IT技術は生活を便利にしてくれました。ただ、時にはまちがった相手に Eメールを送ってしまったり、プライベートな投稿をうっかり公開設定にしてしまったりした経験はありませんか?

そうしたちょっとしたミスが、悲惨な結果につながらないとは限りません。安全ネットをきちんとはっておくことで、インターネット上でひどく恥ずかしい思いをするような事態は回避できます。

SMS や Eメール、または Facebook などの SNS での"誤爆"を防ぐ方法と心得を、紹介します。ほとんどのミスは、事前にちょっと考えをめぐらせれば避けられますが、どんなに有能な人でも、頭がまわらなかったり、手を抜いてしまったりすることはあるものです。自分の行動について、四六時中じっくりと考えているわけにはいきません。それほどの注意力を常に発揮できる人はいないでしょう。

筆者の友人の経験を紹介しましょう。彼は不愉快なドライブ旅行の最中でした。車を運転していた同行者は乱暴で、振る舞いもひどいものでした。友人は同行者とは話さずに、別の友人にメールを送って、その状況について愚痴をこぼしました──少なくとも、自分ではそう思っていました。ところが、そのメールが運転中の同行者のもとに届き、ひどく気まずい空気になってしまったのです。さいわい、そうした状況は避けられます。この記事では、そうした気まずいメッセージの送信を防いだり取り消したりするためのさまざまな方法を紹介していきます。

テキストメッセージ

スマートフォンのユーザーなら、不適切なメッセージの送信を防止する特別なアプリを利用できます。例えば、メッセージを送信する前に少し時間をおいて、ミスが見つかった場合は修正できるアプリなどがあります。

Android の場合、『Undo SMS』をメインのテキストメッセージアプリとして使うと良いでしょう。iPhone にも、以前は『SMS Undo』というアプリがありましたが、今はもうありません。この機能を使うためには、「脱獄」しなければなりません。脱獄済みのiOS機器から、『Cydia』ストアで、『SMS Delay』と『confirmSMS』を探してみてください。どちらも不適切なメッセージの送信を防止するのに役立ちます。また、『Inbox』などのサービスアプリは、SMSを利用するわけではありませんが、メッセージ送信の際に取り消し機能を使うことができます。

とは言え、取り消し機能のあるアプリといえども、ミスを修正できる時間が無限にあるわけではありません。それに、デフォルトのオプションと比べると、そうしたアプリはあまり魅力的に見えないかもしれません。だからといって、諦めてはいけません。メッセージの送信を始めてしまってから、間違いがあるのに気づいた場合には、急いで機内モードに切り替えて、すべての接続を切断しましょう。そうすれば、メッセージは送信できなくなります。Android と iOS の最新版では、機内モードへ切り替えるトグルスイッチが通知ドロワー(Android)とコントロールセンター(iOS)にあるので、メッセージの送信を手早く止めることができます。送信がストップされたら、メッセージの削除を選択してから、機内モードをオフに戻しましょう。 

Eメール

Eメールの場合、メッセージの取り消しはもっと難しくなります。というのも、ユーザーが送信プロセスを目にする機会はめったにないからです。ウェブメールの場合、送信開始後、すぐにメッセージは姿を消してしまいます。そうなったら、もう取り返しはつきません。Eメールの送信時には、送信したメッセージが受信側のサーバーにコピーされるので、自分の側にあるメッセージをいくら削除しても、問題解決にはなりません。ひとたびコピーが相手に届いてしまえば、こちらにできることはほとんどないのです。

さいわい、『Gmail』のユーザーなら、送信のタイムラグを設定し、そのあいだにメッセージを取り消すという方法が使えます。この機能には「Undo Send(送信取り消し)」という、そのものずばりの名がつけられています。

これを使うには、Gmail の設定画面から「Labs」セクションへ行き、 「Undo Send」を有効にします。それだけで、Gmailでメッセージを送る際に、必ず「Cancel」リンクが表示されます。突然ミスに気づいた時には、そのリンクをクリックすれば、送信を止めることができます。これですべての問題が解決するわけではありませんが、多少の役には立つはずです。

『Microsoft Outlook』には、別のメッセージ取り消し機能があります。この機能は、送信を遅らせるのではなく、受信側のサーバーにあるメッセージの削除リクエストを送信するものです。必要であれば、削除したメッセージを新しいメッセージに置き換えることも可能です。いつもうまくいくわけではありませんが、小さいチェックボックスにチェックを入れておけば、取り消し状況を確認することができます。Outlook でメッセージを取り消したい時には、該当する送信済みメールを見つけ、リボンの「アクション」から「メッセージの取り消し」を選択してください。

