あなたが「在宅勤務です」と言うと、オフィス通勤の友人たちは眉をひそめるかもしれません。しかし、Edinger Consulting Group創業者でもあるコンサルタントのScott Edinger氏は「在宅勤務者がいる方が、むしろ生産性を向上させたり、コミュニケーションをより効果的にしたり、チームワークをよりよくする可能性がある」と言っています。その理由を、Scott Edinger氏は以下のように説明しています。
ここで問題。次のどちらの人が、より仕事にコミットし、リーダーを高く評価しているでしょうか?
B. 在宅勤務の人
Aだと思うでしょう? ところが違うのです! 私が最近まで働いていた投資会社での360度評価の結果では、正解は「B」でした。
リーダーと同じオフィスで働いている人たちよりも、在宅勤務の人たちの方が、仕事によくコミットしており、同じリーダーを高く評価していたのです。興味深い結果ですね。一体なぜ、このような結果になったのでしょうか?
私にはよくわかります。なぜなら、次のような理由です。■近くにいるという自己満足
私がかつて一緒に仕事をしていたあるリーダーは、何週間もメンバーと実質的に顔を会わせることがありませんでした。そのリーダーは、メンバーがすぐ近くに座っているにも関わらず、主にメールだけでコミュニケーションしていたのです。
もし、メンバーが別のフロアにいたりすれば、さらに会う頻度は減っていたでしょう。別にこのリーダーが怠慢だと言いたいわけではありません。今やメールを使えば簡単にコミュニケーションできてしまうので、こうしたことがもはや珍しいことではないということです。
■離れているからリーダーは努力する以前、私はそれぞれ別の場所にいる専門家9人からなるチームを統括していました。週に一度(時にはそれ以上)メンバー全員に電話をかけて、意識的に連絡をとるようにしました。なにも私だけではありません、遠隔地で働くメンバーを持つリーダーたちは、コミュニケーションを密にするために特別な努力をしています。リーダーたちは、仕事に取りかかる前にほんの数分でも近況報告をしあうことで、絆が深まり、チームワークがよくなることを知っていました。そして、メンバーひとりひとりに気を配り、リーダーとしてどう振る舞うべきかを常に意識していました。
■バーチャルチームのリーダーはツールを使いこなすメンバーが各地に分散しているチームのリーダーは、ビデオ会議やチャット、メール、ボイスメール、もちろん電話など、様々なコミュニケーションツールを使いこなします。もちろん、その必要があるため自然とそうなるのです。
■バーチャルチームのリーダーは時間を大切にするバーチャルチームのリーダーは、チームをひとつにまとめるために貴重な時間を最大限に活用しようとします。一緒に仕事ができる時間を無駄にしないように、仕事に集中できる環境作りに努めます。また、昼食会や夕食会を開いたり、イベントを企画したりと、プライベートでも一緒に過ごす機会を作ろうとします。こうした努力で築かれたチームワークは、一朝一夕で真似できるものではありません。
それとは対照的に、リーダーと同じオフィスで働いている、とある社員からこんな話を聞いたことがあります。彼のチームには在宅勤務のメンバーもいるそうで、彼がリーダーと最も長く時間を過ごすのは、面白いことにその在宅勤務のメンバーがミーティングで来社した時だそうです。
私はなにも、在宅勤務がオフィス勤務より優れていると言っているわけはありません。また、バーチャルチームが普通のチームより優れているわけでもありません。むしろ「同じですよ」と言いたいのです。チーム全員が同じオフィスで働いているとしても、バーチャルチームと同様に、意識的で効果的なコミュニケーションが必要なんですよ、と言いたいのです。皮肉にも、現実はそうなっていないのですから。
Why Remote Workers Are More (Yes, More) Engaged | Harvard Business Re
Scott Edinger(原文/訳:伊藤貴之)
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