面白い説を聞きました。「なぜ多くのアメリカ人がoptimist(楽天主義者)なのか」というと、「楽天的な人たちだけが、かつて海を渡ってアメリカ大陸にやってきたため、その後何世代を経ても、彼らの先祖の精神は残っているから」なのだそうです。海外旅行好きのSheriは、心なしか国を離れなかったヨーロッパ人の方が、後ろ向きな考え方の人が多い気がする、とも付け加えました。

今のように飛行機もなく、1ヶ月あまりの航海では死ぬかもしれないのに、自由を求めて未知の国に足を踏み入れるのには、自分たちの明るい未来を信じて疑わない強さがあったのでしょう。この話を別のアメリカ人(Gus)にもしたところ「17歳でスロバキアからアメリカへやって来た自分の父親は、今思うと楽天的だった」と言いました。父親自身は、貧乏だったので学校には2年間しか通えなかったけれど、独学で数学を学び、事業を起こそうとやってきたアメリカで結婚し、子供を8人育てたのです。そのうち7人が高校を卒業し、さらに3人が大学、2人が大学院まで行きました。最近まで考えたことがなかったけれど、父親の精神は自分にも受け継がれていると気が付いたそうです。戦争を生き抜いて結婚し、満足な職業(大学の言語学の教授)を定年まで勤め上げ、その後はボランティア活動をしながら、子供や孫に恵まれて、この年齢(83歳)まで元気で暮らせるのは、ラッキーなことだし、自分を信じていたからこの人生があると思う、と。

 

アメリカ人の楽天的な性格は「ある人」になるときの心持とも通じます。あなたも近い将来、そんな人になるかもしれませんよ。気になる続きは以下から。

 Gusはさらに「親というものは楽天主義でなければいけない」とも言いました。どんな世の中にあっても、子供には未来が明るいということを伝えなければならないから。

Sheriは、私(筆者)がここで子供を産み、育てていることを、とても勇気のあることだと褒めてくれたのですが、私は別に、決死の覚悟で子育てしているわけではないので、これは意外な反応でした。彼女は「自分だったら、将来子供が自分と違う国籍をもって生きていくかもしれないことに、違和感を持つのではないか」と思ったそうです。私はといえば、国籍や育つ環境が違っても親子は親子だと、あまり気にしていないのです。なぜなら、私はこのアメリカという国を信じているから。人種差別や、銃やドラッグのからむ犯罪のあるこの国でも、多くの子供は健やかに育っています。 ルーツというものは、その人の人生に彩りを添えると思いませんか。例えば、クラスメートが夏休みに、隣の州のグランマ・グランパを訪ねるのとくらべて、海を渡って日本のおじいちゃんおばあちゃんに会いに行く方が、考えようによってはsuper cool (超かっこいい)なことですよね。

折りをみて、韓国人、中国人、コロンビア人、ブラジル人に「自分は楽天主義者だと思うか」と尋ねたところ、全員がYESでした。時代が変わっても、目的をもって母国を離れ、この国で生きていくには、楽天的であることが必要なのかもしれないですね。そういう楽天的な私たちのうち何人かは、母国に帰らずアメリカに住みつづけるでしょう。楽天的な私たちの精神は、こうやって次の世代へ受け継がれていくのですね。

今度、なんにも悩みなんてなさそうな、やたらと明るいアメリカ人と出会ったら、この人の先祖は移民してきて苦労したんだろうなあ、とちょっと考えてあげてください。また、やたらと押しが強くて空気が読めない帰国子女に会った時にも、外国で生きて行くのにがんばったんだなあ、と慮ってあげてくださいね。

(山内純子)

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