フリービットは5月15日、無線LAN機能内蔵SDカード「Cloud@SD」を発表した。容量は8Gバイトで、転送速度はClass 6をサポートする。CPUや組み込み型OSを内蔵しており、無線LANはIEEE802.11b/g/n準拠となる。
SDカード対応機器を、オンラインストレージや他のデジタルデバイスと接続する“クラウド対応機器”にできるのが特徴で、USBカードリーダーを利用すれば、ほかのUSB機器にも接続できてしまう。
SDカードに記録されたデータは、本製品自体がアクセスポイントとなる「アクセスポイントモード」で、対応アプリ(Cloud@Phone)をインストールしたスマートフォンやタブレットへ直接転送できるほか、無線LANを利用して、PCや同社のオンラインストレージサービス「ServersMan@Disk」とデータのやりとりが行える(インフラモード)。また、SDカード同士がクラウド経由で直接データのやりとりを行う「M2Mモード」も搭載する。
本製品は法人向けにOEM提供で販売するほか、グループ会社であるエグゼモード取り扱い製品とのバンドルで販売する計画。バンドルする製品は、プロジェクター機能付きカメラ「AHD-X1」、フィルムスキャナー「FS-901」、A4対応ドキュメントスキャナ「ScanBit MFS-60」の3種類を用意する。価格はそれぞれ3万1290円、2万50円、1万4800円(すべて税込み)となる。製品単体での販売については「現在のところ予定していない」(同社広報)。これらは、2012年5月15日に直販サイト“aigo shop”で予約を開始、2012年6月1日に発売する。
同日行われた製品発表会では、同社代表取締役社長の石田宏樹氏がSDやUSBを利用してすべてのデジタル機器にネットワーク機能を付加し、クラウド対応にするという構想「Plug in Cloud」を発表した。
昨今はスマートフォンやタブレットのほか、プリンタやスキャナなどもネットワーク接続に対応してきているものの、冷蔵庫、洗濯機など家庭内の家電製品まで広げると、ネットワーク機能がない製品がほとんどだ。石田氏は「アップルがiCloudを発表して以降、クラウドをハブとしてデジタルデバイスを扱う流れが加速しているが、世の中にはクラウドに対応しない機器がまだまだ数多くある。それらをネットワークにつなげるのが目的だ」と述べた。
「Plug in Cloud」が目指すものは何か。発表会では、Cloud@SDをデジタルカメラに差してオンラインストレージとデータをやりとりしたり、書いた文字などを画像ファイルとして記録できるホワイトボードにネットワーク機能を付加するといった予想できる範囲でのデモを行ったが、石田氏はセンサーなど各種計測機器のネットワーク対応についても可能性はあると言及した。
Cloud@SDが従来製品と異なるのは、組み込みOSやCPUを備えており、電力の供給さえあればプログラムに従って自律的にデータの送受信が行えるところにある(M2Mモード)。本製品を各種センサーに搭載し、センサー間で通信を行いデータを収集、環境問題や渋滞などの大都市特有の問題に対応するといったビジネスへの応用も考えられる。
石田氏は「我々は10年先を考えて動く。2020年の世界を予想し、そこから逆算して新しいビジネスを考える」と述べ、「Plug in Cloud」構想がユビキタス社会への移行に寄与するとアピールした。
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