■現金戸建て投資から、レバレッジ派へ転向
キャンドゥさん
1戸目の戸建ては募集開始して1週間で入居が付くなど本当にスムーズにいきました。このビジネスはいけると手応えを感じたので、不動産賃貸業の法人を設立し、2戸目、3戸目と立て続けに戸建てを現金買いしました。
ところが今度は入居付けに苦戦してしまい、最初の物件はビギナーズラックに過ぎなかったんだと気づかされました。
ちょうどその頃先輩大家さんに「戸建てをどんどん増やしていこうと思ってるんですけど…」と相談したら「事業をやっていて自己資金もあるキャンドゥさんが進むべき道はそっちじゃないよ」と言われたんです。
戸建てを買い続けていたらアパートは買えないなと思い、方針転換しました。最初に買ったのは先輩大家さんに紹介してもらった水面下、4,000万円の中古アパートでした。特約なしが条件でしたが、前に進むために覚悟を決めて買付を出しました。融資の不足分は現金を出しました。
華子
ブレイクスルーのきっかけはありますか。
キャンドゥさん
きっかけは人との出会いによって、マインドブロックを外してもらったことが大きいですね。大家仲間の紹介で、スゴ腕の不動産投資家たちが集まるコミュニティに参加させていただくようになったんです。
そこに参加するまでは5,000万円規模のアパートが年に一棟買えれば御の字ぐらいに考えていたんですけど、初回から「君の事業規模だったら、2億円以上の物件を狙わなきゃ!なんでDIYやってんの!?」とボコボコにされました(笑)
「そんなに大きな物件狙うの!?」と思いながら、次の日には「2億円以上の物件ないですか?」と不動産屋さんに聞いて回りました(笑)。資料をもらえたので、すぐに見に行き、銀行に持ち込みました。
物件は買えませんでしたが、初取引の金融機関で、融資は問題ないと言われたので、2億円以上の物件も狙えるということがわかりました。先輩大家さんたちの厳しいアドバイスに感謝しています(笑)
そこから結果的に2024年だけで累計5億円以上の物件の購入に至ったので、スケールの大きい考え方に触れて自分の基準も上がったことが、ブレイクスルーに繋がったかなと思います。
■事業家としての強み。「良い決算書」で融資無双へ
華子
投資スタイルが当初から大きく変わりましたね。
キャンドゥさん
そうですね。積極的にやっていたDIYも辞めて、事業家という属性を活かしてレバレッジをかける手法に完全にシフトしました。事業という柱があるので、不動産投資ではキャッシュフローを最優先には考えていません。
多少利回りが落ちたとしても、立地が良くて長期目線で負けにくい、持ち心地の良いファミリー物件を好んでいます。ただ、事業家の強みとして良い条件で融資していただいているので、そうした物件でもキャッシュフローが出ているのはありがたいです。
華子
良い融資条件とは、たとえばどの程度ですか。
キャンドゥさん
金利は0.87%とか0.9%とかで、融資期間も中古で25~30年と長く貸していただいています。イールドギャップ7%以上を目指した時に、利回り8%あれば検討できるというのは強みだと感じています。ただ、金利上昇局面なので注意は必要だと思っています。
華子
好条件ですね。
キャンドゥさん
最初は僕も2%とかで借りていたんですよ。知識がなかったので、借りられるだけありがたいという感覚でした。条件交渉なんて考えもしませんでした。
でもある時、銀行の担当者さんに僕の会社の評価を尋ねたことがあって、そしたら「正直見たことがないレベルで決算書の内容が良い」と言われました。
会社はグループで評価すると言っているのに、それなら、仲間のサラリーマン大家さんたちの方が、融資条件がいいのはおかしくない?とここで条件交渉をしてこなかった過ちに気づきました(笑)
本業の決算書の内容がいいのは、会社のお金は、自分のお金じゃないと考えて経営をしてきたからです。無駄な経費は使わず、とにかくきちんと経営をしてきました。20代の僕は納税の喜びを感じていたので、節税にも興味がありませんでした(笑)
結果的に、純資産が積み上がり、ものすごく筋肉質な決算書が出来上がっていたようです。経営者仲間が全くいなかったので、書籍やまるで国税庁のようなお堅い税理士に話を聞いて経営をしていました。税理士は変えてしまいましたが、今では感謝しています(笑)
金利1%以下で資金調達が可能な水準にあることが分かってからは、向こうから提案されるより先に自分の希望条件を伝えたうえで、条件の合う金融機関とお付き合いさせていただくというスタイルになりました。
■不動産投資で得た一番の財産は「価値観の合う友達」
華子