ソーシャルネットワークのメッセージ

ソーシャルネットワークでも、あらゆる類の失敗が生まれます。間違ったメッセージを、間違った相手に送ってしまうなんてことは、その一例にすぎません。その「間違った相手」が、たまたま「ネット上のすべての人」だった場合、被害はさらに大きくなります。ニューヨーク市長選に立候補したアンソニー・ウィーナー(Anthony Weiner)氏が、ちょっとした Twitter のタイプミスで政治家としてのキャリアを台無しにしてしまったのは、あまりにも有名です。あなたはそれほど多くのものを失う立場ではないかもしれなせんが、ちょっとした予防策をとっておけば、影響の大小にかかわらず、たいていの困った事態は避けることができます。

Facebookはプライバシー設定ひとつで変わる

プライバシー設定をきちんとしておけば、Facebook でメッセージがうっかり公開されてしまう事態はだいたい防げます。以下のようにデフォルト設定を変えるだけで、プライバシーは完全に守られます。

  1. たいていの Facebook ページの右上の角にある歯車のアイコンをクリックします。
  2. 「プライバシー設定」を選択します。
  3. 「私のコンテンツを見ることができる人」セクションに、「今後の投稿の共有範囲」という項目があります。その右側には、「公開」「友達」などの設定が書かれています。「編集」をクリックして、ドロップダウンリストから「自分のみ」を選択し、設定を変更します。

そうすると、デフォルト設定では、すべての投稿が自分以外の誰にも見られなくなります。ですから、投稿を公開する(または一部の人に公開する)ためには、その都度、意識的に公開を選択する必要があります。いつもより余分に確認の手順を踏むことで、誰にも見られたくないものをうっかり共有してしまうという事態は避けられるはずです。Facebookのプライバシー設定をさらに改善するための詳しい方法については、定期的にアップデートされるライフハッカーの「Facebookプライバシー設定の総合ガイド」で紹介しています。

プライベートなメッセージの場合、送信後に削除するのは可能ですが、削除しても受信側にはメッセージが残ってしまいます。どうしてでかというと、そもそも Facebook が、誰の役にも立たない無駄な削除機能をつくってしまったからです。ですから、友達にプライベートなメッセージを送る時には、普段よりもいっそう注意する必要があります。というのも、ミスを防止したり、犯してしまったミスを取り消したりするソフトウェアは、どこにも見当たらないからです。それでも、あなたには頭があります。この記事の最後では、自分の頭を使って、ソフトウェアでは防げないミスを回避するための方法を提案しています。

Twitterはだいたい取り消せる

Twitter の場合、Facebook に比べればまだ選択肢があります。いつでもツイートを削除して、不特定多数の人に見られないようにすることができます。ですから、撤回したくなるような内容をツイートしてしまっても、たいていは取り消し可能です。ダイレクトメッセージも同じです。もちろん、いったんメッセージを見られてしまったら、人の記憶からはそう簡単には消せません。ですが、投稿後すぐにミスに気づいた場合には、ツイートやメッセージを削除すれば、ミスを帳消しにできるはずです。

この際、あらゆるネットワークへの投稿をスケジューリングする

個人的に直接送る類のものではない、ソーシャルネットワークに投稿するメッセージをじっくり考える時間がほしいなら、『Buffer』などの投稿スケジューリングサービスを利用しても良いでしょう。Buffer では、1週間の毎日のスケジュールを設定できるので、更新したツイートやステータスが投稿される日時を正確に把握することができます。日時の設定後、メッセージを設定すると、スケジュールに従って自動的に投稿されます。ですから、日時設定時とメッセージ設定時の二度にわたって、投稿内容をチェックするチャンスがあるわけです。好みに応じて、投稿するまでの時間を数分、数時間、数日に設定すれば、メッセージをゆっくり読み直して、好ましくない内容が公開されるのを避けることができます。

どうしてもうまくいかない時は

ここまでに紹介した方法をすべて試してみても、どうしても不適切なテキストメッセージや Eメールを頻繁に送ってしまうという方は、もっときちんとした習慣を身につけるべきでしょう。送信ボタンを押す前に、いったん手を止め、見直しましょう。送信する前に全文を読み直し、送信先をよく確認しましょう。忘れてしまう時もあるかもしれませんが、意識して忘れないように努めれば、実際に忘れにくくなるものです。それでも完全にミスを防ぐことはできませんが、アプリや機能に頼らなくても、ミスの回数を減らせるようにはなるはずです。そもそも、アプリや機能だけで問題をすべて解決できるわけではありません。

大失敗をしでかして、ひどい内容のメッセージを送ってしまった場合には、基本的にはふたつの選択肢があります。ひとつは、ジョークのふりをして、相手がそれを信じてくれるように祈ること。そしてもうひとつは(こちらのほうが好ましいのですが)、正直に話して謝罪することです。ミスはどうしても起きます。相手の耳には入らないだろうと思って、バカなことを言ってしまったりもします。ですが、たいていの人は、こちらがきちんとした対応をすれば許してくれるはずです。最初に紹介した、ドライブの同行者にひどいメールを送ってしまった友人は、最初のうちはとぼけてごまかそうとしましたが、結局は間違いを認めたそうです。そのおかげで、(それ以上の)問題に発展することはありませんでした。

Adam Dachis(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)