2025年1月7日 中野大臣会見要旨 ●冒頭発言 ●(大臣から)新たな広報戦略「MLIT Road 2 5」の実施 ●(大臣から)能登半島での地震、大雨を教訓とした複合災害への備えの強化の検討 ●質疑応答 ●新年の抱負と特に取り組みたい課題 ●日本郵便の下請法違反 ●北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の開業時期 ●韓国の務安(むあん)空港における航空機事故 ●能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策検討会 ●中央合同庁舎3号館の建て替え
本リリースの公式ページ
https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin250107.html
中野大臣会見要旨
2025年1月7日(火) 10:40 ~ 11:05
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣
主な質疑事項 |
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冒頭発言
(大臣から)新たな広報戦略「MLIT Road 2 5」の実施について
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。このほか、私から2点報告があります。
1点目は、新たな広報戦略「MLIT(エムエルアイティ) Road(ロード) 25(ニジュウゴ)」の実施についてです。
中央省庁等改革の一環として、2001年1月6日に国土交通省が発足し、今年2025年で25年目となります。
私自身も、2001年4月に国土交通省の1期生として入省しました。
当時の同期職員をはじめ、国土交通省発足後に入省した職員が、現在、各部署の主力となって奮闘しているところです。
この25年目のスタートを踏まえて、今年1年間にわたり、「MLIT Road 25」をキャッチフレーズとし、発足からこれまでの25年の道のりを振り返るとともに、今後の25年を展望するような広報業務を実施します。
具体的には、国土交通省ホームページの大幅なリニューアル、25年間の出来事や施策を紹介する記念コンテンツの作成・発信、記念ロゴマークを記者会見のバックパネルやプレスリリースにおいて活用することなどを行ってまいります。
国土交通省一体となって、国民の皆さまに必要な政策情報を提供できるように取り組んでまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣から)能登半島での地震、大雨を教訓とした複合災害への備えの強化の検討について
(大臣)
もう1点ですが、能登半島での地震、大雨を教訓とした複合災害への備えの強化についてです。能登半島地震からの復旧・復興の途上にあった被災地では、昨年9月の記録的な大雨により、再度、甚大な被害が発生しました。
このように、先発の自然災害の影響が残っている状態で次の自然災害が発生することで、単発の災害に比べて大きな被害が発生するという「複合災害」は、今後、発生頻度が高まっていくことが想定されます。
このため、能登半島での地震、大雨を教訓として、複合災害への備えを強化するべく、「能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策検討会」を設置し、第1回を1月14日(火)に開催することにしました。
検討会では、様々な分野の有識者から御意見を頂きながら、「複合災害」による被害を効率的・効果的に減少させるための手法などについて議論を進め、議論の状況にもよりますが、今年度中を目途に一定のとりまとめを行いたいと考えています。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。
質疑応答
新年の抱負と特に取り組みたい課題について
(記者)
大臣に就任されて初めての新年を迎え、今年の国土交通大臣としての抱負と特に取り組みたい課題についてお願いします。(大臣)
本年も、国民の皆さまの命と暮らしを守り、そして日本の経済・地域の経済を支える国土交通行政ですので、緊張感と責任感を持って取り組んでいきたいと考えています。まずは、能登半島地震をはじめとする昨年の大規模災害からの復旧・復興に全力で取り組み、一日も早く、安全と活力を取り戻せるように努めていきたいと思います。
その上で、私が就任時に掲げた3本の柱、一つは国民の安全・安心、もう一つは持続的な経済成長、そして地方創生。
この3つの主要課題、これは本年も関連施策を着実に推進していきたいと思います。
特に、能登半島地震の教訓も踏まえた「防災・減災、国土強靱化」については、予算と制度の両面から、施策の充実強化をしていくことが必要と考えています。
また、「交通空白」の解消に向け、地域交通のリ・デザインの全面展開を強力に進めていきたいと思います。
さらに、戦略的・計画的な社会資本整備、輸送の安全確保、観光立国の実現、持続可能な建設業・運輸業、担い手不足に対応するDX(デジタル・トランスフォーメーション)、脱炭素社会の実現(GX(グリーン・トランスフォーメーション))、こうした重要課題にも取り組んでまいります。
今年も、総合力・現場力を最大限発揮して、全力で取り組んでいきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
日本郵便の下請法違反について
(記者)
日本郵便の件についてお伺いします。昨日の報道で日本郵便がゆうパックの委託業者に対して、誤配などがあった際に違約金を課していて、このうちの一部について公正取引委員会が下請法違反を認定し、日本郵便に行政指導をしていたことが明らかになりました。
物流を巡って、2024年問題に対して官民一体となってドライバーの待遇改善にも努めている中で、時代に逆行した制度でもあると思うのですが、2024年問題を所管する国土交通省として今回の日本郵便の問題をどのように受け止めているのでしょうか。
また、国土交通省として何か対応などをお考えであればお聞かせください。
(大臣)
日本郵便の件について、御指摘の報道については承知していますが、現時点では個々の事案の詳細については、まだ把握していないという状況です。しかしながら、一般論として申し上げれば、下請法等の関係法令に抵触するような事案であれば、それは適切ではないと感じています。
