アストロ・トピックス
No.273: 宇宙飛行士の土井さん、NGC 4030 銀河に超新星を発見
宇宙飛行士の土井隆雄 (どいたかお) さんが、2月18日 (世界時、以下同)、 おとめ座方向にある NGC 4030 銀河の中に15.7等の超新星を発見し、「超新星 2007aa」と命名されました。この超新星は、土井さんご自身がお持ちの口径40 センチメートル (f/10) 反射望遠鏡にCCDカメラを取り付け撮影した画像の中 から発見しました。私たちの銀河系の外にある銀河としては明るい超新星の発 見となります。 以下は土井さんが発見した超新星の観測値です。 発見日: 2007年2月18日7時24分 等級:15.7等 赤経 12時00分27.69秒 赤緯 -1度04分51.6秒 (2000.0分点) この超新星は NGC 4030 銀河中心から北に68秒角、東に60秒角ほど離れたと ころにあり、明るい渦巻き腕のやや外側にあたります。また、土井さんはDSS (注1) (赤色で限界等級22等) でもこの銀河を確認しましたが、そこには何も 写っていませんでした。また、中野主一 (なかのしゅいち) さんの報告により ますと、2月19日に板垣公一 (いたがきこういち) さんが、この超新星の明る さ (15.8等) と位置を測定し、赤経12時00分27.67秒、赤緯-1度04分51.7秒の 値を得ました。同じく、西はりま天文台でも同夜に口径2メートルの反射望遠 鏡で撮影したCCD画像の中に15.7等を確認しています。また、外国の天文台で もこの星の分光観測が行われました。その結果、爆発後20日ほど経過したと思 われる水素の多いタイプII型の超新星と似ていることが分かりました。 土井さんは東京都出身です。子供の頃から自然科学に関心をもち、趣味とし て天文観測を続けてきました。そして2002年には超新星2002gwを発見していま す (国立天文台 天文ニュース 593)。また、NASAミッションスペシャリスト ( 搭乗運用技術者) に認定され、宇宙飛行士としても活躍中で、来年1月に再び スペース・シャトルに乗って宇宙へ向かう予定です。 (注1): DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサ ミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・ オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジ タル化したもの。限界等級は天域によって変わっているが、平均的には20等級 前後の天体まで写っています。 参照: CBET No. 848 : SUPERNOVA 2007aa IN NGC 4030 (2007 Feb 19) CBET No. 850 : SUPERNOVA 2007aa IN NGC 4030 (2007 Feb 19) 2007年2月20日 国立天文台・広報室