アルミホイルはとても便利なアイテムですが、「どちらの面を使うかで違いがあるの?」とか「本当にちゃんと保護してくれるの?」といった多くの疑問を投げかけるものでもあります。無限にカスタマイズでき、多様な使い方ができる使用頻度の高いキッチンアイテムだからでしょう。
こんな話は退屈かもしれませんが、台所で長い時間を過ごす人なら、この金属性のしなやかなシートがどれほど必要で応用力が高いかをわかってくれるでしょう。私は個人的にアルミホイルが無いと台所仕事がたちゆかないので、アルミホイルの良いところをお伝えしたいと思います。
ピカピカの面か、くすんだ面か
このしなやかな金属製のシートには2つの面があります。ピカピカしている面とくすんでいる面です。ピカピカの面の方が熱を良く反射すると主張する人もいれば、くすんだ面を上にして調理する方が好きな人もいます。なお、Reynoldsのアルミホイル製造者によると、2つの面に違いはまったく無いそうです。
アルミホイルのどちらの面を使っても、実際には何の違いもありません。両面とも食品の調理、冷凍、保存には等しく優れています。くすんだ面とピカピカの面の外見の違いはアルミホイルの製造過程によるものです。最後にホイルを巻く工程で、ホイルの2つの層が圧延装置を同時に通ります。装置の高度に磨かれた鋼のローラーに直接接触する面はピカピカになり、もう片方の面は、重たいローラーに接触しないので、くすんだ、あるいはマットな仕上がりになります。
大企業に不信感があり、その言葉を鵜呑みにするつもりが無いなら、お料理サイト「America's Test Kitchen」がホイルのそれぞれの面でパスタを焼く実験をしたので、確認してみてください。彼らの主張を裏付けるデータがあります。
この件に白黒をつけるために、肉とチーズを詰めたパスタの一種マニコッティの、アルミホイルのピカピカした面を上にして覆ったものと下にして覆ったものを焼き比べてみました。探針つき温度計をマニコッティの中心部に差し込んでみると、2つのキャセロールは同じ時間が経つと、共に同じ温度になっていました(誤差は2、3度以内でした)。
また、焦げ目の付き方をテストするために、アルミホイルを敷いたベーキングシートにベーコンを置いてオーブンで焼きました。ピカピカした面でもくすんだ面でも、カリカリのきつね色のベーコンができました。
そのため、どちらの面を使っても差は無いと言えます。
ホイルは何を調理するのに向いているか
アルミホイルは、ちょっと怪しいさまざまなハックの対象となりがちなアイテムの1つですが、台所であっても何にでも使えます。でも、高度なハックに話題を移す前に、基本的なことから始めましょう。
私はクッキーやニンジン、チキンナゲットなどを天板を使って調理するのが好きですが、調理した後に残る油汚れをゴシゴシこすって落とすのは好きではありません。天板の上にアルミホイルのシートを敷くと汚れを落とす手間が省けます。ホイルを捨ててしまえばそれで終わりです。
ベーキングシートとアルミホイルを重ねるときは覚えておくべきことがいくつかあります。まず、熱を反射する性質と熱伝導力があるせいで、ホイルの上で調理されたものはクッキングシートやそのほかの表面の反射が少ないものに比べて、カリカリになりやすいです。これは、ホイルが厚ぼったい粉っぽいクッキーを焼くにはベストではないけれど、レーシークッキーのように薄くてカリカリのクッキーを焼くには向いているということです。(金属製のフライパンでもホイルと同じようにカリカリのクッキーはできますが、結局、洗う手間がかかります)。
ホイルの欠点は、こびりつきやすいということです。これは嫌なことですが、簡単に防げます。クッキングオイルをさっとスプレーするだけです。あ、電子レンジに入れてはいけませんよ。若き日の私は、ホイルで包んだままのウエンディーズのハンバーガーを温めてしまって、それを学びました。
オーブンにホイルを敷くのもいけません。生活術のサイト「Real Simple」によると、それは調理中の食材から汁がこぼれたりするのを防いでくれているように見えるかもしれませんが、食物に均一に火が通らなくなります。
食物の火の通りが均一でなくなってしまい、オーブンを痛めることになりかねません、と食品技術者協会の製品開発専門家であるMary Ellen Camire博士は言います。オーブンは、使うたびに汚れを拭き取るほうが良いそうです。オーブンの温度が下がり、吹きこぼれがこびりつく前に対応しましょう。
しかし、ガスレンジの周りをホイルで覆ってはいけない理由はありません。揚げ物をした後の片づけが楽になります。
もしかしたらホイルのもっとも称賛に値する属性はその可鍛性かもしれません。その性質があるせいで、実に素晴らしい覆いになるだけでなく、こんな素敵なアルミホイルのベーコン焼き用ラックのような調理器具が自在に作れるのです。
グリルにホイルを敷くことで放射熱の力を利用して、細かく切った肉の中身を焼き過ぎずに表面に完璧な焦げ目をつけることもできます。
ホイルで小さな輪を作れば、ブリオッシュが焼き上がる間丸い形を保っておくのに役立ちます(これは完璧に丸い目玉焼きを焼く型にもなります)。
アルミホイルを使って夕食を温め終わったら、次はパイ皮を保護するカバーを作ってデザートに直接熱が伝わらないようにできます。
それから、箱型にしたホイルで作った食事のシンプルさは、まったくもって文句のつけどころがありません。ホイルを敷いて材料を真中に置き、周りを包んで小さな箱にします。上は少し隙間を空けて蒸気を逃がしましょう。この箱はオーブンに入れてもいいですし、グリルに置いてもいいですし、キャンプファイヤーにくべることだってできます。おいしい食事を食べてしまったら、ホイルはポイと捨ててしまえば、これ以上簡単な片付けはありません。
ホイルで包む
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ホイルで食品を包んだり覆ったりして冷蔵庫に保存するのはおそらく1番簡単で、手間のかからない保存方法です。しかし、私の継父はホイルの使い方がだらしなさすぎて、少しでもホイルがかかっていれば十分だろうとばかりに、とても適当な使い方をしていました。もちろん、それでは不十分でした。
アルミホイルは、きちんと折って小さな箱にしたり、どんな容器の蓋にも合うような型にできるだけでなく、臭いの強い残り物を保存する点でも、金属が臭いを通さないので文句のつけようがありません。要は、端を丸めてしっかりした蓋を作り、悪臭が外に漏れないようにすれば良いのです。
この不浸透性は冷凍庫でも威力を発揮します。箱詰めされて売っている食品が既にビニールで覆われていても、さらにアルミホイルでもう1枚くるむと、酸素を通さないので冷凍庫焼けを防げます。さらに技を駆使したいなら、機密性の高いビニール袋の口を覆うようにホイルを折り、その上からアイロンをかければできあがりです。
アルミホイルで包んで保存しない方が良いのは、柑橘類、ベリー類、トマトなど酸性の食品だけです。「Real Simple」によれば、酸は金属に反応して腐食の原因となり食品に付着する危険性があります(これは特に有害ではありませんが、あまり美味しくもありません)。
私がアルミホイルについて伝えたいことは以上です。あなたも好きな使い方やブランドはありますか?
Claire Lower(原文/訳:春野ユリ)
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