まだ試行錯誤は続いていますが、現在やっていることを今回から2回にわけてご紹介したいと思います。
・今回:審査に必要な資料を網羅的に集めた「 銀行訪問キット 」の作成について
・次回:物件取得後の「 アクションプラン 」について
■ 銀行の担当者に選んでもらう
かぼちゃの馬車事件以来、主にサラリーマン大家さんに対する融資姿勢が厳しくなったという話をあちこちで聞きます。しかし、私がお取引させていただいている金融機関にヒアリングすると、1行を除き「 特に融資ルールが厳格化したわけではありません 」と異口同音におっしゃいます。
たぶん、金融機関は投資家を選別するようになったのでしょうね。そんな状況下では、銀行マンから融資先として選んで貰えることが、融資を成功させるための重要なポイントになるのかな?と思っています。
■「 銀行訪問キット 」
以前、銀行マンと雑談したとき、担当者さんが苦笑いしてこうおっしゃいました。
「 融資のご相談に来られる方で物件概要書1枚だけ持参する方が一番多く、なかには手ぶらで来られる方もいらっしゃいます 」
「 明らかに業者が作成したと思われる細かな収支計算を持参される方もいらっしゃいますが、ご本人が内容を全く理解しておられないこともあります( 笑 )」
そうなると、融資には逆効果ですね。銀行マンは相談者の経歴・人となりはもちろん、金融資産の状況や所有物件の収支・資産性、過去の経営状況、購入する物件をどのように経営していくか・・・などの全体像を網羅的に把握しないと、融資稟議が書けないそうです。
ところが、大家さんの中にはそうした資料を提出しない人や、提出までにものスゴく時間がかかる方も少なくないそうです。ですから私は、最初から全部の資料をドサッと提出し、他の大家さんと差別化を図ることにしました。
私はその資料集のことを「 銀行訪問キット 」と呼んでいます。
①私自身の職務経歴書
②私( 及び法人 )の金融資産を証明する資料
・全口座の通帳コピー
・その一覧
③経営方針を簡潔に説明する資料
④所有物件に関する資料
・物件一覧
・物件毎の謄本・返済予定表・固都税評価証・管理報告書
・入居状況の一覧
⑤購入物件に関する資料
・物件資料一式
・購入後のアクションプラン
・自作の返済予定表
⑥過去3期分の決算資料
中味は上記のようなものです。現在は2法人を経営していますが、両方とも情報はフル開示しますし、通帳の数字は一切いじったりしていません( 笑 )。
■ 銀行訪問キットの使い方
物件が増えた今では、このキットを作るのも一苦労です。妻にも協力してもらって1日がかりです。厚めのファイルに綴じ込んだものを銀行に持ち込みます。以前は写真のサイズでしたが、いまでは厚みが3倍ぐらいになっています。
訪問時に時候のあいさつを済ませてからこのファイルを取り出すと、ほとんどの銀行マンはびっくりされます。それだけでも私の経営姿勢をアピールする効果は満点です(^_^)
あとはキットの内容に沿ってポイントだけ説明するのですが、相手は私のことを全く知りませんから、まずは職務経歴書を使って簡単に自己紹介から・・・。
職務経歴書は紀伝体で記述して、サラリーマンとしての経歴と賃貸業としての物件取得履歴を混ぜて書いています。( わかりやすいように賃貸業としての部分は青字でハイライトしています )。
サラリーマンとしての実績は、どこの会社のどんなポジションで、どんな実績を上げたかというところまで書いています。同じように、物件に関しては例えば入居率50%で購入して、半年で満室にした・・・などと満室化した実績を記述しています。
正直なところ、こういうはっきりしたアピールは性に合わないのですが、外資系企業への就職活動だ・・・ぐらいに思って割り切っています( 笑 )。
経営方針に関してはパワーポイントで図や写真を使って分かり易く解説しています。例えば下のようなチャートを見せながら、
「 人口20万人以下の地方都市は不人気なので買付競争があまり激しくありません。そういう街で供給過剰になっていない地域を選んで物件を増やしています 」
「 なかでも割安に買えるのは空室の多い物件なのでそういうのを購入してどんどん満室にしていきます! 」
などと説明します。すると当然相手は、「 どうやって満室にしていくのだろう? 」と疑問に感じるでしょうから、次に下のようなチャート↓を提示して、相手の不安を解消していきます。
「 商品力のないまま放置されている物件でも、手を入れれば満室にすることができます。このような内装工事は自社で行うことで安価に施工できます 」
そのように説明すると、皆さん一様にびっくりされます。大家さんが自分で工事をやるなんて信じられないという感じです。また今後の展開方針についても別のチャート↓を用意しています。
物件再生を重ねてある程度の規模までなりましたので、今後は築浅のRC物件の取得も考えています。その際、多額の自己資金を投下する必要が生じ、既存物件を売却する場面も出てくるでしょう。その時のために、こういうチャートで予め説明をしておくのです。
ここでは細かな数字は排除して、担当さんが直感的に私の事業を理解してくれるような紙芝居調にしています。後で提出した資料をもとに、彼らが自行の規定に沿ってうちをスコアリングしてくれるため、チャートでは数字にはそれほど重きを置いていないのです。
■「 銀行訪問キット 」の効果
こういう資料を初回訪問時に提出することで担当さんの警戒心が一気に消え、非常に前向きになってくれます。そのおかげでいまでは8行の金融機関と融資取引させていただくようになりました。
私のブログで「 銀行訪問キット 」のことを書いたところ、初心者の方が苦労していた融資付けに成功したとか、銀行からほめられたというお話をたくさんいただきました。
自力で融資付けできることが成功の必須条件だと私は思っていますので、皆さんも取り組んでみてはいかがでしょうか? 融資が厳しくなったと言われる昨今でも、銀行はこの人だ! と思った人にはちゃんと貸してくれると思いますよ(^_^)