さらに、トラックドライバー不足の対策は喫緊の課題であり、官民一体となってドライバーの待遇改善や魅力ある職場作りに全力で取り組んでいく必要があると考えています。
今後、国土交通省としても、公正取引委員会等の関係省庁とも連携をして、引き続き事実関係の把握に努めるとともに、本年4月に予定している改正物流法の円滑な施行など、持続可能な物流の実現に向けて、引き続き取り組んでいきたいと思います。
(記者)
先ほど関連法令に抵触するような事案であれば、と一般論をおっしゃっていたと思うのですけれども、公正取引委員会が違法を認定したのは一部の違約金制度ですが、そもそも違約金制度自体が時代に逆行しているのではないかというような指摘もあります。重ねてになりますが、物流2024年問題を所管する国土交通省として違約金制度そのものについての是非とかお考えはどのようなものかお聞かせください。
(大臣)
違約金制度そのものについては、民間事業者間の合意に基づいて行われるものであり、適切に行われていればそれ自体が必ずしも直ちに問題になるものではないと考えていますが、例えば、あらかじめ合意された金額を超えて違約金等を一方的に徴収するようなケース、こういうことについて下請法等の関係法令に抵触するのであれば、当然それは適切なものではないと感じています。
北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の開業時期について
(記者)
北海道新幹線の札幌延伸の開業時期について、2点お伺いします。国土交通省では、新たな開業時期を2038年度を軸に調整し、工事状況によっては前後する可能性があると昨年12月下旬に報じられましたが、改めて2038年度を軸に調整されているのか、現在の検討状況をお聞かせください。
もう1点ですが、開業時期がもし2038年度となるなど、大幅に遅れるとなれば、まちづくりが停滞するとの懸念が沿線自治体から挙がっています。
開業時期は、有識者会議で地質的、技術的な観点で議論を経て決めるものと思いますが、開業時期を決める際には沿線自治体の懸念も一定程度考慮されるのでしょうか。
お考えをお聞かせください。
(大臣)
北海道新幹線(新函館(しんはこだて)北斗(ほくと)-札幌間)については、昨年5月、建設主体である鉄道・運輸機構から、機構としては、2030年度末の完成・開業は極めて困難であると判断した旨の報告がなされたところです。鉄道・運輸機構の報告内容が合理的であるのか、講じることができる方策がないか、現在、有識者会議を開催しながら、科学的・技術的に検討しているところであり、まだ結論は得られていません。
沿線自治体からは、早期に開業時期の見通しを示すよう御要望いただいており、国土交通省としては、有識者会議における議論を速やかに進めてまいります。
また、北海道新幹線札幌延伸推進会議の場や機構に設置された地域連携チーム等を通じて、沿線自治体としっかりと情報共有を図りつつ、連携して本事業を進めていきたいと思います。
韓国の務安(むあん)空港における航空機事故について
(記者)
韓国で12月29日に起きたチェジュ航空機の事故についてですが、原因は究明中ですが、バードストライクが原因の一因となったという可能性も指摘されているほか、滑走路先の壁が被害を大きくしたという指摘もあります。日本国内の空港のバードストライクの対策と衝突のおそれのある障害物の有無、もしある場合の対策の状況、また、国土交通省として今後、確認や対応を検討していることがもしあればお聞かせください。
(大臣)
昨年12月29日に発生した、チェジュ航空機が韓国の務安(ムアン)空港へ胴体着陸した際に滑走路を逸脱し、計器着陸装置(ILS)に衝突・炎上した事故については、韓国の事故調査当局が原因を調査中であると承知しています。我が国のバードストライク対策に関しては、航空法に基づき、空港管理者に対し鳥衝突対策を義務付け、空港周辺に鳥が滞留しないような措置や、定期的なバードパトロールによる追い払いや駆除等を行っているところです。
胴体着陸の際の滑走路逸脱に係る安全対策に関しては、国際基準に基づき、我が国では、滑走路延長上にある計器着陸装置について、航空機と衝突した場合であっても航空機に大きな損傷を与えないような脆弱性を有することを求めています。
国内の民間空港では、務安空港と同等の高さのコンクリート構造物を土台とする計器着陸装置はありません。
国土交通省としては、本事故の調査状況等を踏まえて、必要な対応をしていきたいと思います。
能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策検討会について
(記者)
冒頭発言がありました複合災害への対応を検討する有識者会議についてですが、水害・土砂災害に対応する検討会を設置し、とおっしゃったかと思いますが、複合災害で、住まいをどう確保するかとか、再度災害に遭った道路をどう復旧するかとか、水害以外の分野も複合災害に対応すべき、若しくは備えるべき対策があると思いますが、水害対策とか土砂災害対策に重きを置いて議論すると受け止めたのですが、そのように水害対応に関して今回有識者会議を設置するとした理由はどの辺にあるのか、複合災害に対応するなら局を横断して議論した方がいいのではないかと思ったのですが、その辺は如何でしょうか。(大臣)
基本的には、今回の能登半島地震、その後9月に発生した記録的な豪雨によって、甚大な被害が発生したということがあります。一つはそうした今回の事案を踏まえて、当然、河川の水害、土砂災害というところが中心の検討にはなってくると思いますけれども、河川だけではなくて道路や他のところも含めて、複合災害の発生頻度が高まるという想定の中で検討していく内容になってくるかと思います。
事務方から補足があればお願いします。
(事務方)
近年、南海トラフ巨大地震等の大規模地震の発生の可能性も切迫しているところです。また、近年、気候変動により、大規模な降雨が起こった場合の降雨量や発生頻度が高まると予想されているところです。
そういうところを踏まえ、今回、能登半島の事例のように、地震が発生した後、出水期を迎えて大雨が降る、そういった形の複合災害の頻度が増えることが想定されますので、まずは能登半島の事例を踏まえて水害と土砂災害について対策を検討するといった検討会を設けたいと考えているところです。
中央合同庁舎3号館の建て替えについて
(記者)
国土交通省25年ということで冒頭お話がありましたが、この建物が昭和の昔に作られだいぶ長くなっています。25年前に免震工事もあったと思いますが、今後、庁舎の建て替えの必要性について、現時点で何か考えていることがあれば教えてください。