今を去ること1年ちょっと前の2007年6月。「スーパーでのレジ待ち中にメールをチェックするのに、1年間で1320ドルもの価値がある」ということについて、妻を説得できずにいました。
1320ドルというのは、iPhone本体と最安のプランの合計。最近の携帯電話はその寿命以上に高価になっていて、ちょっとした制限があるだけでは済まず、バグも多い。な・の・に、iPod touchがほとんど愛されていないということに、私は驚いているのであります。だって、iPod touchはiPhoneの主要機能をほとんど持っている、「よりスリムなiPhone」なのだ。iPod touchを使うのに、電話会社との契約書は不要。しかも、Wi-Fiの電波を受信できないときには、あなたがすでに持っている"シンプルな機能"の携帯電話が、その代わりをつとめることもできんです。iPhoneの購入を考えている人たちが、iPhoneの陰に隠れて常に黙殺され続けているiPod touchを選ぶべき理由がここにあるのであります!日本にもたくさんいるはずの「iPhone欲しい...症候群」のみなさまに贈る、iPod touchのイイトコロは以下に続きます。
iPod touchを選択したおかげで、iPhoneの全機能を堪能できないとしても、その分大金を節約することができるんです。iPod touchは本体の300ドルを払えば、それ以降の通信料や通話料は基本的に無料。iPhoneを選んだら、いやおうなく支払うことになる1600ドル(2年間契約)の使用料金は不要なわけですよ。その上、今使っている携帯電話のキャンセルするのであれば違約金をたっぷり払わなければならないなんて!
だったら、Wi-Fiのない地域で電話をするときには、旧来の折りたたみ式の携帯電話を使い、他のことには全てiPod touchを利用する方法でもいいんじゃないかな? 具体的には、こんな感じです。
iPhoneでない携帯電話もSMS経由でほとんどのことができる
私が友達と外出しているとしましょう。そのときに、誰かから「ダフス(テキサス or テネシー)からKenmore(家電量販店)」への、最短ルートを尋ねられたとき、または、Regal Elmwood(映画館)で、「The Dark Knight」が上演されるのは何時なのかを尋ねるとき、iPod touchは使わない(セキュリティのかかっていない野良無線がこないかなぁ、と願いつつも)。私は、旧来の折りたたみ式の携帯電話から、GoogleのSMSでテキストを送っちゃいます。そして、その結果は場合1分以内に受け取れちゃうんです(Google SMSの解説動画はこちら)。もし、それが覚えづらい長いアドレスだったら、記憶するために1-800-GOOG-411へ電話をかけて「テキストメッセージ」と言うだけ(Goolgeが電話番号案内もやってるんです、米では)。
リペアショップを見つけて「あ、この前頼んだ修理が、金曜日に出来上がるんだったっけ」と思い出したとしたら、Twitter経由で「Remember the Milk」のTo Doリストをセットします。それがドライブ中だったら、音声認識で登録もできるしね(リンク先の「How to」をご覧あれ)。または、それがもっと面倒で複雑な用件の場合には、自分のRTM(前述のRemember the Milk)のメールアドレスに定型テキストを送ればOK。また、今までの携帯で、Googleカレンダーの備忘録を読むことも編集することもできるし、自分の搭乗する飛行機の情報をチェックすることもできるし、衝動買いを避けるために、Amazonで値段をチェックすることもできます。今までの携帯はiPhoneのように文字入力もできないし、画像や地図をグイーンと引き伸ばすこともできないし、ピンチ操作もできないけれども、得られるデータはちゃんと役立つ情報ですよ。しかも、iPhoneのデータプランの、あの費用を一銭も払うことなく、超高速で届く実際のデータなのであります。
iPhone無しでできる、携帯電話のちょっとした裏技は、まだまだ。
携帯電話のアプリケーションに遜色無し
iPod touchにはスピーカーやカメラがついていないので通話はできません。ということは、iTunesストアのいくつかのアプリはiPod touchでは動作しないということです。バーで酒を飲んでいるとき、鼻歌検索サービス「midomi」を使ったなら、または、もし、はっと気づくと自分がシャンゼリゼ大通りをそぞろ歩いていた、というときには、選択した単語を現地語で話してくれる「Talking Phrasebook」は、キラーアプリになるでしょう。つまり、iPhoneだからこそできる、ってことがあるのは確かです。でも、音声やスピーカー機能無しのiPod touchであったとしても、アップルストアのほとんどのゲームやアプリやユーティリティは、iPod touch上で十分に動作します。
Word Pressの自分のブログに書くアイデアを出したり、エントリーの下書きを書くこともできるし、それを後から同期させることもできます。「NetNewsWire(RSSリーダーソフト)」で昨晩吸い出したfeedを読みながら食事をすることだってできちゃう。スタバにさっと入って、YelpかUrbanSpoonのような口コミサイトで評判のいいレストランを探すことも可能です。だってスタバはホットスポットだからね。
今のところ、およそ1020のiPhoneのためのアプリケーションがiTunesのappストアにありますけど、ざっと見積もってそのうちの970のアプリ、あるいは95%のアプリは、iPod touchで動作するんです。良いソフトウェアにとって、あるいは常時接続にとって、通話機能や音声機能が重要なファクターである、とは開発者は明らかに考えてはいないことがよくわかる数字ですよね?
