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みすず書房

課税と脱税の経済史

古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論

REBELLION, RASCALS, AND REVENUE

Tax Follies and Wisdom through the Ages

判型 四六判
頁数 648頁
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-09755-6
Cコード C0033
発行日 2025年1月16日
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課税と脱税の経済史

博識にして、ゴキゲンな租税史だ…
税金は払うより、読んだほうがずっと楽しい…
税理士にぜひ確認してほしい――この本は控除対象かもしれない。
ダニエル・アクスト(『ウォールストリート・ジャーナル』)

これ以上タイムリーで、愉快な歴史は想像できない。
バリー・アイケングリーン(カリフォルニア大学バークレー校教授)

読んで、学んで、楽しむ、ご準備を。
クリスティーヌ・ラガルド(欧州中央銀行総裁)

愉快で、同時に、ためになる。
ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)


「本書でとりあげるのは数千年の期間に生まれた物語の数々である。シュメールの粘土板、カリグラ帝の奇抜な税制から、パナマ文書で暴露された狡猾な租税回避や、ブロックチェーン技術で可能になる税務の仕組みまで。…とはいえ、この本は税金の歴史をまとめた歴史書ではないし、税金の原則を教える入門書でもない。その両方の要素を少しずつ持っている。…
税金の原則がわかれば、税金の歴史をとらえるのに役立つ。…一方、税金の歴史がわかれば、税金の原則を解き明かすのに役立つ。…税を立案し、導入するときに取り組むべき問題(公平性、帰着分析、効率性、最適課税などなど)は、基本的に昔もいまも変わらない。…
この本の核心をなす基本的なポイントは、税制のよしあしを定める原則の多くがどの時代にも見てとれるということである。それらの原則に目を向ければ、過去を知り、テクノロジーの発展とともに変わりゆく未来のために賢い選択を行なうのに役に立つ」(はしがき)
☞ 税の歴史で原則を学べば、「つまらない政治的レトリック」に惑わされなくなるかもしれない。

 『課税と脱税の経済史』表紙

目次

はしがき/謝辞

第I部 強奪と権力
1 すべての公共のことがら
ベンガルからボストンへ
かつてなかったほどの不名誉
ボリビアが内陸国である理由
天界の光に税金をかける
何もかもが税金のせいではない。しかし……

2 われわれが来た道
駆け足でたどる税金の長い歴史
いくら?
戦争と福祉
バベッジの悪夢
債務、債務不履行、そして君主たち
お金をつくる

3 別の名前で
エリザベス一世から周波数オークションまで
主権の売却
低賃金労働
  無賃金労働
  金持ちの戦争を貧乏人が戦う
自分の役割を果たす
(封建的な)税を納める
一線を超える
さらにもう少し
  ツテを頼る
  愚行税

第II部 勝者と敗者
4 まずまずの公平性
串刺し刑
  人頭税とイングランド人
  崇高な目的
公平性の追求
  払っただけの見返りを得られる?
  納められるだけの額を納める?
サインを示せ
  階級別の課税
  コミュニティ別の課税
  ぜいたく品に対する課税
  経済状況の推定

5 財政の強大な動力源
巨人の仕事――イギリスの所得税
ドレッド・スコット判決
激情犯罪とフランスの所得税
古い恐怖と新しい方向

6 誰でも平等に扱われるわけではない
女性らしさに対する課税
特殊な制度
改宗
部外者
  見知らぬ土地の見知らぬ人
  懲罰としての課税
難しい選択

7 留まるか、移り変わるか
誤ったスタート
他人の知見を盗みとる
忘れてはならないこと
君、10セントの20分の1を都合してくれないか?
ものごとは見た目どおりとはかぎらない
  ワーキングプア(あるいは、彼らの雇用者)に助けの手を差しのべる
  非課税の地方債は抜け目のないリッチへの贈呈品か?
  法人税の帰着は闇のなか
全体像をとらえる

第III部 行動を変える
8 悪い行ないを改める
正しいことをせよ
  家族の問題
  知識に対する課税
よい事柄よりも、よくない事柄に課税せよ
  地球を救う
  牛のおなら、怖い犬、かわいい猫
罪の報い
  悪習
  飲酒階級にとって忌まわしいもの
  セックス
  ドラッグ
  だがロックンロールは別
  不健康な生活
ノーというだけ?

9 巻き添え被害
創意工夫の後押し
  奇妙なもの
  線を引く
超過負担
  煙のないところに火はない
  超過負担を知るために

10 ガチョウの羽根のむしり方
聖杯を探して
  戦時利得者と法人税を再考する
  土地をくれ、広い土地を
  富の強制徴収
ダメージの制限
  イギリス一の才人
  課税ベースを広げ、税率を下げよ(まあ、そうしなくてもいい)
税制の形成
どれだけの羽根を?

11 世界市民
ライスプディングをつかまえる
税金という嵐からの避難
金持ちはわれわれとは違う
  すでに転居済み
  他言しない
虚偽の利益
  「私があなたなら、ここはやめておく」
  武器(レングス)よさらば?
税を転がす

第IV部 税金はひとりでに集まらない
12 串刺しヴラドと穏便な徴税方法
隙間に注意
  いろいろな脱税犯
  既知の未知
ムチをたっぷり――アメをちょっぴり
  まず金をとる
  大企業は税務署の友……
  ……そして、小規模事業者は税務署の悪夢である
  情報が支配する
信頼せよ、しかし確認せよ
納税者も人である
  主義のための(公然の)脱税
  正直さを政策にする

13 誰かがやらなければならない
いろいろな徴税人
誰が集める?
  徴税請負制度(および徴税請負人)の隆盛と終焉
  キックバック──合法と非合法
  税の独立
  収税業務の民営化
  税務機関の規模は?
税務のテクノロジー

第V部 税をつくる
14 税の喜び
財務大臣の夢
野獣を飢えさせる
コヴェントリーからKストリートまで
  ロビー活動の赤裸々な真実
  バター(と税額が同じ)ではないとは信じられない
  課税によるチェーン店虐殺
  ひとりの免税
  課税してはならない──イギリスにおける食料品非課税の400年
政府のゲーム
  見えなくする
  名前の意味?
  しまった!
まずまずの成功といえる税政策
  グッチ峡谷などから得られる教訓
  VATの隆盛(と増税)

15 来るべき世界の形
ナブーとユートピアの税制
税金の知恵の柱
  納税者の反乱の理由が税金とはかぎらない
  言葉に気をつける
  昼食代を払うのはあなたかもしれない
  ともあれ、課税の公平性は達成しがたい
  課税とはよい代理指標を見つけることだ
  租税回避と脱税に発揮される創造性
  課税の最大のコストは目に見えないかもしれない
  税はたんなる資金調達ではない
  人は怖いから税金を払う
  国家主権としての課税権は過去の遺物になりつつある
  スローガンに注意
未来とその先
  厳しい時代
  素晴らしき新世界
彼らはわれわれをどう思うか

索引/原注/参考文献/図版クレジット