「心地よく眠れない」という人の悩みに応えるために、睡眠に関する研究は日本でもかなり進んでいるようです。ところが依然として、悩みを抱えている人が減っているようには思えません。いったい、なにが原因なのでしょうか?
それは、熟睡のための素晴らしい方法が浸透していないこと、知っていても実行に移されていないこと、さらには不眠や睡眠についての間違った常識がはびこっていることにある――。
「上級睡眠健康指導士」という肩書きを持つ『15万人の“日本人”のデータを集め、睡眠改善をしてきた「上級睡眠健康指導士」だけが知っている 超熟睡トレーニング』(角谷リョウ 著、林宏明 監修、Gakken)の著者は、そう指摘しています。
そこで本書では、これらの問題を解決すべく、睡眠の間違った常識を解消し、優れた「睡眠スキル」というより「熟睡スキル」が、身体にしっかりと自然に身に付くトレーニングを紹介していくことにしました。(「はじめに」より)
快眠コーチとして、これまで累計15万人以上の日本人の睡眠改善をサポートしてきたという人物。標準的な医療テストで睡眠が「危険」と判定された人の80%近くを、「安全」まで改善してきた実績を持っているのだそうです。しかし、それは地道な努力によって成し得たものであるようです。
多くの睡眠データを集めており、改善前と指導した後の改善後とで、何をしてどのように変化があったのかも検証してきました。日本人の睡眠の課題・解決において、ここまで取り組んできている人物は、なかなかいないと自負しております。(「はじめに」より)
そんな著者による本書のなかから、きょうは第3章「『スムーズな入眠』ができるようになる『熟睡スキル』を身に付ける」に焦点を当ててみたいと思います。
勝負は夜ではなく、朝についている
眠りにはメラトニンというホルモンが関わっています。夕方以降に分泌されるメラトニンの量が一定量以上であれば、眠気が訪れるため不眠になることはまずありません。
だから本当は夕方以降、メラトニンが増やせればいいのですが、その方法が日本にはありません。と言うのも海外では、メラトニンホルモンを含有したサプリメントが売られているのですが、日本では認可されていないからです。(58〜59ページより)
ただし、サプリメントに頼らなくても、メラトニンの量を増やす(減らさない)方法があるのだそうです。それは、朝にセロトニンというホルモンをしっかり出しておくこと。
なぜかというと、メラトニンは朝に分泌されるセロトニンというホルモンが、変化したものだからです。
つまり朝からセロトニンをきちんと出せていれば、夕方になるとメラトニンに変化させることができるのです。(59ページより)
睡眠の悩みを解決しようとする場合、たいていの人は「夜になんとかしなければ」と思われるかもしれません。しかし、勝負は朝のセロトニンの分泌量で決まっているため、夜に帳尻を合わせようとしてもうまくいかないというのです。
つまり環境を変え、朝にセロトニンを分泌させる仕組みさえつくってしまえばいいだけのこと。しかもそれは難しいことではなく、たとえば「朝、光を浴びる」とか「朝、ちょっとした運動をする」だけでOKなのだといいます。
大切なのは、朝にしっかりセロトニンをつくり出しておき、夕方以降にメラトニンに姿を変えたホルモンの量を減らさないこと。そのためには、“ホルモンの量を減らさないための体”にしておいたり、環境を変えたりすることが重要だそうです。ここでは、そのために必要な2のポイントをピックアップしてみましょう。(58ページより)
夕食は寝る3時間前までに終える
胃の中に食べ物が入っていると、体は覚醒した状態になります。なぜかと言うと、胃液を出して消化した食べ物を、十二指腸に送る役割りを果たさないといけないからです。
いざ寝ようとしたときに、食事からあまり時間が経っていないと、胃が活発に活動している状態になってしまい、眠りづらくなるわけですね。(60〜61ページより)
そこでスムーズな入眠をしたいのなら、寝ようとするとき、食べたものがすでに胃を通過した状態であることが大事だということ。胃さえ通過してしまえば、体内に栄養を摂り込む小腸や、排便に関わる大腸は、寝ているときのほうがスムーズに活動するそうなのです。
胃を通過する時間は食べ物によって異なります。肉や天ぷらなど消化の悪いものは、胃を通過するまでに3時間くらいかかりますし、逆に軽めの豆腐や春雨などは1時間程度で通過していきます。(61ページより)
いずれにしても、寝る3時間前までに食べておけば、寝たい時刻には腸に食べ物がない状態にできるということです。(60ページより)
寝る前に口にすると寝つきがよくなるものは?
早めに夕食を終えるべきだとはいっても、お腹が空きすぎていては眠れません。そこで著者がすすめているのは、寝る30分くらい前にあたたかいお茶と、少なめのスイーツをとってほっとする時間を持つこと。
具体的に挙げると、チョコレートを2〜3個、クッキー2枚程度、和菓子ならたとえば饅頭半分くらいは許容範囲です。饅頭や大福などの場合、1個だと食べすぎになるので注意してくださいね。
科学的には「ホットミルクに入眠改善効果はない」と言われていますが、実際に私がアドバイスしているクライアントさんには、プラシーボ効果もあってか入眠時間が短縮される方が数多くおられます。牛乳好きな人は、ちょっと温めたミルクを飲むことをおすすめします。白湯やカフェインの入っていないお茶でもかまいません。(63ページより)
ただし飲む量は100㎖程度にとどめたほうがよいようです。(62ページより)
すぐに実践できそうなノウハウを凝縮した一冊。睡眠について悩んでいるのであれば、参考にしてみてはいかがでしょうか?
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Source: Gakken