Macユーザーの大多数が、システムに感染するマルウェアやウィルスを防ぐのは絶対に無理だと思っているようですが、次々と生まれる脅威からMacを守るツールもあります

Appleも、OS Xが攻撃を受けるだろうという事実を率直に認め、以下のような説明をしています。

怪しいファイルやアプリを見つけたり、Macが不審な動きをしているのに気付いたら、アンチウィルスプログラムを実行してください。

Apple Supportより

 OS Xが、ウィルスなどの良からぬものから十分に身を守れ、安全だというのは、実は何の根拠もありません。完ぺきではないのです。

Snow Leopardには、ビルトインのマルウェア検出サービスがありますが、Sophosのようなセキュリティ会社からウィルス情報のデータベースが提供されるのは、大抵数ヶ月後です。OS Xは、システムはUNIXなので、ファイルやユーザーアカウントのパーミッションにはとても厳しいですが、マルウェアは個人情報を盗むのにアドミニストレータのアカウントを必要としません

ネットをする時は感染の危険性の高い、いわゆる「怪しいサイト」を見て回らない方が身のためです。例えば、「MacDefender」「MacSecurity」「MacProtector」などの偽アンチウィルスソフトは、無害な検索結果のリストにある、毒薬マークの画像やリンクをクリックすると、大抵姿を現します。ムービープレイヤーやダウンロードマネージャなどの偽ユーティリティソフトでも、時たま同じ手口が使われます。

マルウェアの一番の標的が、常にWindowsだというのは間違いありませんが、Macの市場シェアが広がるにつれて、Macにも広がっています。ここ数年のApple人気はうなぎ上りと言ってもいいでしょう。よって、Macを標的としたマルウェアを作っている人も増えていると考えるのが自然です。

だからといって、今すぐ何かに感染してしまうという意味ではありません。Macユーザーは、おそらく後数年はそこまで心配する必要はないかもしれません。かといって、のほほんと呑気に構えていられるという訳ではありません。ウィルスやトロイの木馬などのスパイウェア・ツールは存在するので、Macの安全を守る準備は進めておきましょう。

前置きが長くなりましたが、これからそのためのツールをいくつか紹介します。

1. Little Snitch(29.99米ドル)

110512_AntivirusforMac_02.jpg

『Little Snitch』は、厳密に言うとアンチウィルス・アンチマルウェアソフトではありませんが、インタラクティブなファイヤーウォールとして、バックグラウンドで実行されるものです。外部からシステムにアクセスしようとするものがあったり、Macから勝手にネットワークの外へ接続しようとしたりすると、Little Snitchが教えてくれます。

Little Snitchをインストールして、最初にネットワークへ繋ごうとすると、接続を許可するか遮断するか、ポップアップ画面で聞かれます。毎回選択するか、一度選んだら二度としないようにするかも選べますし、それ以外のルールの設定も可能です。

また、Little Snitchには小さなステイタスウィンドウがあり、常に何が外部と接続しているのか、データがどこに送られているのか、正確に確認できます。Little Snitchは、短期間ならお試し無料です。シェアウェアなので、長く使うのであれば、29.99米ドルかかりますが、それだけの価値はあると思いますよ。


2. Sophos(無料)

110512_AntivirusforMac_03.jpg

『Sophos』は、アンチウィルス・マルウェアソフトの中ではかなり信頼のおけるものです。OS X 用も無料ですので、何となく心配...という程度でも、ダウンロードしておいた方がいいと思います。かなりユーザーフレンドリーで、有料版にアップグレードしろと言ってきたりもしません。アンインストーラーもついて来ますし、ネットワークドライブもスキャンできます(どちらもかなりレア)。

自分のMacで使っている間は、バックグラウンドで定期的にウィルスやマルウェアのスキャンを実行します。パフォーマンスが著しく落ちるようなこともありませんし、新しいウィルスやマルウェアにもかなり早く対応します。ただし、これにはデータのアップデートが常時必要です。とにかく無料ですので、少しでも気になるなら、まずはお試しを


