6月からビル投資のコラムを続けたので、久しぶりに行動報告です。
■ビルを2棟購入
4月と7月に得意の築古ビルを購入しました。どちらも全空です。1棟は3階建4,000万円を融資で、もう1棟は2回建1,500万円を現金で買いました。
4,000万円のビルは、購入前に借りるテナントさんが決まっていましたが、少し許せないルール違反が発覚したので入居を断りました。
この物件は1−2年かけてでもテナントさんを慎重に選んで賃貸契約をしたいと思っています。現在、1階あるいは1&2階で入居のお話が来ていますが、どうなるか。また報告します。
1,500万円のビルは、オーバーではなく情報を得て1秒で購入を決めました。決済時に話を聞いたところ、年配の所有者さんが色々な所へ話をしていたようで、購入希望者が殺到して鉄火場というか一時カオスとなり、僕の後に何人もの人から購入したいと話が来たということでした。
このビルの隣のビルを持っていた方から、「自分も狙っていたのに、買えなかった」と後で言われて胸が痛みました。ただ、僕のビルも隣の隣なんです。掟破りのオセロ(第3話)で挟んでしまいました、すみません。
この物件は、土地の通りに面している前半分が2階建ての店舗ですが、後半分はなんと30坪の更地です。
ただ、この更地は公道に面しておらず、隣地のブロック塀で囲まれています。お客様はどこからもここに出入りできません。それでも、このままにしておくにはあまりにもったいない。
そこで僕は前半分の建物を柱を残して全て解体し、後半分にお客さんが行ける通路を作り、そこに2階建ての店舗を増築することに決めました。前2店舗だけだったビルを、前2店舗&後2店舗の4店舗で計50−60万円の賃料を目標に増改築します。
設計士さんにお願いして、市役所と消防に条例等を確認しながら図面を作成してもらっている最中です。
実は最初、全部解体して新築をしようと思いました。建物が古く雨漏りや設備の老朽化も心配でしたし、新築にしても充分に採算がとれる一等地だからです。しかし、業者さんからナイスな100万ドルのアイデアをもらい、方向転換しました。
「前部分はリノベにして年内に工事を終え、テナントさんに貸しましょう。そうすれば、少しでも資金の回収を早められると思います。後部分の増築は後で前部分と切り離せるようにしておくので、10−20年後くらいに前部分だけ新築しても良いと思います」
増改築の見積もりは2,000万円、それを入れると利回り15-20%になります。20%を目指したい所ですが、今の段階で入居希望者が殺到している場所で、利回りが低くても空室に困らないという別のメリットがありますから、多少利回りが低くなっても構わないと思っています。
■決算
こうなってしまった僕の言い訳はたくさんあるのですが、お盆過ぎに税理士さんから、「決算での法人の最終利益が2,000-2,500万になります」と連絡が来ました。ご存知のように法人税の税率は800万円以下は15%ですが、800万円を超える部分は23.2%です。
僕の会社は現在22期を迎えましたが、毎年この800万円という数字を意識して設備投資や役員報酬の額を決めていました。ところが今回は、冒頭のような状況となったことで、千円程度の領収書もかき集めることになりました。
ただ、そんなことをしている内に面倒になって、僕の会社は僕1人なんだから納税で社会貢献は望むところだ、チマチマと領収書を整理する時間があるならもっと稼げばいい、税金をたくさん払えばいいだけだ、という思考と覚悟に変わりました。
この高利益の決算書は、物件の売却ではなく、賃貸だけで実現したものです。この決算書を元にした今後の融資条件がどのように変わるか今から楽しみです。
■昭和28年設立の有限会社を買収?
