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不動産投資の落とし穴 ~すぐに家賃収入が入るオーナーチェンジ物件、入居者が出て行った後、悲惨なケースも!

不動産投資全般/法律知識 ニュース

2025/02/16 配信

ここ数年、東京近郊では新築RC投資が流行っていると言われていますが、なかなか一棟目で新築RCに挑戦するのは、敷居が高いというより、リスクも高いです。今回の記事では、基本に戻って、一般的なオーナーチェンジ物件のメリットや、購入時の注意点を解説したいと思います。

まず、オーナーチェンジ物件とは、すでに建物が建築されており、入居者付けも終わっている状態で購入する物件のことを言います。

特に法律用語ではないですが、賃貸借契約が締結されている状態で、建物オーナーだけが所有者が交代するので、よく「オーナーチェンジ」と言われています。

メリットは、すでに賃借人が入居しており、購入したその月から賃料収入が得られる点ですね。仮に、建築後・入居募集前に売りに出されている物件と比べると、賃借人が入るまでの空室期間や、入居者をつけるまでの不動産賃貸会社に支払う広告費用(AD)が発生しないことになります。

物件を見つけて融資を引いて購入し、決済が終われば、その月から賃料収入が発生するので、手間も少なく、収益の見通しも立ちやすいです。

賃借人の入退去や、修繕要求などがなければ、特にすることもないので、何か起きるまで安定します。やはり初心者大家さんには、比較的手間も少なく、大家さんになりやすい物件だと言えるでしょう。

ただ、一方でデメリットもお伝えしていきます。

まず、オーナーチェンジ物件は、通常、入居者がいる状態で売買するため、不動産の中を内見して購入することができません。

実際にあったトラブル事例として、購入後、一室の入居者が退去したところ、凄まじい利用態様で、原状回復が非常に高額になったというトラブルや、戸建賃貸で購入後入居者が退去すると安全性が損なわれる重要な柱が取り払われており、倒壊危険性がある状態になっていた、なんて事案もありました。

入居者が出て行った後、部屋を確認したら「壁はカビだらけ」「壁や床には穴が」などの事案も見られる
入居者が出て行った後、部屋を確認したら「壁はカビだらけ」「壁や床には穴が」などの事案も見られる

入居者がいる分、賃料収入がすぐに見込めますが、室内や建物内部の状況がわからないまま購入しないといけないというのはデメリットの一つです。

トラブルに遭うと、現実には理屈通りに解決できないのが辛いところです。前述の「凄まじい利用態様で、原状回復が非常に高額になったというトラブル」では、賃借人自体には全く支払い能力がなく、原状回復工事費用の回収可能性がありませんでした。

その保証人に母親が入っていたのですが、民法改正に対応した保証契約の更新がなされておらず、保証契約が無効になるような状況であり、残念ながら、その解決費用や解決可能性を考えて、原状回復工事費用の請求を断念せざるを得ませんでした。

「戸建賃貸で購入後入居者が退去すると安全性が損なわれる重要な柱が取り払われており、倒壊危険性がある状態になっていた」という事案では、入居者へ貸したのが、親の代であり、残っていた資料も非常に古く、柱がいつ取り払われたのが、残った記録からはっきりとしないという事情がありました。

また、柱が取り払われたことにより建物の倒壊危険性がある、という点でも、素人目にみても、建物の中心の太い柱なので危なそうではありましたが、裁判にて解決するためには建築士の方の意見書が必要な状態でした。

そのため、こちらの事案でも、解決費用や解決可能性を考えて、訴訟は断念しました。

裁判所によるトラブルの解決のためには、主張を裏付ける証拠が残っていることが必要ですし、手続コストを加味して利用するかどうかを考えねばなりません。

世の中トラブルに遭うと、泣き寝入りせざるを事態も多く、大変辛いのが実情です。極力トラブルに遭わないように留意して方針を立てる必要があります。

さて、もう一つのデメリットとして、土地や建物と言った不動産の良し悪しだけではなく、賃借人に問題がないかという点にも留意して購入する必要があります。

戸建て賃貸であれば、賃借人が一人しかいないのですから、当然、どんな賃借人が住んでいるかどうかによって購入する不動産の良し悪しを検討できると思います。他方、心理的な問題として、数室のアパートになってくると、賃借人の属性への配慮が、若干薄れるような気がします。

当然、迷惑行為を行う賃借人がいないかどうか、未払い等のトラブルが生じていないか、なども気にするとは思いますが、戸建てであれば1分の1ですが、アパートですと6分の1とか8分の1の問題だと考えて、少々賃借人属性への警戒が薄れるような気がします。

このような賃借人属性のトラブルについては、契約書上の対処として、売主に賃借人とのトラブル歴などを確認し、何もなければトラブルが生じていないことを「表明する条項(表明保証条項)」などを入れて手当は可能です。

ただ、オーナーチェンジは手軽でよいと、安易に考えていると、不動産の良し悪しや融資付けばかりに気が取られて、賃借人属性への警戒が薄れてしまうので、要注意です。

今回は、初心者にはオーナーチェンジ物件のほうが不動産投資をはじめやすいよ、という点と共に、オーナーチェンジ物件に潜むトラブルの火種についてお話しさせていただきました。

内見できず原状回復工事費が高額になる可能性がある、という点については契約書でも対処できないので、そもそもの売買代金を交渉して安く抑え、万が一があっても収益が見通せる物件を見極めて購入していく必要があるでしょう。

執筆:山村暢彦(やまむら のぶひこ)

山村暢彦

山村法律事務所ホームページ(不動産・相続)
山村法律事務所ホームページ(企業法務)
不動産大家トラブル解決ドットコム

■ 主な経歴

弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士 神奈川県弁護士会 所属
不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。
自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。大家さん、不動産投資家に寄り添い不動産賃貸トラブルを解決する姿勢から、近年、不動産投資関連トラブルの相談も急増。

不動産投資関連トラブルでは、「賃貸」法務だけではなく、リフォーム、建設、不動産取引、融資業務など関連する法分野が複雑かつ多岐に携わる。そのため、多数の不動産・建設会社の顧問業を務め、不動産・建設分野全般にわたる知識とノウハウが問題解決に役立っている。
近年では、ラインワークス(チャットワーク)やzoom等のITツールを駆使して、依頼者と気軽に相談できる体制を構築している。また、その評判から、個人の不動産投資家の方の顧問業務の依頼も増加している。関東一帯を中心に、なかには、関西や東北からの相談や顧問業務をこなす。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。

クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産関連のトラブルについての解決策を、自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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