレースケール気泡が挙げられる。各レベルに応じて電極への通電時間を調節することで、任意のレベルのグレースケール気泡を生成可能だ。

photo 6段階(0〜5レベル)のグレースケール気泡

 複数人がシステムを使用した結果、参加者全員が表示された気泡による顔画像を自分の顔と認識した。参加者が水盤をのぞいてから泡による顔画像が表示されるまでは約1秒しかかからず、「予想以上に表示速度が速い」との声が報告された。

photo 入力画像(左)と出力結果(右)の比較。中央は32×32画素の6段階の網点画像によるシミュレーション結果。

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