20代の苦しい時期から重ねてきた努力の賜物ですね。不動産投資をやって良かったと感じることは何ですか。
キャンドゥさん
お金が増えたことよりも、全国に価値観の合う友達が増えたことが良かったです。一般的には大人になると自然と交友関係が狭くなっていくかと思います。
僕は、不動産投資を通じて毎年たくさんの人と出会うようになりました。その出会いこそが人生を豊かにしてくれているなという実感がありますね。
また、先輩大家さん方を見ていると経験にお金を使うことや、後悔のない生き方をするということを大切にされています。そういう生き方に対する姿勢やマインドを学べたことも良かったです。
華子
今後の目標を教えてください。
キャンドゥさん
数字目標でいくと、不動産投資の方は2025年中に家賃年収1億円の規模に到達させたいです。去年と同じぐらい買うことができれば達成できると思います。
もう少し長いスパンで言うと、30代のうちに純資産5億円を達成したいですね。”純(金融)資産1億円”で”富裕層”、”5億円”で”超富裕層”だと言われているらしいので、そこを目指したいなと。
ただ、たくさんお金が欲しいというよりも、成長フェチなんです。稼ぐと新しいステージの人たちに出会えますし、知らない世界を見ることができます。それが楽しくてワクワクします!
生き方という面からいうと、人はいつ死ぬか分からないので、後悔のないように、やりたいと思ったことはどんどんやっていきたいと考えています。実際、今もそのように生きています。
明確な夢がないように感じられるかもしれませんが、僕がやっているビジネスや不動産投資家という生き方は、きっと誰かの夢だと思うんですよね。
僕はきっと夢の消費が人よりも早いんだと思います。多くの人たちが一生かけて追いかける夢や憧れを、具体的な目標や計画に落とし込み、どんどん実現していきます。
「経営者になる」や「不動産投資家になって自由に生きる」は、無職のときの僕にとっては、本の向こう側の世界でしたが、全部叶ってしまいました。これからもやりたいと思ったことは、全部叶えていきます。
華子
夢の消費が人よりも早い、というのはFIRE大家さんたちの共通点かもしれません。
キャンドゥさん
これも生き方の話ですが、「恩返しと恩送り」は大事にしていきたいと考えています。
社会人のスタートと同時に人生のどん底を経験しましたが、親が僕の可能性をあきらめなかったから、今があると思っています。昔からそうでしたが、僕がどれだけうまくいかなくても、大変な状況でも、ずっと寄り添い伴走してくれました。社会人になってボロボロになって戻ってきたときには、とても心配をかけたと思います。
僕は運よく這い上がることができましたが、当時の僕のように何とかして人生を変えたいと思っている人たちはたくさんいると思います。
親への恩返しはもちろんですが、恩送りとして、本気で人生を変えるという強い意志を持ち、行動する人たちの応援はしていきたいですね。
自分ひとりだけが豊かになることが本当の豊かさだとは思わないので、あの時ふんどし王子さんや波乗りニーノさんが新しい世界を見せてくれたように、僕も周りの人たちに対して新しい世界を見せられたらいいなと思います。
新卒で入った会社をわずか半年で心身を壊して退職し、当時はどん底まで転がり落ちたような状況でしたが、10年間で大きく人生を変えることができました。
いま会社員などで辛くて辛くて仕方ない人の気持ち、不動産投資や事業で人生を本気で変えたいと思っている人達の気持ちがよく分かるので、自分のできる範囲で応援していきたいと思います。
■コスパ、タイパ重視の現代だからこそ「泥臭い」ムーブを
華子
最後に、これから不動産投資を始めたい人へのアドバイスをお願いします。
キャンドゥさん
今はインターネットで調べればすぐに何でも分かるような時代ですが、そんな時代だからこそ、自分の足を使って泥臭く一次情報を取りに行くことが成果を上げるうえで大切になると感じています。
初心者の方はまず書籍などで最低限の知識を身に付けたうえでセミナーや勉強会に参加し、実際に不動産投資をやっている人、成功している人に会って話を聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。そういう機会をお金を払ってでも作るということも、大事なことだと僕は思います。
「自分のお金と時間を何に投じるか?」を意識的に決めていくところからが、事業家、投資家としてのスタートです。
あと、不動産の世界には怖い面もありますので、自分で投資判断ができないうちは焦って物件を買わないようにしましょう。