先ほど話した1,500万円の後半分の更地の所有者は、個人名義ではなく昭和28年設立の有限会社でした。
売主さんはその会社を休眠会社にしていて、この売買の後に解散するという話でした。僕はすごく興奮して、「もったいないので不動産売買ではなく会社の売買にしてください」とお願いしました。(会社を売ってもらうことで不動産もついてきます)
昭和28年創業なんて、戦後の混乱期に作られた超貴重な会社です。今は昭和99年ですから71年の歴史があるわけです。売主さんも「会社の解散費用を考えたら、ありがたい話」ということですぐにまとまりました。
実は税理士さんに以前から、「別会社を作った方が良い」と言われていました。法人税はまだよいとして、個人の所得は累進課税。その分を法人に入れて納税した方がはるかに安く済みます。
でも、誰でも作れる現在の株式会社を作る気になれませんでした。しかし、今回は今は廃止されて新しく作れない有限会社なので話は別。(昔は設立に有限会社なら300万、株式会社なら1,000万円必要でした)。別会社を持とうという気持ちになりました。
会社を2つにすれば、妻を社長にして、将来的には子供たち2人に1社ずつ分けられる。新しい会社の名前を考えた時に、この会社は家族のものだから、家族で共有できるものが良いなと考えた時に、ふとペナン島時代の記憶(73話)を思い出しました。
移住後に頑張りすぎて少し疲れてしまって、家族みんなで日本が恋しいねというムードになっていた時に、子供達が学校で習った「上を向いて歩こう」の歌を歌い始めたのでした。
あの時の映像が頭に浮かんで、UP FACE WALK(上を向いて歩こう)、これしかないじゃんと僕は即決で決めました。それを家族を集めて発表したら、妻はイイねと言ってくれましたが、子供達はポカーンとしてます。
特に、「パパ、僕の会社の名前をUP FACE WALKにしようと思う」と発した張本人である長男は、当時のその記憶すら忘れていました。
僕は愕然としました。全身の力が抜けました。あんなに感動的な場面を覚えていないのか。「ダメだ、これは。やる気出ねえな…。名前変えて自分の好きなようにやるか」と急に中年不良のような気持ちになりました。
ただ、ここで少し違和感が生じました。子供のために2つの会社を持つのは違うな。僕は自分の好きなように生きるはずが、いつの間にか子供のことを考えるようになっている感じがする。別会社なんか要らないんじゃないかという気持ちになってきました。
確かに、それで数百万円節税ができるかもしれませんが、僕はメールアドレスや携帯、SNSのアカウントなど複数所有することができない人間です。シンプルでなくなると気分が悪くなってきて、調子がガクンと落ちてしまうのです。
(このビル広田という名前もそう。1年経過しても未だに慣れず。本名とビル広田という2つの名前を自由自在に操れず調子が上がりません。今度占いで字画を見てもらうつもり)
それに、考えることが山盛りなのに、会社を2社保有するのも面倒な気がします。というか、そもそも、そんなに物件や売上を増やす必要があるのか…? 1人の会社なのに全てが多すぎるのではと思い始めました。
来期、僕の会社は借入3億、家賃収入1億になりますが、節税のために会社を2つに分けることで、色々なことがシンプルでなくなり、調子を落とすことを怖く感じます。
必要以上に物件があるから家賃収入が多くなり、その分の仕事も必要な時間も増える。さらには会社を2つに増やすなんて、何かが間違っている気がします。
考えてみたら家賃収入だって今の半分で十分にやっていける。
それなら、1社でやれる範囲で良いか、と自分の中で結論を出しました。
しかし、会社譲渡を先方に断るのは今更悪いな…。そんな時に売主さんから、「法人の売買を利用した詐欺事件のニュースを見たので、役員を変更するまでの期間が不安になった。一筆もらうか、不動産売買に変更したい」と連絡がありました。
僕はこういうのは、ケチがついた時点でうまくいかないかなと思うタイプです。これで完全に気持ちが固まりました。新しい会社名を考えて、印鑑をどこで作って…と色々と考ええていましたが、ナシになって良かったと思っています。
■花火
屋上があるビルを購入しました。ビル再生前に屋上で1度くらいはオーナー気分を味わいたいと思って、夏の花火大会を楽しみました。ビルの再生後は、借りてくれたテナントさんにここで花火を楽しんでもらえたら良いなと思ってます。
まずはこちらは↓今年の4月に購入したビルからの花火。
次は、違うビルの屋上から。一瞬、東京タワー?と見間違えるかもしれませんが、東京電力の鉄塔です。周りに誰もいないプライベートな空間で花火を楽しみました(この写真は今年ではなく少し前の花火です)。
本当なら、こういうところに仲間や業者さんを呼んでバーベキューでもしながらワイワイやれたら良いのでしょうが、僕はそういうのが得意ではありません。来年からの花火シーズンは、テナントさんにたくさん使ってもらえればと思っています。