短期連載「声のライフハック」も第2回目。今回のテーマは、具体的に声を使う場面で、どんなことに気をつければいいのか?ということです。

今回も前回に引き続き、平野文さんとお話してきました。

私、個人で振り返ってみても経験があるのですが、人前で話をする機会がある一定の量を超えると、いつのまにか、ある程度うまく話せるようになります

これは単純に場数を踏むということでもあるとは思うのですが、同時に緊張することが減って、あわてなくなるということが大きいと思っていました。

でも、今回文さんにお話を伺ってみると、もっとわかりやすく説明していただけました。ポイントは、実はたった2つのことだったのです。

 

  • ゆっくり話す
  • 間を空ける

ということで、今回は文さんの実践動画があるので、まずはそちらをどうぞ。

もちろん、文さんは地の声がすばらしいので、私達とは違うよってのもないわけじゃないんですが、それでも動画からわかることはいっぱいありますよね。

■「ゆっくり話す」効果

ゆっくり話すことで、自分が今何を話しているかを聞く余裕が生まれます。自分が話していることを聞きながら話すことで、余裕ができます。この余裕が大事だというわけです。

そして、ゆっくり話すことで、実は滑舌も向上します。滑舌が悪いと言われがちな人の多くは、ただあわてているだけだったりするんですよね。また、ゆっくり話すおかげで、言葉と言葉の間に若干の空白ができます。これも効果大。


■「間を空ける」効果

特に大勢の前で話すと、1秒程度の間が空いてしまうと、慣れないうちは「空白を作ってしまった」と焦ってしまうものです。でも、1秒程度、場合によってはもっと長くても間が空くこと自体は問題ではないのです。問題はどこで間を空けるか?ということなんですね。

これも、文さんに解説してもらいました。

「間というのは、要するに話の呼吸なのよ。聞いている人だって、呼吸をしないと苦しくなるでしょ。だから、しゃべっている方が、ここで、みなさん呼吸していいんですよと間を空けてあげるといいのよ」

私の経験でも、多少間が空いても、意外と聞いている人たちは気にしていないものです。問題は、その間が話の流れ的におかしなことになっているかどうかの方なんですよね。ほどほどに間がある方が、よっぽど会場の空気をいい感じにしてくれるわけです

つまり「あ! ここは話の切れ目だな」というところで、むしろ自分から進んで間を空ける方がいいわけです。自分で話の休憩を作るということですね。休憩があれば、当然不安も緊張も減りますから、気持ちに余裕も出てきて、良い循環となっていくわけです。しかもその休憩の時間というのは、聞いている人にとっては、話の内容を「なるほど、なるほど」と納得してもらう時間になっているのです。だから、実は、この間が自分の話の内容をより理解してもらうための相乗効果にもなるわけです。


そして、これを生活の中にも取り入れていくことで、声で生活が変わっていきます。まずは、前回の記事でも言っていますが、大事なことなので、もう1回! 声を出すときは、姿勢を良くすること。ホント姿勢を良くするだけで、声の質がガラっと変わります。ここに「ゆっくり」を追加すると、さらに良くなります。

ここで若干話がジャンプしますが、良い声はモテにつながるわけです。なんかモテる感じのある人って、声が良いんです。声が良いと話に余裕が出てくるというのは、ここまで話してきた通りですが、余裕という意味で、もう1つ効果があります。

声が良いと自然と人に声をかける余裕も出てくるんです。そして、これは当たり前のことなんですが、人に声をよくかけている人は、他の人からよく声をかけられるようにもなります。これが声のモテの正体です。

最後に文さんから、具体的なプラクティスが1つ出されています。これ、ぜひきょうから実施してみてください。

コンビニのレジでも「ありがとう」って声を出して言ってみましょうね。

■おまけ

平野文さんのエッセイがSONYのReader Storeから発売され、そのエッセイの裏側のインタビューが公開されています。こちらもよろしければ、どうぞ。

平野文さん『築地に恋して』|SONY Reader Store


(いしたにまさき)