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コクヨのサステナビリティ CSO本部長メッセージ

CSO本部長 メッセージ グローバルな領域拡大を視野に
成長投資とM&A 戦略を強化。

取締役 執行役 CSO 経営企画本部長内藤 俊夫

日本ファニチャー事業はリニューアル需要が追い風に

第3次中期経営計画「Field Expansion 2024(以下、FE2024)」では、日本事業の収益改善と既存事業の領域拡張、グローバル戦略の推進、新規ニーズの事業化を謳っています。2023年は、上記施策を概ね想定通りに進捗させることができ、売上高、営業利益共にその結果を反映した着地となりました。

まず、日本ファニチャー事業においては、新築移転やリニューアル案件の旺盛な需要が継続し、コクヨの強みである空間構築力が発揮される機会となりました。総合的な企画提案が高く評価され、それらが奏功して売上高、営業利益共に順調に推移し、コクヨ全体の業績を牽引するほどの伸びを見せています。当該事業についてはさらなる成長を目指し、新卒採用・キャリア採用ともに採用数を増やすことで、人員確保に取り組んでいく計画です。さらに、DXの推進により、業務フローを効率化し、一層の市場シェア拡大と収益性の向上につなげられるよう、引き続き取り組みを進めていきます。

海外ファニチャー事業は、依然として中国経済の見通しが不透明であり、想定より厳しい状況にあります。一方で、2022年に買収したコクヨ香港を中心に、商品の統廃合や生産移管をはじめとした業務効率化は順調に進捗しています。加えて、販売価格の適正化やクロスセルの推進等、収益性向上に向けた取り組みも強化しています。これらのPMIは計画通りに推進できており、中国経済が回復の兆しを見せれば当初想定の成長水準を達成可能と予測しています。

ビジネスサプライ流通事業では、ポストコロナにおける経済活動の活発化と従業員の出社率が上昇している状況を反映し、ECマーケットの拡大傾向が続いています。各社競合サービスとの競争は激化していますが、カウネットの大規模顧客向けソリューションシステム「べんりねっと」の運用は順調であり、システムのさらなる強化により顧客層の拡大を図っていきます。

海外ステーショナリー事業の躍進

ステーショナリー事業においては、海外現地法人との連携によるグローバルな商品開発によって、その市場拡大に向けた取り組みを推進しています。具体的な事例の一つとして、インドの現地法人コクヨカムリンリミテッド(以下、コクヨカムリン)でのリブランディングが挙げられます。商品のリニューアルやパッケージの刷新などにより、高付加価値化を目指す取り組みです。その結果、2023年は前年と比較して売上14%増と、急激な成長を遂げ、中国に続く新たな市場となるポテンシャルを確信しています。また、高付加価値文具に対するグローバルニーズを探るためにタイ、マレーシア、アメリカで実施したPOP UP SHOPではかなりの好感触をつかむことができました。日本に関しては厳しい事業環境が続いており、リソースの再配分やコストの適正化を余儀なくされているステーショナリー事業ですが、海外における高付加価値文具のさらなる展開により、2024年には海外売上高比率を前年比3.7%増の39%まで高める計画です。

現中計では、事業領域拡大やグローバル展開を見据えた経営課題として、「ダイナミックな成長投資」、「人材の活躍と成長」、「イノベーションの活性化」、「社会価値と経済価値の両立」の4つを掲げています。

そのうちの1つ「ダイナミックな成長投資」については、M&A 戦略のさらなる強化が必要であるという認識のもと、中長期の成長戦略の方向性を議論するための成長戦略会議を設置し、推進体制を整備しました。海外M&A 案件が増加する中、それらの実効性の向上とともに審議や決裁などの迅速化につながっています。今後、経験値を高めながら、海外M&A 案件をより積極的に推進していきます。

また「人材の活躍と成長」については、各事業本部で人材育成会議を開催、一人ひとりの異動・昇格やアサインメント等、育成機会の提供についての議論が始まっています。また、人材マネジメントポリシーの策定に伴い、社内の人材育成機関「コクヨアカデミア」を立ち上げ、体系的な人材育成に取り組んでいます。

「イノベーションの活性化」については、2023年9月に東京都品川区・戸越にコクヨ初のシェアハウス「THE CAMPUSFLATS TOGOSHI」をオープンさせるなど具体的な事例が出てきています。入居も順調で、現在2棟目を検討しているほか、昨年下期からはパラレルワークのサポートサービス「pandoor」、中高生専用まなび空間と銘打った自習室「STUDY WITHCampus」の実験もスタートするなど、よりイノベーティブな事業創出に向けた動きが活発化しています。

キャッシュフローを重視し、さらなる成長を視野に入れる

従来の事業を改善するだけでは大きな成長は望めないという認識のもと、既存事業の拡張のみならず新規ニーズの事業化に注力するなど、非連続な成長を実現するモードに切り替えました。この1年を改めて振り返ってみて、社員の意識が着実に変化しており、成長に向けた転換ができてきていると実感しています。

また、コクヨが持続的に成長していく会社であることを世の中からも理解してもらうためには、しっかりとした資本政策を打ち出していくことも不可欠です。そのために、これまで以上に、キャッシュフローや資本収益性にこだわってまいります。

政策保有株式については、継続的に縮減を続けており、2023年末には連結純資産比で12.2%となっています。2024年末に連結純資産比で10%未満とする計画に向けて順調に進捗しています。

また、株主還元については、配当性向40%という方針を掲げて実施をしておりますが、2023年から2024年にかけては自己株式取得も合わせて実施しており、2023年から2024年にかけての総還元性向は50%超となる見込みです。

自己資本利益率(ROE)については、現中計においては8%超の目標を掲げて取り組んでおりますが、中計最終年度である2024年12月期にはその目標を達成する見込みであり、資本収益性を意識した取り組みは一定の進捗を示しています。

今後さらなる資本政策の推進については、本年中に公表を予定する第4次中計において説明をしていく予定です。

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