外国人への賃貸で、トラブル続きで参っている昨今をお話しさせていただきます。私の外国人賃貸の経験は、約20年になります。
2003年初頭、JR山手線沿線にある1棟物件を大借金してやっとの思いで手に入れた際に、外国人を受け入れたのが最初です。
なぜ受け入れたのか?
約20年前は、JR山手線沿線物件の礼金は2カ月が相場でした。
しかし3点ユニットタイプのワンルームの人気が徐々に低下しつつあり、礼金1ヵ月にしないと決まるのに時間がかかるようになってきた、という状況でもありました。
私が買った物件は平成モノとは言え(20年前、これはかなり築浅な表現でした)、3点ユニット付ワンルームタイプの1棟マンションです。セパレートタイプの物件より、条件で劣ります。
礼金を1ヵ月分に減らしたり、家賃を下げる必要性がありますし、何より閑散期だと決まるまで数カ月間という時間がかかる事もあり得ます。
ですので礼金を2カ月取り、家賃も高めで素早く賃貸を決めるには外国人への門戸を開いた方が得策という私の判断で、受け入れを始めたのです。
当時は保証会社が無いので、連帯保証人を入居者が付けるしかありません。在日外国人は、日本人の保証人を買ってきて何とか辻褄を合せて契約書に書き込む、と言った風習もこのころは一般的でした。
当時の在日中国人向けの新聞を読むと、よく「保証人売買」の情報欄が有った事を覚えています。実務的な話で言えば、保証人に連絡が行くのは賃貸審査の時位なもので、家賃さえ真面目に支払っていれば保証人に迷惑はかかりません。
そんなこんなで、真面目に日本で一旗揚げるにも、例え一流大学の学生や名門企業の社員でも外国人の場合は、日本人の保証人がいないと部屋が借りにくいというのが一般的だったのです。
2024年の暮れに改めて当時を考えると日本独特な風習と言うか、以前は今より閉鎖的な部分があったのだなあと思います。
苦境にあった在日外国人のニーズを満たすのが、「保証人売買」です。数万円~、物件によっては数十万円という金額で保証人になる日本人が存在していて、その仲介会社も当時はあったのです。
そんな事情を分かった上で、私は外国人の賃貸をスタートして、途中様々なトラブルに見舞われながら、なんとか20年が経過したところです。
■外国人賃貸に関するトラブルと悩み
しかし最近の私は、「外国人賃貸は相当審査を厳しくしないとダメだな」と考えています。
私を悩ませているトラブルを幾つかご紹介していきましょう。
1,勝手に第三者に居住権を売り渡す
→家賃の振り込みは賃借人名義のままで、別人が住んでいる事はよくあります。一番の問題は保証会社を入れていても、保証契約は別人が住んでいると発覚した時に、契約自体が消滅してしまう点にあります。
以後は居住している人への交渉や督促を、大家が管理会社と相談して進めるしかありません。これで滞納が始まると、立ち退きまで多大な労力や費用がかかります。
2,ゴミ捨てマナーが悪化している
→以前から外国人のゴミ捨てマナーが悪い、と言われる事があります。日本のゴミ分別が細かすぎる点から、中々馴染むのが難しいのでしょうが、それにしても最近のマナーは酷い、と私は感じています。
中国や韓国のような、文化的な部分で多少日本に似たところがある国はまだ良いのですが、ウズベキスタンやベトナム、ミャンマー等日本から遠い外国人が増えたことも、マナー悪化に関係しているように感じています。ゴミ分別などほとんど存在しない国々もあるのが、現状です。
「シルバー人材センターとかに依頼したら?」と言われますが、中々の人手不足ですし、単純にゴミの分別で1日2時間だけの契約は嫌なのか、この物件があるエリアでは、人材が来てくれません。
結局は所有者がやらないと、ゴミの山は夏場だと1日で腐臭が凄まじい事になります。
3,不法駐輪が増加している
→契約者にシールを配布していますが、効果がありません。シールがない駐輪をバンバンされても、民事不介入の原則から、警察にお願いする事は出来ないからです。精々、タイヤロックをして撤去するという脅かしの貼り紙を違法自転車に貼りますが、イタチごっこになっています。
4,勝手に複数人で居住し始める
→これは、比較的多いパターンです。一番の問題は、夜間に皆で酒を呑んだりして大騒ぎを起こしたり、室内の汚損が酷い事になるケースです。
■手がかからない物件の特徴
「高島さんがお持ちの物件は、こんなのばかりなんですか?」と言われそうですが、もちろんそんな事はありません。
では、どんな物件は手がかからないのか。
私の所有物件で言えば、JR山手線沿線近接エリアにある広めのセパレート物件です。
上記の苦労している物件に近い場所に、1LDKや3LDKの戸建てやアパートを所有しています。もちろん、樹木の伐採や除草、定期清掃は私がしていますが、トラブルは皆無です。
都内副都心近接エリアで、他に1DK~3LDKまで幾つか物件を所有・管理していますが、目立ったトラブルは全くありません。
これらの物件の入居者特徴を言うと「賃料が高め」「属性がしっかりしている」「ほとんど日本人」という点が挙げられます。いずれも、広めでセパレート、独立洗面台物件ですから競争力があり、高属性の方が入居いただけると、管理する方も楽です。
トラブル続きの物件は、先ほど書いた通り3点ユニットバス物件ですから、競争力が劣ります。その焦りから、「保証会社が入っていれば何でも良いよ。ともかく即入居させたい」という考えになり、このトラブルを招いている部分があるのです。
結局は文化も風習も違う外国人を、早期賃貸成約に気を取られて入居させると、このようなトラブルもまた付随してくる可能性があります。反省点としては、以下のようなことがあります。
1、保証会社を盲信しすぎた
→保証契約があっても、入居者が入れ替わった場合は、契約自体が消滅してしまいます。大手の保証会社が入っていれば大丈夫と、約款を読まずに入居者を入れてしまった。
2,自転車やゴミのマナーまで考えなかった
→管理人が常駐している物件なら、これは回避できるのでしょうが、私の12世帯物件では経費的に無理な話です。それを踏まえて、リスク管理が甘かったと感じています。
3,文化や風習を甘く見ていた
→私は過去に中国留学経験があり、中国人や韓国人賃貸は上手く運営できていたので、他国でも大丈夫と考えたが、簡単な話でなかった。
現在も、保証契約が消滅してしまい、やむを得ず私が自身で家賃を督促し、集金に行く部屋が何室かあり、ゴミの回収含め結構な骨折りになっています。
外国人賃貸は、今後の日本を考えた時に避けては通れない道ですし、外国人自体に悪気は無いケースが大半である事も私は理解しているつもりです。しかし、外国人賃貸特有の問題が起きているのもまた、事実です。
外国人賃貸を進めたい方の参考になればと願っています。