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プレスリリース

プリント

南極地域観測隊(「しらせ」・「海鷹丸」(うみたかまる))への
第一期水循環変動観測衛星「しずく」の
観測データ(海氷情報)提供について

平成24年12月25日

宇宙航空研究開発機構
情報・研究システム機構
国立極地研究所
国立大学法人東京海洋大学

 宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)は、第一期水循環変動観測衛星「しずく」が捉えた南極の海氷データの南極地域観測隊への提供を12月1日より開始しました。第54次南極地域観測隊では、「しらせ」による昭和基地への物資の輸送、海洋観測、また、東京海洋大学の練習船「海鷹丸」による海洋観測を実施します。
 南極の海氷は、動かない厚い定着氷と、風や海流で移動する流氷があり、流氷域を効率的に航行するためには、時々刻々変動する海氷の情報が重要です。「しずく」の観測データは、天候に左右されず海氷を観測することができるため航路の海氷状況の把握が可能です。
 現在「しらせ」は、流氷域を通過し定着氷に突入しており、昭和基地を目指しています。流氷域の航行では、「しずく」から即時提供される海氷データも現場の航路計画に利用されました。「しらせ」は、昭和基地への物資輸送後海洋観測を行う予定であり、観測地点までの航行や観測地点の選定にも「しずく」のデータを利用します。
 「海鷹丸」は、12月下旬から東経110度線に沿って南方へ海洋観測を行います。「海鷹丸」の観測は、海氷がない海域で実施します。そのため、「しずく」の海氷データは、現場での航行計画・観測計画立案のための流氷縁や流氷の有無の把握に利用します。
また、今回の「しらせ」の観測・調査によって得られた海氷の厚さや氷況データは、JAXAに提供され、「しずく」の観測データの精度検証に利用されます。





図(A)は南極全域、図(B)は昭和基地沖合の2012年12月14日に「しずく」が観測した海氷密接度画像です。0%が海水面、100%が全て海氷で覆われている海域を示しており、赤色になるに従い海氷が密に存在しています。図(C)は、図(B)中の「しらせ」と表示している地点で12月14日に撮影した海氷写真です。
(画像(A)(B)提供:宇宙航空研究開発機構)
(画像(C)提供:国立極地研究所)


○「しずく」から提供される観測データ
・第一期水循環変動観測衛星「しずく」が観測した海氷データ
(輝度温度および海氷密接度)
・観測範囲:南緯60度以南、東経20〜150度
・観測後、可能な限り早期に(観測後半日〜1日後)
・「しらせ」と「海鷹丸」の船上隊員宛に観測データをメール送信、船上でデータから作図

第一期水循環変動観測衛星「しずく」について(JAXA宇宙利用ミッション本部HP)
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gcom_w1/index.html

<南極地域観測隊>
 南極地域観測は、南極条約に基づき国際協力のもとに国が実施する事業です。国際地球観測年(IGY、1957〜1958年)を契機に始まったわが国の南極地域観測は、1957年に昭和基地建設を決めて以来、半世紀にわたって実施されています。

 世界の観測網の拠点としての定常的な気象観測の継続実施やオゾンホールの発見、研究プロジェクトとしての月隕石・火星隕石を含む世界最多級の隕石採集、氷床掘削で得た氷床コアの解析による過去数十万年にわたる気候変動の解明、大気中の二酸化炭素量のモニタリングによる温室効果ガスの研究など、多くの観測研究の成果を得ています。

南極地域観測について(国立極地研HP)
http://www.nipr.ac.jp/outline/antarctic.html
南極観測のホームページ(国立極地研HP)
http://www.nipr.ac.jp/jare/index.html



第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)
画像提供:宇宙航空研究開発機構



南極観測船「しらせ」
画像提供:国立極地研究所

東京海洋大学練習船「海鷹丸」
画像提供:東京海洋大学