ビジネス・レーバー・トレンド2023年7月号
毎月25日更新
女性の就業支援のあり方とは――途切れないキャリア形成と能力発揮に向けて
出産後も働き続ける女性が増えており、女性の年齢別労働力率を示す、いわゆる「M字カーブ」は解消されつつある。しかし、その一方で、女性の年齢別の正規雇用比率は20歳台後半をピークに低下する「L字カーブ」を描いており、女性の就業を考えるにあたっては、男女がともに働きやすい環境の整備や、出産・育児の経験が職業生活に負の影響とならずに、誰しもがキャリア形成を図り、能力発揮していくための環境整備と支援が重要となる。本号では、女性の就業をテーマとした労働政策フォーラム、業界団体・企業モニター特別調査の結果や、最近政府から打ち出された女性活躍・男女共同参画推進策やワーク・ライフ・バランス支援策の内容を紹介し、女性就業支援の「これから」を考える。
目次
労働政策フォーラム
女性の就業について考える─環境変化と支援のあり方を中心に─
2023年2月に開いた労働政策フォーラムでは、特に子育て女性に焦点をあてた研究者による現状分析と、女性の就業を支援する現場の報告を交え、これからの女性の就業環境整備や能力開発などに求められる支援のあり方について議論した。(各報告およびパネルディスカッションの概要は調査部で再構成したものを掲載している。)
(※講師の所属・肩書きは開催当時のもの)
【研究報告(1)】
子育て女性の職業キャリア──少子化とライフステージの視点から
【研究報告(2)】
【事例紹介(1)】
マザーズハローワークの取組──東京労働局マザーズハローワーク・コーナーの支援
【事例紹介(2)】
【パネルディスカッション】
ビジネス・レーバー・モニター特別調査
JILPTが年4回実施している企業・業界団体モニター調査では、5月に実施した特別調査で、女性就業における課題と、その改善に向けた取り組みの実施状況を尋ねた。
※ビジネス・レーバー・モニター(業界団体・企業)定例調査結果については本号後段に掲載
政府の方針・提言、研究報告
政府は、「女性版骨太の方針2023」など女性の就業支援にかかわる施策方針を相次いで決定した。厚生労働省でも、雇用機会均等や育児・介護の両立支援の充実に向けた検討が進んでいる。それぞれの方針や提言などのポイントをまとめた。
〔政府方針〕
- プライム市場上場企業の女性役員比率目標を30%以上に設定――「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」
- 若者・子育て世代への所得支援で少子化の反転めざす――「こども未来戦略方針」
〔厚生労働行政〕
- 職業人生の展望を描いて就業継続し、能力伸長できる環境整備を強調 ――厚生労働省「第4次男女雇用機会均等対策基本方針案」
- 短時間以外の勤務時間の選択や残業免除申請の3歳以降の延長を提言 ――厚生労働省「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」最終報告
〔事例調査報告〕
スペシャルトピック
注目度の高い国内のトピックスを、より詳しく紹介します。
- リ・スキリングでの国による在職者個人への直接支援の拡充などを提言 ――新しい資本主義実現会議が「三位一体の労働市場改革の指針」をとりまとめ
- 基本手当の給付日数の延長や自己都合離職の給付期限期間の撤廃には慎重な見方も ――厚生労働省「雇用保険制度研究会」が中間整理を公表
国内トピックス
行政、企業、労働組合などの最新動向を、政策課題担当の調査員がわかりやすく紹介します。
- 「三位一体の労働市場改革」で構造的賃上げの実現を目指す ――2023年「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)が閣議決定
- 多くの学生が内定を得る一方、企業は採用拡大のなかで採用・選考終了が見通せない状況 ――民間企業、経済団体、労働組合の調査結果からみる来春卒業予定の学生の就職活動状況
- 新規求職申込件数と就職件数がコロナ禍前の水準まで改善 ――2022年度のハローワークを通じた障がい者の就職の状況
- テクノロジーの活用により求人企業開拓や求職者確保の効率化に効果 ――厚生労働省「雇用仲介におけるテクノロジー活用についての調査結果」から
ビジネス・レーバー・モニター定例調査
雇用動向や人事労務管理面での変化・課題などについて、モニター委嘱先(企業、事業主団体、産業別労組、単組)を対象に、企業・団体には年4回、労働組合には年2回、アンケート調査を実施しています。
<企業・業界団体調査 2023年1~3月期の業況実績/4~6月期の業況見通し>
海外労働事情
海外情報を担当する調査員が、欧米・アジアを中心に、労働市場・賃金動向・職業紹介・職業訓練・労使関係など様々な視点から最新事情を紹介します。
- アメリカ
- 人材育成支援のロードマップを発表 ―ホワイトハウス
- イギリス①
- 公共部門等のストに最低限のサービス維持を義務付ける法案
- イギリス②
- EU離脱以降の外国人の増加
- ドイツ①
- 慢性化する人材不足の対応策
- ドイツ②
- 賃金ダンピング防止のための「業種別最低賃金」
- 中国
- 国務院が「雇用安定化政策」を発表 ―若年者の雇用を支援
- 韓国
- 非専門外国人労働者、最大10年まで滞在可能に ―雇用許可制を改編
- ILO①
- 2025年まで労働市場は回復しない ―ILO世界の雇用及び社会の見通し2023
- ILO②
- 雇用の回復と社会的保護から取り残される低所得国 ―ILOモニター第11版
- OECD
- OECD、生成AIの台頭で国際指針の見直しへ
ちょっと気になるデータ
最近公表された公的統計のなかから、ちょっと気になるデータを統計解析担当の調査員がピックアップし、わかりやすく紹介します。(統計解析担当)
2023年6月26日掲載