PFUは10月25日、PC向けの高級キーボード「Happy Hacking Keyboard」(以下、HHKB)シリーズの生誕25周年を記念した特別モデル「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」を発表した。
現行フラグシップモデル「HHKB Professional HYBRID Type-S」の新色。同日に発売し、価格は3万6850円(英語配列、日本語配列共通)。同社オンラインストアで2500台の限定販売となる。
言ってしまえば機能的な新しさはなく、白のカラーが追加されたにすぎない。しかし実機を触ってみると、単純ながら複雑な白色を実現したこの製品から、HHKBというキーボードに対するPFUのこだわりが見えてきた。“自作キーボード”の開発や情報発信などを手掛ける筆者が、一足早く製品に触れて感じたことをお伝えしていく。
PFUが販売するコンパクトキーボード「HHKB」は、1996年12月に初代を発表してから2021年で25周年となる。HHKBはテンキーやファンクションキーなどを廃したコンパクトなサイズでありながら、合理的なキー配列を持つキーボードだ。その特徴から、初代モデル発表以来多くのプログラマーやライターなど、キーボードを多用するユーザーに支持されてきた。
現行モデルである「HHKB Professional HYBRID」シリーズは、唯一無二の打鍵感である「静電容量無接点方式」のキースイッチを踏襲しつつ、互換性を高めたBluetooth接続、最新のインタフェースであるUSB Type-Cの採用、ヘビーユーザーのニーズに応えるキーマップ変更機能など、着実な進化を遂げている。詳しくは発表直後のレビュー記事を参照いただきたい。
(関連記事:着実に進化した新型HHKB「HYBRID」 オタク視点でねっとりとレビュー)
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今回の「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」(以下、雪モデル)は、シリーズのフラグシップモデルをベースに、筐体及びキートップを“純白”に統一したモデルとなる。
「HHKB Professional HYBRID Type-S」にはすでにラインアップとして黒色系の「墨」、白色系の「白」が存在しているが、今回の雪モデルはその名前の通り、既存の白色系モデルよりさらに純白に近い色を採用している。
既存の白モデルは、どちらかというとグレーやベージュといったほうが近い色をしている。そのため白いPCとして思い浮かぶMacや、近年増えてきている純白に近いマウスなどの周辺機器と合わせて使う際にはやや浮いたような印象を受ける。
雪モデルは、より現代風な白を目指して新たに作られたという。PFUは雪モデル開発の背景について、昨今のテレワークの拡大によってHHKBのユーザー層がより広がった結果、デザインに関する要望が多く寄せられ、その中でも「純白のHHKBへの要望が多かった」という。限定販売モデルなのは少々残念だが、最新の周辺機器とも合わせやすい新しいカラーを採用したことは大いに評価したい。
実機を見ると、雪モデルは機能的には既存モデルと同じではあるもの、より現代風にモデルチェンジしたような錯覚を覚える。そういう印象を受けるぐらい雪モデルの白はとても目立つ。
例えばAppleは、「MacBook」のACアダプターや「AirPods」のケースなどをこうした白で統一しているため錯覚しやすいが、実はこういった白い製品を作るのは簡単ではない。
白の場合、まずプラスチック製品の製造時に汚れやごみの混入があると非常に目立ちやすい。品質のばらつきや、プラスチックの色を決定する調色の段階でのプラスチックの種類によるばらつきなどもクリアしないといけない(ちなみにHHKBはキートップにPBT樹脂、筐体にABS樹脂を使用している)。
雪モデルでは白モデルとは異なり、Control/Shift/Returnキーなどサイズが特有のキーも、全てアルファベットのキーと同じ色に統一されているため、この色の実現に際して非常に苦労したのではと思われる。
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