Wi-Fiが使える場所でiPod touchはユニバーサルリモコンである
もし、あなたの自宅でWi-Fiが使えるとしたら、iPod touchはソファに座りながら何でもできる、最高の極楽リモコンの候補として、悪い選択肢ではないでしょう。無料の『Mocha VNC Lite』を使えば、ソファから起き上がってリモコンを拾い上げずともに、テレビにつながったノートパソコンでドラマの「The Riches」の各話を切り替えて見ることができます。
『Last.fm app』(『Pandora』も同様)を使えば、お皿を洗っている間に、オススメの音楽や、「これを聞いている人は、他にこんなのも聞いてますよ」という音楽を、流せちゃうんですよ。私(米記者)が、朝にLifehackerの仕事を抱えている、という日の前夜には、iPhoneに最適化したGoogle Readerのインターフェースを使って、再放送やDVDを半分見ながら、feedをまじまじと見続けちゃったりもする。そしてもちろん、それらは全部、iPod touchでリモートで行ってるのです。この素晴らしさは、もうおわかりいただけたかと思いますね。
Webサーバ・Sambaサーバ・プリンタサーバ・バックアップサーバとして機能させている古いノートパソコンがあるんだけど、これも、スリープ状態から、iPod touchを使ってネット経由で起動することができるんです。脱獄した2.0 iPhone/iPod touchに表示されるテキストプロンプトとSSHサーバを見たときは、私は既にコマンドラインのファンタジーを夢想しているわけですよ...。これで何でもできるわぁ...、とね。
妻;ああ、私たちの旅行の写真を見せることができればいいのに!
しかし、写真を見せたい相手は全員自分たちの自宅にいます。
私;ちょっとまって、ハニー。僕たちのサーバを起動させよう(カタカタカタカタ)、ログインして、それをもってくるからね...。
なんて芸当も、お手の物なんですよ。iPod touchで。
ここから学べること
iPhoneは素晴らしい携帯端末ではない、ということを言おうとしているのではないし、携帯のデータプランが完全に金の無駄遣いである、ということを言うとしているのでもないんです(データプランは少々高すぎるとは思うけどね)。しかし、日々生活していく中で、私たちは携帯電話を通じて必要な情報を得ることができるし、本当に途切れない接続が必要な場合には、Wi-Fiコネクションをつかまえることもできます。たとえニューヨーク州のバッファローにいようとも、ね。そして、iPod touchとiPhoneとの差額は、高すぎで柔軟性のない価格をiPhoneのオーナーだっていう「特権」のために支払っているようなものだ、とわかっていただけたことでしょう。
親愛なるlifehackerの読者の方ならば、既におわかりかもしれないですが、ウェブサイトや電子メールやその他の潜在的な時間の無駄(移動中の時間とか、ポッカリ空いた暇とかね)を排除するために、自分の時間を効果的に利用することを提唱しているのです。
言い方を変えれば、既にあるものを有効活用することに焦点をあてることのほうが、よいこともままある、ということなのです。
こんな長く書かなくても、日本語なら一言ですむのにねえ。「iPhoneはもったいない」って。
Kevin Purdy(原文/訳:粟野雅子)
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