2017年11月02日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
こんにちは。家計再生コンサルタントの横山光昭です。
近年、女性の社会進出と給料の伸び悩みの影響で共働き家庭が当たり前になり、収入をそれぞれで管理する家計の在り方を普通だと思う人が増えています。
では、収入が二手に分かれている共働きの家庭は、どのようにお金を使い、貯めるのが賢い方法なのか。相談に訪れる方々の傾向を踏まえながら、ご紹介したいと思います。
横山光昭(よこやま・みつあき)
マイエフピー代表取締役、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「はじめての人のための3000円投資生活」は40万部を超え、著書累計は205万部。公式サイト
共働き家計は、少しの油断が不測の事態を招くことも
夫婦ふたりの収入を、それぞれ個別に管理している話をよく耳にします。
しかし、そうした夫婦に限って、お互いの収入や年収を知らず、負担すべき生活費を払っていればそれでOK。自分の稼ぎを守ること、もしくは独身時代のように自由にお金が使えることを中心に考えていることが多いように感じます。
生活費の負担の仕方は、夫は家賃や水道光熱費、生命保険料などを支払い、妻は食費や日用品などを支払うなど、担当費目を分担していたり、共有の生活費として2人でお金を出し合って暮らすケースが目立ちます。自分の手元に残ったお金は自分の自由。
貯蓄したり、好きなものを買ったりしています。ですが、こういう場合「相手もお金を貯めているだろうから、少しぐらい使っても大丈夫だろう」と支出に油断してしまいがちなのです。
このような共働き世帯で生じる家計管理の課題は、夫婦生活の中で2度ほどあります。それは、子どもが生まれた時と、住宅購入のために頭金を出して、ローンを組もうとするときです。
子どもが生まれたら、養育費や学費を含めた費用を誰がどのように負担し、将来のためにお金を貯めていくのかを決めなくてはいけません。また、出産では妻が働けない期間ができ、その生活費も問題になります。妻の収入がないからと生活費の負担を今まで貯めてきた貯蓄から出すというのでは、あまりに無計画です。
また、妻が職場に復帰すると、子どもにかかる生活費や学費は妻の収入でまかなうという家庭がありますが、それもどうなのでしょう。マイホームを購入する際は、お互いの蓄えを出し合いましょう、となった時に、「実は夫(妻)に貯蓄がなかった」ことが発覚し、夫婦間の問題となることが多くあります。
貯蓄がないだけではなく、借金が見つかる場合もあります。また、住宅ローンを組むときにはじめてお互いの年収を知り、思っていたより少なくてショックを受けるということもあります。
こうした家計管理の仕方を「夫婦別財布」と呼んでいますが、お互いのお金のことを知らない無関心な状況は、単にさみしい話というだけでなく、不測の事態を招いてしまうことにもなりかねないのです。
まず、お互いの年収や貯蓄額を把握するために、財布を1つにする
収入を別々に管理すると失敗しがちというならば、第一の改善策は「収入を1つに合わせる」ことです。そして、お互いの年収や貯蓄額をキチンと知ることです。別々に管理している人たちは、互いの収入を聞きにくいとか、遠慮する気持ちがあるようですが、夫婦なのですからそんなことに気を止める必要はありません。
収入を1つに合わせ、その中で生活をし、それぞれの自由に楽しむために、こづかいの金額も決めましょう。このこづかいは、可能であれば少し多めに設定し、お互いを縛ることなく、あえて使途不明のブラックボックスにしてしまうのも1つの方法です。
ただ、1人暮らしが長いと、「給料はすべて自分のために使う」スタイルに慣れているので、こうしたやり方は窮屈かもしれません。ですが、お互いの収入を合わせると生活に必要な支出を2人でしっかり見据えることが可能になり、相談してお金が使えるので、貯蓄も効率よくできる可能性が高まります。
夫婦別財布は、お互いに重複した支払いが生じている可能性もあり、非効率な場合が往々にしてあります。そこをカットできるだけでも、支出の削減効果があるのです。
2人で1つの財布にした後は、夫婦で、家族で、マネー会議を!
収入を合わせることができたら、お金についての会議をしましょう。夫婦2人で、子どもがいればその分を含めて、収入がいくらあり、支出はいくらなのか、ムダ遣いはなかったか、貯蓄は予定通りできているのか、そういったことを確認しながら話し合います。
お金の使い道を単独で決めてしまえば、またお金にまつわるすれ違いが起きてしまいます。価値観を合わせ、お金を使うときも、貯めるときも、共有した目的、目標をもっていれば、家庭内の団結力が強まります。具体的なマネー会議の議題は次のとおりです。
- 今月の収入を発表
- 今月の支出を発表:支出を「消費、浪費、投資」に分けて評価する
- 収入から支出を差し引いて、今月の貯蓄額を発表
- こづかいを支給:欲しいモノがある場合は、その理由と価格を含めてお互いにプレゼンする
- プレゼン内容が妥当かを家族全員で評価
- 欲しいのか、必要なのかを判断をして、家族の過半数が同意すれば購入できる
文字にすると堅苦しく感じるかもしれませんが、家族間のコミュニケーション手段としても活用できますし、それぞれが考えていることもわかりやすくなります。
夫婦2人だけで話すときは、4番以降でお互いの目標や方向性を話すことも試してください。真っ正面からお金の話をすることで、金銭感覚をすり合わせることができるので、貯蓄の目的や目標も明確になり、よりしっかりと資産を積み上げていくことが可能になるはずです。
このように、夫婦間のお金のことは「共に進むこと」でうまくいくようになっていきます。話をよくすることでお互いの理解度も深まり、夫婦として、家族としての絆も強くなることでしょう。もし、この記事を読んでハッと感じた方は早速試してみてください。
まずは気が付いた人が、パートナーへ働きかけることからスタートです。すぐには受け入れてもらえないかもしれませんが、気長に構え、まずは1つの財布にしてみることからはじめてください。
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