新機種が出るたびに、端末を乗り換える。それはもう、サガみたいなもので諦めているのですが、とはいえムダにだけはしたくないのが、新製品のあとに残された古くも愛着のある端末たち。
誰かに譲るなり売り払うなりすればいいかもしれませんが、愛着があるからこそ手元に置いておきたい。SIMを挿して使うでもなく、いままでひとり博物館のようにして保管していましたが、ひとつ思いつきました。
家専用電話にしてしまおう。自宅にはWi-Fiが飛んでいる。ならば通話できるアプリを入れて、いま再び活躍の場を与えてあげよう。そして、どうせなら安くで運用できて、高音質な通話で使えるといい。ちょっと実験してみました。
冒頭画像は、少々ネタバレ感もありますが「ぼくの考えた最高のイエデン」。ちなみに、下の画像は、もはやケータイ墓場状態の個人的な使用遍歴です。
このうち、実験の対象にしたのはiPhone 4sを中心としたスマートフォンです。
どのアプリを入れるか
今回試してみたアプリは『SMARTalk』。「FUSION IP-Phone SMART」というIP電話サービスを使用するためのアプリです。
「050」からはじまる電話番号がもらえる、いわゆる「050IP電話サービス」は数多く提供されていて、スマートフォンでの通話が可能なアプリも既にいくつか手に入れることができます。
中でも『SMARTalk』を選んだ理由は、以下の通り。
それから、IP-Phone SMART同士、ならびに050電話との通話は無料です。これは他社サービスであっても同様ですね。
月にかかる料金の話をすれば、たとえばNTTの一般加入電話だと、月あたり1450〜1700円の固定費が必要です。インターネットを利用する通話サービス、いわゆるIP電話だと金額はもうちょっと幅が大きく、月額料金として4000円を超えるものもあるわけで、SMARTalkの月額料金0円、初期費用0円という金額は魅力的です。
固定電話として運用するにあたって1つ注意点があるとすれば、110番などの緊急通報ができないことくらいでしょうか。
選んだもうひとつの理由は、「使っていたから」
実はAndroidアプリがリリースされて以来、手持ちの端末で『SMARTalk』を使って通話をしていました。使用していた端末はNexus 4で残念なことに国内のLTEに対応していない3G通信のため、IP電話にありがちな多少の聞きづらさがあったのです。
しかしながら『SMARTalk』が優れているのは、周囲のノイズを抑える機能がついていること。
そもそも通話品質に対する工夫がなされていた同サービスだけに、これがLTEの高速通信に切り替わればどれほど嬉しいかと思っている上に、この9月5日から新たに複数番号を登録できるようになりました。そもそもクレジットカード1枚につき1つの番号が発行されていたものが(つまり、持っているカードの数だけ番号をもらうことはできていた)、1枚のクレジットカードで複数の番号を利用できることで、持ち歩くスマートフォンとイエデン使用のスマートフォンでの使い分けがより明確に、そして便利になりそうです。
ついでに『SMARTalk』のメリットをさらに挙げると、留守番電話機能や着信転送機能に加え、通話を記録できる機能も備えています。
プッシュ通知に対応しているので、バッテリーにも優しい。これが無料で!と思うほどの機能性の高さは、乗り換えた新しいスマートフォンでも使っていきたいところですね。
イエデン化のために用意されたような設定たち
先述した留守電や着信転送といった機能は、自宅に置いておく固定電話として必要十分です(ちなみに、留守電の録音データ(WAV形式)をメールで送るよう設定できるのもアリガタイです)。
さらに、使いこなしのテクニックとしては、アプリの設定画面から、通話データの圧縮率を変更すること。『SMARTalk』では3G/LTE用とWi-Fi接続用のそれぞれに対して適切な圧縮率を選ぶことが可能でした。
自宅のWi-Fiで高速通信を利用できるなら、さらに設定を変更。より圧縮率の低いコーデック「G.722」を選ぶことで、より高品質な通話が可能です。
この設定は、Androidの場合、[設定]-[アカウントの設定]から使っている「SIPアカウント」を選択、[詳細設定]の[音声コーデック]で変更が可能です。
さらにもうひとつ、ちゃんと着信に気づけるように[着信音]の設定も変えておきましょう。この手のアプリには珍しく複数の着信音から選べるのもポイントですが、いかにもなイエデンらしさを出すべく、ここは迷うことなく[古い電話]で決定です。
イエデンづくりはたのしい
使わないスマートフォンをイエデン化するにあたって、どうせならよりイエデンらしく、とちょっとしたパーツを付け加えることにしました。秋葉原を行脚して見つけたグッズをスマホに装着。
電話機をそのままかたどったアイテムはもちろん、いわゆる「ドックつきスピーカー」を使うのもいいかもしれません。ものによっては、映画『チャーリーズ・エンジェル』感を醸し出すことも可能です。これから留守番をすることになるAndroid端末が寂しくないように、ドロイドくんスピーカーも、いいかもしれません。
王道の黒電話もいいでしょう。この懐かしい形状には久しく触れていませんでしたが、改めて耳に当ててみると不思議とフィットします。両手がふさがっているときのアゴと肩で挟んだときの具合良し。
ただ、いずれもインパクトに欠けると思い、こんなイエデンも試してみました。
(窪田義人)