アストロ・トピックス
No.276: 太陽観測衛星「ひので」がとらえた月のでこぼこ
太陽観測衛星「ひので」は、2007年2月18日1時 (日本時) に、衛星の軌道上 で起きた部分日食を観測しました。今回の日食は地上では見ることはできず、 地上約700キロメートルを周回する衛星軌道でのみ起きたものです。ひのでか ら見て、太陽の手前 (の南側) を月 (の北側) が通過して、日食が起こりまし た。 0.2秒角の分解能を誇る可視光・磁場望遠鏡 (SOT) では、太陽面を隠した月 の陰から、月の縁の地形のでこぼこを捕えることができました。月面での0.2 秒角は約400メートルに相当します。また、観測画像の月の縁の形から、その 付近にあるクレーターを割り出すことができました。 この観測画像は画像解析により、分解能をさらに10倍以上 (月面で40メート ルより小さいものを判別できる程度) にまで引き上げることができると見込ま れています。月の縁を真横から見ているため、月面上での高さが精度良く割り 出せるようになります。このようにして得られた月面の高度データは、宇宙航 空研究開発機構 (JAXA) が今年打ち上げる予定の月探査周回衛星 (SELENE :セ レーネ) に搭載されるレーザー高度計による観測データとの比較に活用できる と期待されています。 ひのでミッションとしては、今回得られた観測データを用いて、本来真っ暗 な月の陰に回り込む太陽光、すなわち光学系の散乱光の影響を解析し、今後の 観測精度の向上に役立てます。 また、X線望遠鏡 (XRT) では、太陽コロナを背景に、陰となった月が通過す る様子がとらえられています。 これらの詳細な画像は、以下のWebページにて公開されました。ぜひ、ご参 照ください。 参照: 部分日食観測 ~月の凹凸が見えた!~(国立天文台 ひのでホームページ) http://hinode.nao.ac.jp/news/070217Eclipse/ 2007年2月27日 国立天文台・広報室