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ウクライナ戦争で夢想を語る人たちと“岸田検討使内閣”の誤り

ウクライナ戦争が起きてから無見識を絵に描いたような識者の発言を目にするようになった。

ワイドショーやメディアでもしばしば「ウクライナとロシアは喧嘩両成敗」「日本は中立に立つべきで制裁に加担すべきではない」「プーチン氏がウクライナで虐殺を行うだろうという過度な批判は慎むべきだ」などと発言する識者がいる。その種のワイドショー的発言に影響されてか、一般の人たちからも同様の発言を目にすることがある。この種のワイドショー的発言に影響される人たちを「ワイドショー民」と個人的に呼称して、しばしば私は批判している。

2日、ウクライナ首都キーウ近郊ブチャで、破壊されたロシア軍の装甲車両(ロイター=共同)
2日、ウクライナ首都キーウ近郊ブチャで、破壊されたロシア軍の装甲車両(ロイター=共同)

国際秩序を破壊

首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの民間人への虐殺事件が明らかになるにつれて、プーチン政権とロシア軍のまさに非道さが世界の人々に衝撃を与えた。よほどロシアよりのバイアスがかからなければ、まさに“中立”的な視点からもプーチン政権と軍の蛮行は明らかだ。

先に紹介した、「プーチン氏がウクライナで虐殺を行うだろうという過度な批判は慎むべきだ」というような空疎な発言は、ブチャ虐殺事件を前に徹底的に自省すべきか、単に発言している人間のユートピア的夢想にすぎない。しかもブチャ虐殺事件が明るみに出る前から、プーチン政権の民間人虐殺は指摘されてきた。

プーチン政権は、シリアでもチェチェンでもジョージアでも同様な民間人への虐殺行為を繰り返してきたからだ。例えば、ウクライナでの退避ルートとして「人道回廊」が話題になっている。シリアのアレッポでもロシア軍はこの「人道回廊」を利用して、アレッポから逃げてくる市民を拘束し、または都市に残った人たちを「テロリスト」として徹底的な攻撃を加えた。「人道回廊」ではなく「非道回廊」だったわけだ。

現在、ロシア軍は当初のキーウ攻略戦を当面断念し、軍を再配置して、マリウポリなどウクライナ南東部の攻略により力を注ぐようだ。マリウポリの住宅地の空撮動画をみると、市民たちの生活基盤は徹底的に破壊され、まさに人道危機が起きていることは明白である。

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