3. ClamXav(無料)

110512_AntivirusforMac_04.jpg

『ClamXav』は、アンチウィルスソフトを使ったことがない人にとっては、一見難しそうに見えるかもしれませんが、実際はとてもシンプルで、小さいながらも強力なアプリです。バックグラウンドで実行している間は、システムからほとんど何も流出しませんし、どのフォルダ・ドライブをリアルタイムでスキャンするかを事前に決めておけます

ウィルスやマルウェアのデータは毎日のように更新されますので、ユーザーは常にClamXavが監視できるように、すべてを整えておくだけでOKです。システム全体のスキャンを実行している間は、ClamXav以外のアプリは実行できませんので、すべてのファイルがスキャンされるまでは座ってログファイルを眺めることしかできません。ClamXavは、オープンンソースのアプリで無料、そして日本語版もあります


4. MacScan(29.99米ドル)

110512_AntivirusforMac_05.jpg

『MacScan』は普通のアンチウィルス・マルウェアソフトではありません。バックグラウンドで実行するのではなく、ユーザーが実行し、スキャンが終わるとクローズもします。あらゆる種類のマルウェアをシステムでスキャンしますが、特に、クッキーをターゲットにしているのが特徴的です。

それ自体は悪くないのですが、大きなWebサイトのクッキーがアンチマルウェアスキャナに引っ掛かると、27個もアラートのポップアップ画面が出てくるので、かなり面倒です。逆に、システム内のトラッキング中のクッキーをすべて削除したい時などには、とても便利です。難点は、フルバージョンにアップデートするよう、かなりしつこく言ってくるところでしょう。無料バージョンで十分なので、これはちょっと困りものです。


5. ESET Cybersecurity for Mac(年間39.99米ドル)

110512_AntivirusforMac_06.jpg

『ESET』も前述の『Sophos』同様、アンチウィルス・マルウェアの製品ソフトではかなりメジャーです。Mac版もかなりイケてます。『ESET Cybersecurity』は総合パッケージですから、ユーザーはアプリのセールスポイントすべてを使えますし、インストール時にオプションで選ぶことも可能です。しかも、驚くほど軽いので、バックグラウンドで実行していてもシステムが遅くなるようなことがありません

ESETのデータベースは毎日でも、毎時間でも更新できます。見た目もよくて、使いやすく、スキャンスピードもオプション管理も、どこをとってもすばらしいアプリです。サードパーティーのテストでは、他のアンチウィルスソフトよりも常に高い点数を叩き出しています。いきなり年間の料金を払うのは心配...という人は、フル機能が使える30日間の無料お試し版もあります


6. Kaspersky Anti-Virus for Mac(1年版 3,900円[税別] 〜)

110512_AntivirusforMac_07.jpg

Mac版の『Kaspersky Anti-Virus for Mac』は、フル装備の機能でユーザーフレンドリーな、前述の『ESET』のようなソフト。ここに挙げた他のソフトに比べると、かなりシステム負荷が大きいのが特徴です。Chrome、Safari、Firefoxのリンクチェック拡張機能(アドオン)も付いています。主要なインターフェイスはシンプルですが、設定画面は荒削りな印象を受けるかもしれません。Kaspersky Anti-Virus for Macは、1年版がダウンロード購入で、3,900円からですが、30日間の無料のお試し版もあります


■その他

iAntiVirus』と『VirusBarrier Express』も、マックユーザーには選びやすい選択肢だと思いますが、『Sophos』のような無料のソフトと比べると、どちらもパッとしない感があります。特に、VirusBarrier Expressは無料ですが、上の他のソフトと何ら変わりない有料の『VirusBarrier Plus』にアップデートさせようとします。


まずは無料のアプリか、有料でも無料のお試し版から使ってみて、最終的にどれにするかを決めるといいでしょう。有料でも、もったいないことはないです。自分のMacを守るためだと思えば、それだけの価値があります。何しろ、Macを狙ったウィルスやマルウェアは年々増加しているのですから、早めに対策するに越したことはありません。

Matthew Rogers(原文/訳:的野裕子)